TOPICS & EVENTS

03.10

2022

TOPIC

言語コミュニケーション専攻卒業生(尾賀円香さん) 社会言語科学会において研究大会発表賞を受賞

 このたび、昨年3月に文学部言語コミュニケーション専攻(現・言語コミュニケーション学域)を卒業された尾賀円香さんが、202233日に社会言語科学会第46回研究大会にて、本学在籍中に開催された第45回大会(202131315日オンライン開催)での研究発表に対する表彰として研究大会発表賞(第21回)を受賞されました。発表タイトルは「「食べる」と「飲む」を伴う会話場面の身振り分析会話と飲食を調節する〈アイドリング〉動作に着目して」です。

 この学会は言語・コミュニケーションを人間・文化・社会との関わりにおいて取り上げ、そこに存在する課題の解明を目指すことを目的として設立されたもので、年会中の研究発表を行った若手の研究者の中で、特に優れた口頭発表やポスター発表を行ったと認められる発表者23名に研究大会発表賞が贈呈されます。過去21回の大会で42名が本賞を受賞しましたが、学部生で受賞したのは学会史上3人目の快挙です(2人目は同じく言語コミュニケーション専攻2016年度卒業生の伊田吏佐さん)。

*[これまでの受賞者一覧]http://www.jass.ne.jp/?page_id=37

 尾賀さんは、文学部の卒業研究として、食事場面と飲料摂取場面という異なる二つの場面において、人々が会話と摂取行動をどのようにして両立させているのかを分析されました。食事と飲料では、「咀嚼」か「嚥下」かという口の中での動きが違うため、このタスクの大きさの違いによって、生起する手元の動作にも異なる動きが見られるのではないかという気づきが今回の研究の契機となりました。そこで、飲食場面での一見無駄に見えるような動作を「アイドリング」と名づけた赤井里奈さん(言語コミュニケーション専攻2016年度卒業生)の卒業研究を発展させて、このアイドリングを5タイプに分け、それぞれが生じたときの発話内容に着目して特徴を確認されました。その結果、食事場面の方が飲料摂取場面よりもアイドリングが多くみられることが判明し、これは食事というタスクの大きいものと会話を両立させるために生じたと考察されました。この分析結果から、アイドリングのような普段見過ごされがちな些細な身振りも実際には無駄なものではなく、その場の会話を円滑に進めるための役割を果たしていることが明らかとなり、飲食を伴うコミュニケーションの取り方について新しい知見を提供した点が学会に評価されました。

下記に尾賀さんの受賞コメントを掲載させて頂きます。

 この度は研究大会発表賞を頂戴し、誠に光栄に存じます。このような賞をいただけるとは思っておりませんでしたので、大変身に余る栄誉であります。手厚いご指導並びに有益な助言をいただきました指導教員の岡本雅史先生、卒論副査を務めていただいた田中省作先生、そして快く研究データの収録を引き受けてくれた友人たちに心から深く感謝申し上げます。現在は一般企業で会社員として働いておりますが、今回の経験を活かして精進してまいります。

言語コミ受賞

BACK