在学生の声

4,000名超の文学部生、一人ひとりがオンリーワンの活動を行っています。その活動の一端を紹介します。

2019

日本史研究学域

全ては知ることはできない。でもいけるところまで近づきたい

佐藤 拓 さん
考古学・文化遺産専攻 4回生

静岡県立清水東高校/静岡県

関西でトップを争う考古学研究室の環境が入学の決め手に

小学生の時、親が歴史マンガを全巻買ってくれました。それをきっかけに日本史が好きになりました。体を動かすことも好きだったので、体を使い、歴史をさぐるという「考古学」に小学生の頃から興味を抱いていました。

考古学を勉強できる大学を探していたところ、立命館大学の考古学研究室の規模は関西でトップを争うことを知りました。文学部には縄文時代から近代まで、各時代を研究されている専門の先生がいらっしゃいます。熟知しておられる先生のもとで、さまざまな時代を広く勉強した上で、自分が最も興味を持った時代を深く勉強できる環境に惹かれ、立命館への進学を決めました。歴史ある寺社仏閣が集中する京都への憧れも決意を後押ししました。

鉄製品・製鉄へ興味を持つように

students/students12_sub01

2回生の基礎講読という授業で、びわこ・くさつキャンパスにある「木瓜原(ぼけわら)遺跡」についての発表を行いました。この遺跡には7世紀末から8世紀初頭に使われていた古代製鉄炉があります。それから、漠然と鉄製品と製鉄に興味を持つようになりました。現在は、古墳時代における鉄素材と言われていた「鉄鋌(てってい)」の研究を行っています。この研究により、古墳時代の鉄利用の一端を知ることができると信じています。

デンマークの研究者、トムセンによると人類の歴史は3つの時代に分けられると言います。石器時代、青銅器時代、鉄器時代です。鉄器時代を迎え、いろいろなことが豊かになりました。硬く、強度のあるものを作れるようになりました。また様々なモノを加工しやすいという利点もあります。例えば1本の木を切る作業も、青銅器よりも鉄で作られた道具の方が硬く丈夫なので、短い時間で切れるようになり、作業の効率が格段と上がりました。

鉄が日本へ渡って来たのは弥生時代前期と言われています。はじめは中国から輸入していましたが、その後、朝鮮から輸入するようになりました。日本で鉄が作られるようになったのは、まだはっきりわかっていないところもありますが、6世紀後半ではないかと言われています(5世紀という説もありますが)。

卒業論文の題目は「古墳時代における鉄鋌の研究」です。4世紀から6世紀にかけて日本列島および朝鮮半島の古墳・集落遺跡より出土する鉄鋌(鉄製品に加工する前の鉄の板)の研究を行っています。日本が鉄を輸入していたところから、自国で作るようになった過程を様々な視点から観察して研究しています。まだ明らかにされていないことが多いため、多くの研究者が注目している時代なのです。古代の鉄利用の謎を解明するには鍵となる時代です。

ゼミナール大会で最優秀賞受賞

毎年文学部内で、ゼミナール大会が開かれます。正課または課外で研究した成果発表と交流の場です。個人でも団体でも出場することができます。2019年、個人で出場し、ありがたいことに最優秀賞を受賞しました。愛知県出作遺跡から出土した、鉄鋌の用途に関する考察を発表しました。自分の発表はまだまだ未完成な部分が多く、満足はしていません。大学卒業後は大学院に進学し研究を続け、その後は地方自治体の埋蔵文化財技師として、発掘や報告に携わり、考古学に関わる生活を送りたいと思っています。

どんどん課外活動を

3回生までは副専攻で中国語を専攻していました。スピーチコンテストに出場したり、授業の一貫で行なったパフォーマンスコンテストで主役を演じ、クラス最優秀賞をいただいたりなど、勉強に力を入れていました。

大学の生協を通じて知った「EF Education First」という語学学校のプログラムで、シンガポールへ6週間短期留学に行きました。シンガポールは英語の他に、マレー語、タミール語、中国語も飛び交う多民族国家です。勉強した中国語も生活の場面の中で使うことができました。他言語に対する恐怖感がなくなったのは大きな収穫でした。

帰国後もEFアンバサダーとして、これから留学へ出発する学生へのサポートをしています。またこの活動で、日本代表の一人としてシンガポールで行われたアジアミーティングに参加しました。留学で得られる経験の素晴らしさを広める活動をしています。世界中に友だちができました!

わくわくハラハラしながら発掘をする

students/students12_sub02

現地説明会で、発掘の成果を説明している様子

発掘作業は本当に楽しいです。傷つけないように、細心の注意を払い、わくわくとハラハラの気持ちが混在する中、掘り続けます。出土したものから、推測するのも楽しくてたまりません。例えば埴輪を発掘しながら、並んでいる埴輪の列から埴輪の樹立方法や、古墳の構造を推測できます。

タイムマシーンに乗って、かつての時代に行くことは叶いません。
「全ては知ることはできない。でもいけるところまで近づきたい」
そういう想いを持って、これからも研究に励んでいきたいと思います。

BACK