理工学研究科　博士課程後期課程3回生の足立悠輔さんと理工学部 小林大造教授の研究成果が、2023年1月29日（現地時間）に国際学術誌「Physica Status Solidi(a)」（Volume 220, Issue 5）のオンライン版に掲載されました。その後、2023年3月10日（現地時間）に論文掲載画像がFront Coverに選出されました。

研究内容と成果

本研究では、微細加工プロセスを用いてマイクロスケールの受光部を持つGa₂O₃/Se接合構造の光電変換素子を開発しました。可視光吸収により半導体内部に生じる電子に電界を印加して衝突電離を起こし、雪崩増倍的に電子を叩き出す現象であるアバランシェ効果が高感度光センサに用いられてきました。

従来は、電流増倍時に直列抵抗による損失が顕著となる問題がありましたが、本研究ではGa₂O₃/Se接合構造の光電変換素子を小型化することで直列抵抗を低減し、アバランシェ効果により増倍した光応答電流の損失を低減させ、センサ感度の改善効果を発表しました。受光面積が10×10 um²のマイクロ光電変換素子を開発し、逆バイアス電圧15 Vを素子に印加して光電流を増倍した場合に330 ％の量子効率を達成しました。今後は、高感度なマイクロ光センサへの応用が期待されます。

掲載誌について

論文掲載画像がFront Coverに選出
https://onlinelibrary.wiley.com/toc/18626319/2023/220/5

Physica Status Solidi(a)は、1970年から続く半導体デバイスなどの固体物理分野の信頼性の高い国際的な学術論文誌です。

論文情報

• 題 名： Formation of Micro-Patterned Ga₂O₃/Se Heterojunction and its Application to Highly Sensitive Avalanche Photodiode
• 著者名：Yusuke Adachi,Taizo Kobayashi,
• 掲載誌：Physica Status Solidi(a)
• 掲載日： 2023年1月29日（現地時間）
• 掲載URL： https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/pssa.202200636
• DOI： https://doi.org/10.1002/pssa.202200636