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Ritsumeikan-Sports Innovation Project成果報告会レポート|スケートボード・福本晴己さん

 本記事は、「Ritsumeikan-Sports Innovation Project成果報告会」レポートの連載企画です。本プロジェクトは、アシックスジャパン株式会社からの寄付金を活用し、さらに株式会社プログリットによる英語学習支援を受けながら、学生が海外のスポーツ現場で学びを深める取り組みです。全3回にわたり、参加学生が現地で得た経験や気づき、そして本学スポーツへどのように還元していくのかを紹介します。第3回は、スケートボード文化の価値発信に取り組む福本晴己さん。米国・カリフォルニア州の大学コミュニティなどを訪ね、スケートボードが人と人をつなぐ「居場所」として機能する姿に触れた福本さんの挑戦をレポートします。(協力 文:立命スポーツ編集局/写真:mizuto)

スケートボード文化の価値を社会へ伝える挑戦

 スケートボード文化が持つ価値を、社会へどう伝えていくか。そんな思いを胸に「Ritsumeikan-Sports Innovation Project」に参加したのは、政策科学部3回生の福本晴己さんだ。大学では学生サークルに所属し、自身も日々スケートボードを楽しみながら、その魅力やコミュニティの在り方を模索している。

 福本さんの研修テーマは「大学スケートボード文化の学術的ブランド化と実践的コミュニティ創造」。日本ではスケートボードと聞くと「危ない」「不良っぽい」といったイメージを持たれることも少なくない。その本質的な魅力を社会へ正しく伝えていきたいという問題意識から今回の渡航を決意したという。

USC・UCLAで見た、スポーツを超えたコミュニティの姿

 研修先に選んだのは、アメリカ・カリフォルニア州にある南カルフォルニア大学(USC)やカルフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)をはじめとした大学コミュニティだ。現地では、スケートボードが単なるスポーツの枠を超え、人と人をつなぐコミュニティとして機能している姿を目の当たりにした。

 中でも特に印象に残ったのが、USCで行われている「USC SKATE STUDIES」だ。2018年に始まった研究プロジェクトで、スケーターを「問題視される存在」ではなく「価値を持つ存在」として捉え、その価値を研究やデータを通して社会へ説明する取り組みが進められている。福本さんは現地の研究者へ直接メッセージを送り、交流の機会を得たという。

 現地で実感したのは、スケートボードコミュニティの多様性だった。年齢や人種を問わず多くの人々が自然に集まり、コミュニケーションをとっていた。特にスケートボードショップやスケートパークは、人とつながり、悩みを共有できる「居場所」として機能していた。福本さんは「若者のメンタルヘルスにも良い影響を与えているのではないか」と振り返る。

 UCLAのスケートクラブの見学も、滞在中の貴重な経験のひとつだ。当初は連絡を送っても返信が来なかったが、実際に現地へ足を運び、自らその輪に飛び込んだ。大学公認クラブでありながら、活動は自由でラフな雰囲気だったという。技術の向上だけを目的にするのではなく「コミュニティ」や「居場所」であることを重視しており、自然な交流が生まれるきっかけになっていた。

 さらに、現地で参加した地域イベントの様子についても話してくれた。住宅街の公園で行われていたローラースケートイベントに足を運び、海岸沿いで行われている地元の社会人サークルの活動にも参加。プロスケーターが地域の子どもたちにスケートボードを教えるイベントにも関わる中で、競技だけではない「文化」としての広がりや、地域活性化の可能性を実感したという。

調査と対話から見えた、居場所としてのスケートボード

 今回の研修では、現地でアンケート調査やインタビューも実施した。大学生スケーターへの調査では「大学よりもスケートコミュニティに帰属意識を感じる」と答える人が多かった一方で「大学内に安心して集まれる場所がほしい」という声も多くあった。「大学に管理されすぎることへの抵抗感」にも票が集まり、スケーターの本音が見えたと語る。

 こうした調査に加え、プロスケーターに行ったインタビューも、福本さんにとって大きな学びだった。特に心に残っているのは「人を動かすのは、単なる情報ではなくストーリーだ」という言葉だ。コミュニティの価値を社会へ伝えるためには、自分たちの活動をただ説明するのではなく、ストーリーとして言語化し外へ発信していく必要がある。このアドバイスは、今後の福本さんの挑戦における重要な指針になった。

 一方で、2か月にわたる今回の渡航は試行錯誤の連続だった。自分で訪問先の調整を行いながら各地を回る毎日を振り返り「大変だったけれどその分面白かった。たくましくなったと思います」と語る。また、英語への向き合い方にも変化があった。渡航前から英語学習プログラムを続けていたが、現地では独特の言い回しに苦戦することも多かったという。しかし、空き時間にYouTubeなどで会話表現を学び続けるうちに、少しずつ抵抗感が薄れていった。福本さんは「以前は『勉強するもの』だった英語を、今は『人とつながるための道具』として考えられるようになった」と自身の変化を語る。

大学の中に、誰もが挑戦できる居場所をつくる

 帰国後は、今回の学びを立命館大学のスケートコミュニティへ還元していく予定だ。現在所属しているのは大学非公認のサークルだが、今後は大学からの公認化を目指し、より信頼性のある組織づくりに力を入れていくという。初心者や女子学生、小中学生、留学生など、誰でも参加しやすい環境づくりを進め、「挑戦」「創造」「多様性」といったスケートボード文化の価値をSNSなどを通して発信していきたいと語る。また、他大学との合同セッションなどを通じて認知を広げ、若者の孤独といった社会課題についても考えていきたいと決意を固める。

 スケートボードの「価値」を正しく伝え、誰もが輝ける「居場所」を大学の中に作っていく。ここから広がる「スポーツの可能性」とともに、福本さんの挑戦は始まったばかりだ。

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