卒業生からのメッセージ
文学部での学びが社会でどのように活かされているかを、卒業生からのメッセージを通じて紹介します。
2024
その他当たり前のことを当たり前にやる。それが国際協力の一部になり、相手国のためになる。
- 国際文化学域 英米文学専攻 2017年卒業
独立行政法人 国際協力機構 バングラデシュ事務所
国際協力機構(JICA)バングラデシュ事務所での勤務も今年(2025年)9月で2年目になります。農業・地方開発分野のODA案件(資金協力や技術協力など)が円滑に進められるよう調整・管理するのが主な仕事です。日本国民の税金で行われている支援が十分に活かされるように、主にバングラデシュの政府機関にさまざまな指示やお願いをする立場でもあります。「日本の支援のおかげです、ありがとう。」と言われることに戸惑いもありますが、日本への感謝の気持ちをみなさんに代わって受け取らせていただいています。
大学卒業後、外務省に専門職として入省。研修言語はヒンディー語でした。「人の役に立てる仕事がしたい」との希望どおり、国際協力を担当する部署に配属されましたが、いくつかの事情により退職してパキスタンへ。現地でのチャンスを求めて、ヒンディー語に近いパキスタンの公用語であるウルドゥー語の習得に努めた結果、在パキスタン日本国大使館で経済協力を担当するポストに採用され、3年間勤務しました。この時芽生えたのが「将来、国際機関で仕事をしたい」という思いです。それには修士号がほぼ絶対条件となるため、開発学で世界トップとされるイギリスのサセックス大学に進学し、修了後、JICAに就職しました。
JICAを選んだのは、外務省での経験を活かして、国際協力の現場で経験を積みたいと考えたからです。さらに、パキスタン在住経験を活かせるバングラデシュでの勤務を選びました。国際機関ではジェネラリストよりスペシャリストが求められる傾向にあります。南アジアを自分の専門地域にすることによって、将来の選択肢を増やしたいと考えています。
バングラデシュでの生活は大変なことも多いのですが、慣れるとあまり苦ではなくなりました。人目を気にしなくてもいい自由の中で、大学時代に思い描いていたとおり、海外で英語を使って仕事ができていることにとても満足しています。
職場のナショナルスタッフとお昼休みによく行くチャイ屋さん
大学で特に力を入れていたのは英語の学習です。留学を希望していたので、言語教育センターのTOEFL講座を受け、自習もしていました。大学のプログラムでカナダのアルバータ大学に留学し、英語力がさらに伸びて自信がついたことが卒業後の就職先として外交官を目指すきっかけにもなりました。
留学先の語学クラスの先生と学生のみんな
授業への出席や課題の提出など「当たり前のことを当たり前にやる」姿勢も大学で身につけたものです。その結果、西園寺育英奨学金を毎年受給でき、自分に自信を持つこともできました。この姿勢は今も大切にしています。私の仕事が直接バングラデシュの貧困削減につながるわけではありませんが、一つ一つのやるべき仕事を当たり前にやっていれば、確実に何かの一部になり、最終的にはその国のためになっていくのだと考えています。これはどんな仕事でも同じではないでしょうか。
私はこれまで、その時の状況に応じてやりたいことを決断してきました。国際協力に関わりたい、チャンスがあれば国際機関で働きたいという気持ちは持ち続けていますが、これまでの経験が活かせるなら、どんな場所でも、やりたいことに挑戦し続けたいと思います。