学部長あいさつ

⽴命館⼤学⽂学部
学部⻑

中川 優子

今、この時代に「人文学」を学ぶということ

文学部で学ぶ分野をまとめて表現すると「人文学」(あるいは「人文科学」)ということになるでしょう。立命館大学文学部では、哲学、文学、歴史学、地理学といった伝統的な学問を大切にしつつ、国際化や学際化といった現在の社会の動きに合った取り組みにも積極的に挑戦し、2020年度からは8学域18専攻という極めて多様な学問領域を有しています。まさに「文は広い。文は深い。」のです。そしてそれぞれの専門領域、そしてその広い学問領域の全ての底に共通して流れているのは、「人間の本質とは何かを考える」という根本的な問題提起です。様々な学問の基盤とも言うべき人文学は決して軽視するべきではない、極めて重要な学問であり、グローバル化が叫ばれる現在、こうした人文学の重要性が何よりも高まっていると思います。

立命館大学文学部は90年を超えるその歴史の中で、人文学における非常に多くの学問領域を擁する日本有数の文学部として、日本のみならず、東アジアを中心に世界的にも注目される存在へと発展してきました。その特徴ある制度として、1回生次には大学教育や各学域の基礎、そして大学での研究の仕方を習得し、2回生から専門の学びにシフトするという、「学域・専攻制」があげられます。また、2020年度より専攻横断型のクロスメジャー制度を導入し、学域にかかわりなく「京都学」あるいは「デジタル人文学」を学ぶことができます。

さらに、ハワイ、イタリア、韓国、中国、台湾、マレーシア・シンガポールなどでのエリアスタディプログラムの展開など、人文学教育の国際化を推進してきました。なかでも言語、文化や歴史などを日中韓3ヵ国の学生が共に学ぶ「キャンパスアジア・プログラム」は、第2期の文部科学省「大学の世界展開力強化事業」に採択され、アジアの人文学に秀でたグローバル人材の育成に取り組んでいます。

世界の様々な場所で起こっている問題が日本にも波及していることを否応なく感じられることが多い昨今です。未来が不確実なこの時代、国・地域、時代、性別を超えた関係性を問い、価値を相対化する「人文学の知」は、冷静に状況を見極め、判断する力を形成するはずです 。だからこそ文学部での4年間を通じて、大いに思考をめぐらせ、学問を探究し、自分の道を切り拓いてください。