総合科学技術研究機構が東邦インターナショナル株式会社と連携および協力に関する協定を締結
2024年10月1日、立命館大学総合科学技術研究機構が、東邦インターナショナル株式会社と、連携および協力に関する協定を締結しました。本協定は、立命館大学総合科学技術研究機構によるプロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期フィジカル空間デジタルデータ処理基盤『CPS構築のためのセンサリッチ柔軟エンドエフェクタシステムの開発と実用化』事業(以下、SIP事業)」の成果である「R-CPS(Reconstructable basic system for Cyber Physical System)」の、社会実装に向けた研究交流をはじめとする密接な連携と協力を更に促進することを目指しています。
産官学の共同研究の推進を通して、科学技術の発展と地域社会に貢献することを目的として設置された総合科学技術研究機構は、かねてより日本の労働人材不足、中小モノづくり企業のデジタル活用の停滞、事業承継企業の後継ぎによる新規事業創出問題などの社会課題を問題視。これらを解決しようと、オリジナルのプラットフォーム・R-CPSの開発に取り組んできました。
R-CPSのプラットフォームは、システムとしてのR-CPSと、人材育成と供給の仕組みが合わさったもの。
R-CPS(システム)とは、汎用ハードを用いて構築され、Node-REDに代表されるOSS(Open Souese Software)を使ってユーザー自らが改良できる、汎用性が高く個別にも最適化できるシステムです。技術コンセプトとしては共通公開技術であるR-CPSと、各社が創意工夫で独自に進化させる個別技術の2階建てとなっています。
また、人材育成と供給の仕組みについては、主に中小企業内人材育成、自由業や副業者の人材発掘と育成(リスキリング)を目標にしています。中小企業の中に、DXやIoTの分野で会話ができる人材を育成したり、企業OB・OGの技術者にリスキリングの場を提供したりして、スキルアップを促進します。こうした人材を“豊年技術者”と名付け、その豊年技術者と、それを求める中小企業が出会える場づくりも検討しています。
今回の協定締結をきっかけに、研究の社会実装に向けた販路やノウハウを持つ商社である東邦インターナショナル株式会社に、R-CPSを社会に普及推進する業務を移管。立命館がIoT人材育成や、IoT教育用の資料・動画コンテンツ作成などを行い、東邦インターナショナル株式会社がR-CPSのHPの管理運営や、クラウドシステムの構築・運用、教材の販売や配布の窓口、教育講座開催時のコーディネーター役などを担います。このように相互の連携・協力をさらに強固にすることで、IoTのDIYを実現する教育プラットフォームや、知識とデバイスを外部に提供することが可能となります。
共同事業は12月より本格稼働。今後も共同事業の二つの理念「リスキリングを通じた労働人材不足の解消と、教育コンテンツを通じたIoT浸透による企業成長支援を目指す」と「教育に強い大学と、IoTや流通に強い民間企業が共同で取り組むことで大学の研究を社会実装していく」の通り、産学共同での社会価値の共創に取り組んでまいります。
東邦インターナショナル株式会社 飛永勝也代表取締役社長 コメント
ワイヤ・ケーブル業界に特化した貿易専門商社として、業界特化型のIoTプラットフォームを提供してきた当社ですが、今回のお話を清水先生から頂いたときには、ぜひ大学の研究を社会実装することに挑戦し、既存業界以外の多くの中小企業の課題解決にもつながるような取り組みをしてみたいと強く思いました。自らIoTシステムを構築できるようになる方々を1人でも多く増やすための『IoTのDIYを実現する教育プラットフォーム』事業を通じて社会課題解決に貢献してまいります。教育に強い大学とIoTや流通に強い民間企業が、共同で事業を行えば実現できると考えています。
立命館大学 清水正男教授 コメント
研究開発した成果を実用化しようとすると、信頼性検証・生産費・販路等々、いわゆる“死の谷”といわれる課題が数多く存在します。この谷を越えることは研究者側だけでは困難です。東邦インターナショナルさんという協業相手を、谷の対岸に見つけることができて喜んでいます。商社さんなので、我々が苦手とする販売や収益化については、安心してお任せすることができます。両岸から深い谷に橋を架け、人材育成手法も含めた研究成果の社会実装を目指します。また、この協業が“死の谷”を渡るモデルとなる事も期待しています。
立命館大学 川村貞夫教授 コメント
わが国が直面する社会課題解決のため、大学で育成された技術を市場経済原理の中で活用できることが重要となっています。新しい産学連携の取り組みとして、2024年10月に東邦インターナショナル様と「連携及び協力に関する協定書」を締結しました。より総合的に、大学発の技術の社会実装が実現できると期待しています。この中には、個別の技術開発のみならず、IoT利用拡大のための現場の人材育成プログラム開発も含まれています。日本のDX加速の足かせとなっている現場人材の育成に貢献する予定です。