卒業生からのメッセージ

文学部での学びが社会でどのように活かされているかを、卒業生からのメッセージを通じて紹介します。

2019

流通・商事

課題解決に必要な「考える力」が、哲学で身についた。

哲学専攻 2007年卒業

株式会社丸善ジュンク堂書店 営業本部

今の職場を選んだのは、自分の力量で仕事を切り拓くことのできる自由度の高さに魅力を感じたからです。入社してしばらくは店舗で書籍の仕入れ、現在は本部で業務改善や人材教育などを幅広く任され、与えられた裁量の大きさを実感しています。私が専攻した哲学は「実学ではない」と捉えられがちですが、先哲がのこした書物とじっくり向き合うことを通じて培われる力は、あらゆる仕事の土台となるものです。現代の思想書を読むうち、その先人の書にも興味がわき、古典を理解するために関連書籍にも手を広げ、時には「難解すぎて歯が立たない」という悔しさも味わいました。そうした中で身についたのは「自他の思考を読み解いて、体系だてたり整理する力」。仕事上で問題点が発生しても、自分で方法を探りながら解決していく力につながっています。

卒業研究では、文学部におけるコンピュータ教育をテーマに言語研究者のための初習プログラミング教材の開発を行いました。それは今、社内に業務システムを導入する際、コンピュータに苦手意識を持つ従業員にもわかりやすくレクチャーすることにも役立っています。大学時代に「どうしたら、理解できるようになるのか」を追い求め、妥協せずに調べ抜き、多くを得た経験が今の財産です。情報化が進んでも「書棚を前にして本を選ぶ愉しみ」はなくならないと私は思います。読書から得られる豊かな体験やそのプロセスそのものが、哲学でいうところの「よりよく生きる」ことに通じるはずだと確信しています。

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