卒業生からのメッセージ
文学部での学びが社会でどのように活かされているかを、卒業生からのメッセージを通じて紹介します。
2024
教員東北研修での学びをより充実させるためゼミの先生と高大連携企画の授業を実施
- 地理学専攻 2022年卒業
学校法人ヴィアトール学園洛星中学校・高等学校 社会科
大学では地理を学びたいと思っていたので、高校の社会科の先生にすすめられた立命館の地理学専攻に進学。立命館大学歴史都市防災研究所副所長でもある村中先生のゼミで卒業研究に取り組みました。南海トラフ地震発生時の円滑な鉄道の復興を念頭に、事前に立てておくべき復興計画について、和歌山県那智勝浦町を例に考察したものです。現地に2度足を運び、地域の方の協力を得ながらアンケート調査を実施しました。対話を通して信頼を得ることがいかに大切かを、身をもって学べたのはかけがえのない経験です。歴史都市防災研究所合同修士論文・卒業研究発表で最優秀卒業研究賞を受賞することもできました。
教員採用試験に向けては「オードリー」と呼ばれる教職ゼミに参加し、同じ目標を持つ仲間と一緒に筆記試験の勉強や模擬授業の練習をしていました。仲間の存在があったから、直前期の焦りや不安を乗り越えられたのだと思っています。
鉄道研究会の同期との卒業旅行での1コマ ※下段中央が大野
卒業式にて社会科オードリーのメンバーと ※右から4人目が大野
現在、社会科の教員として主に地理の授業を担当し、中学2年生の担任、卓球部・地理部・鉄道研究会の顧問も務めています。授業内容は教員の裁量に任されている面もあるため、授業内で地形や気候についてふれる際には、大学で学んだ災害に関する話をするようにしています。災害は、実生活と切り離すことはできない存在なので、単に受験のためだけではなく、生きていくうえでの知恵を身につけるという意味でもしっかり学んでもらいたいからです。いつか「あの授業が役に立った」と思ってもらえたら嬉しいです。
地理への興味を持ってもらえるよう、希望する生徒と一緒に街歩きのフィールドワークを行うこともあります。昔の地図と現在の地形を見比べながら、時代とともに市街地がどのように広がっていったか、水害時にどこまで浸水したのかなど、NHK『ブラタモリ』のような内容で、私自身も楽しみながら計画しています。コアなファンになってくれている生徒、地理を志すようになった生徒の存在が励みになっています。
宗教教育の一環として課外で行う東北でのボランティア研修も担当しています。現地で震災の遺構を見学し、住人の方とコミュニケーションもとれる貴重な機会なので、ゼミでお世話になった村中先生にお願いし、立命館大学との高大連携企画という形で、防災をテーマとした地域調査の方法を学ぶ事前授業をしていただくようになりました。事前に学習することによって物事の見方が変わったり、体験によって得たものを学術的に考察できるようになったりするのは、私自身が大学で経験したことでもあります。私にとっても学びの多いプログラムなので、今後も活動をサポートしていきたいと思っています。
亀岡市で実施した巡検の様子 ※一番前の紺色の服が大野
宗教研究「東北に学ぶ」引率時の1コマ ※右端で立っているのが大野
地理を専門とする教員としての見聞を広めるため、できるだけ国内外へ旅行に行き、自分の目でその地域の現状を知るようにしています。職場の制度を利用して、いつかは立命館大学の大学院に進学したいとも考えています。大学を卒業してから「立命館に進学して良かった」といっそう感じるようになりました。出身地だけでなく、スポーツや研究分野など多様な背景を持った仲間との出会いや支え合い、そして先生方の熱心なご指導。今も先生や仲間との交流が続いていますし、きっと今後も続いていくと思います。