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Ritsumeikan-Sports Innovation Project成果報告会レポート|陸上・橋本翔太さん
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2026.06.08
本記事は、「Ritsumeikan-Sports Innovation Project成果報告会」レポートの連載企画です。本プロジェクトは、アシックスジャパン株式会社からの寄付金を活用し、さらに株式会社プログリットによる英語学習支援を受けながら、学生が海外のスポーツ現場で学びを深める取り組みです。全3回にわたり、参加学生が現地で得た経験や気づき、そして本学スポーツへどのように還元していくのかを紹介します。第1回は、陸上競技部に所属する橋本翔太さん。米国・アリゾナ州のトラッククラブチーム「ALTIS」で、最新のトレーニング理論とコーチングを学んだ橋本さんの挑戦をレポートします。(協力 文:立命スポーツ編集局/写真:mizuto)
競技と研究の両立から始まった海外研修への挑戦
関西学生陸上競技対校選手権大会の連戦の合間、「Ritsumeikan-Sports Innovation Project成果報告会」の壇上に立った学生がいる。スポーツ健康科学研究科1回生の橋本翔太さんだ。普段は陸上競技部に所属し、日々の厳しい練習に身を置きながらも競技と学業を高いレベルで両立させている。
橋本さんの研修テーマは「陸上競技における最新のトレーニング理論と、それに基づいたコーチングの視察、学習」。学部3回生時から始まったゼミ活動ではスポーツバイオメカニクスを用いて、陸上競技における短距離種目の研究を進めてきた。より現場に近い研究をしたいと考え進学した大学院では、研究領域をコーチングへとシフトし、今回の研修には「海外渡航が自分にとっての『第0章』になれば」との思いで参加したという。
世界のトップスプリンターが集うALTISで得た学び
橋本さんが研修先に選んだのはアメリカ・アリゾナ州にあるトラッククラブチーム「ALTIS(アルティス)」。世界各国からトップスプリンターが集まるハイレベルな環境でトレーニングができたことは光栄だったと振り返り、滞在中に得た多くの学びについて語った。
現地では、選手プロフィールや練習メニューをiPadで管理するなど、最新のスポーツ科学を肌で感じることができた。その中で橋本さんが最も印象に残ったのは、練習メニューの構成だ。日本の短距離トレーニングは中程度の練習負荷を高頻度でこなす傾向がある。一方で、ALTISの選手は低頻度・高出力の練習を徹底していた。週5日の練習のうち2日をアクティブレスト(積極的休養)に充てているなど、日本とのアプローチの違いが新鮮だったと話す。また、自身の研究分野であるコーチングについても心に響く言葉があった。動作を選手にいかに分かりやすく伝えるかに比重を置く指導の中で「アドバイスは必ず10秒以内に伝える」。そこには、難しい理論を長く説明するのではなく、選手が感覚的に動きを理解できるようにするというコーチ陣の意図があった。
橋本さんは、こうした現地での学びや日々の気づきを、宿泊先に戻ってからその日のうちに整理することを日課としていた。「開放的なパティオで思考に耽る時間が、滞在中の楽しみな時間の一つでした」と充実した日々を振り返る。
準備、語学、生活を通じて広がった視野
また、トレーニング以外でも、現地の生活そのものが貴重な経験になったという。物価の高さと栄養バランスを考慮して自炊を行ったり、休日には観光を楽しんだりと、現地ならではの日々を過ごすことができた。一方で、プロジェクトを通して最も苦戦したこととして挙げたのは、意外にも渡米前の準備期間だった。研修先を探すため、大学をはじめとした数多くのトラックチームへ連絡を送ったが、思うように返信は返ってこなかった。遠く離れた地とコミュニケーションを取ることは容易ではなく、出発の直前まで不安は拭えなかったという。それでも、滞在先やフライトの手配を含め、一から計画を立てて実行した経験は自身を大きく成長させたと振り返る。
さらに、英語に対する苦手意識にも大きな変化があった。渡航前に受講した3か月間の英語学習プログラムの当初は、大学2年生以降ほとんど英語に触れていなかったこともあり、不安が大きかったという。しかし、受講前後のテストではスコアが27点から44点まで向上し、自身の成長を実感できたことで自信にもつながった。また、プログラム終了後から渡米までの約3週間は「限られた期間で何が必要か」を考え、陸上競技に特化した英語学習にも取り組んだ。自身で作成したカリキュラムに加え、YouTubeで海外コーチの指導動画を視聴しながら、専門用語や表現も身に付けた。こうした準備は現地で何度も役立ったといい「勉強してよかったです」と笑顔を見せた。
「第0章」の経験を、チームと次の挑戦へ
帰国後、現地で得た学びは陸上競技部内にも還元されている。日頃から「分析し、考えながら競技をする」ことを大切にしている橋本さん。同期や後輩からアメリカでの学びについて尋ねられると、現地で得た知識に自身の考えを交えながら言葉を伝えている。現在は所属パートのパート長からの要望もあり、ウォーミングアップや技術練習に関する資料を作成中で、部内全体への共有も行う予定だ。さらにその視野は部外にも向いている。文章投稿プラットフォーム「note」を活用し、日々の練習や研究の中で生まれた疑問、自身の考えを積極的に発信している。小規模な発信が中心だが、今後はアメリカでの学びを整理しながら、競技やコーチングについて考えたことを広く共有していきたいと語った。
出願を決意してから現在に至るまで、多くの時間を割いてきたこのプロジェクト。「様々な面で成長できて本当によかった。人生で一番の思い出です」と、充実感のある表情で振り返る。今回の渡航は、家族や恩師、仲間をはじめ、多くの人々の支えによって実現したものだという。そうした縁の中で得た貴重な経験は、橋本さんの研究と競技人生を力強く前進させる「第0章」となり、これからの挑戦を支える原動力となっていくはずだ。




















