教員コラム

文学部には100名を超える教員が在籍しています。一人ひとりのリアルな教育・研究活動を紹介します。

COLUMN

世界中のファンタジー文化に影響を与えた英語と英語圏文化のルーツを探る

英語圏文化専攻

国際コミュニケーション学域
准教授

岡本 広毅

私の研究テーマは「英語及び、英語圏文化のルーツ」を探ることです。具体的には、中世イングランドの騎士道物語を代表する「アーサー王伝説」などの古典的文学が、その後のイギリスの文化、歴史にどのような影響を与えたかを、掘り下げています。そうした中世の物語は、『指輪物語』や『ハリー・ポッター』シリーズのような現在世界中で人気のファンタジー小説や映画、マンガやTVゲームの世界観にも取り入れられ、我々の文化の一端を構成しています。

アーサー王物語のルーツは5世紀頃に遡り、民族間の「歴史」を背景に生まれました。その後、騎士の戦いとともに宮廷のロマンスも描かれ、日本で言えば「平家物語」と「源氏物語」を足したような古典的文学作品となりました。イギリス人であればみんな知っている文化の基礎教養であり、幼い頃からその世界観に慣れ親しんでいます。日本で外国の人と話した時に、その人が「万葉集」や「古事記」を読み込んでいたら、きっと「おお、この人はすごい。日本が本当に好きなんだな」と思うでしょう。そういう意味で、イギリスの古典文学を学ぶことは英語圏の人々と付き合う上で非常に実用的に役立つ、教養の一つなのです。

現在、英語は「世界共通語」と呼ばれるようになり、世界中にその話者を増やし続けています。しかし各国で話される英語は、決して「同じもの」ではありません。イギリスとアメリカの英語は発音や単語がだいぶ違いますし、オーストラリアも独特の英語が使われています。シンガポールの英語は「シングリッシュ」と呼ばれ、独自の形を築いています。そんなふうに英語は世界中で変化を続けていますが、実は昔から英語はラテン語やフランス語など他の国の言葉や文化を吸収し、取り入れて今の形になりました。そうした英語のルーツにある多様性、多文化性を学ぶことで、世界共通言語たる英語をより深く本質的に理解できるはずです。

PERSONAL

岡本 広毅

専門領域:
中世英文学、英語のルーツ研究
オフの横顔:
高校時代はサッカー部。オーストラリアでの短期ホームステイから帰国し、直後の試合で骨折。練習ができず悔しい日々を過ごすも、異国での素晴らしい記憶とともに英語文化に目を向ける時間となった。