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- ”愛されるチーム作り×挑戦する意思” ラグビー部小寺亮太ヘッドコーチ×小楠龍之介さん(スポーツ健康科学部4回生)
”愛されるチーム作り×挑戦する意思” ラグビー部小寺亮太ヘッドコーチ×小楠龍之介さん(スポーツ健康科学部4回生)
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2024.11.01
2024ムロオ関西大学ラグビーAリーグで奮闘する体育会ラグビー部・小寺亮太ヘッドコーチ(HC)と、スポーツ選手のケガ予防、救急処置、リハビリなど医療に関わる高度なケアを行うアスレティックトレーナーを目指す小楠(おぐす)龍之介さん(スポーツ健康科学部4回生)が、アスリートが自信を持って活躍できる環境づくりについて熱く語り合います。
今年から再び母校に戻り指揮を執る小寺HCと、来年からアメリカの大学院に進み、アメリカの国家資格「NATA−ATC(全米アスレティックトレーナー協会公認のアスレティックトレーナー」取得に向けて学びを深める小楠さん。アスリートへのサポートの重要性や、学生アスリートの人間性の成長「良き学生になる」ことなど、大学スポーツへの想いを打ち明けます。
―まずは自己紹介をお願いします。
小寺:本学体育会ラグビー部に所属し、スタンドオフ(チームの司令塔として戦術的なキックやパスを使ってゲームをコントロールするポジション)として関西学生代表にも選ばれプレーをしていました。1997年に法学部を卒業し、当時は関西社会人リーグの本田技研鈴鹿(現リーグワンの三重ホンダヒート)でラグビーを続けましたが、体育教師になりたくて翌年、大阪体育大学に編入学しました。卒業後は近鉄(現リーグワンの花園近鉄ライナーズ)で4年間プレーしました。体が動く間にと思い、ラグビーの本場のニュージーランドへ行き、ラグビーをしながらコーチングライセンスを取得するなど様々なことを学びました。その後、2007年から11年まで母校ラグビー部のコーチを務め、指導者としてのキャリアがスタートしましたが、大阪体育大学の大学院進学を機に他の大学で13年間指導経験を積み、今年再び母校に戻りました。
小楠:静岡県出身(浜松西高)で、スポーツ健康科学部の4回生です。ラグビー部の練習の見学を機に脳しんとうに興味を持ち、研究を始め、現在はアスレティックトレーナーを目指しています。また、外国人留学生が居住するBKCの国際寮(インターナショナルハウス)に住み、留学生の生活サポートや交流イベントの企画なども行なっています。
ラグビーを通した人間力の育成「良きラガーマンである前に、良き社会人であれ」
―まずはラグビーを見たことがない方へ、ラグビーの面白さを教えてください。
小寺:まず、グラウンドで観戦するなどより近くで体感してみてのスポーツだと思います。ぶつかり合う音だとか、息遣いなどグラウンドの近くで体感してみることでラグビーの魅力をダイレクトに感じることができると思います。また、球技の中で人数が15人と最も多く、様々なタイプの人がミックスされてメンバーが構成されています。15人もいるのでポジションによって適正が違い、スクラムを組むフォワード(FW)の8人もそれぞれ役割が違いますし、体が小さくても活躍できるポジションがあります。例えば他のスポーツに打ち込んで花が咲かなかった人でも、ラグビーに転向してすごくフィットする人もいます。身体能力や、それ以外のいろいろな能力に秀でた人たちが組み合わさって行う競技です。その多様性が非常に面白い。激しいボールの奪い合い、突進、タックルなど、選手同士のぶつかり合いが絶えませんが、ノーサイド(試合終了)の笛が鳴れば、敵味方関係なく、力の限りを尽くして戦った選手がお互いを称え合う。そういう所もラグビーの魅力のひとつだと思います。
小楠:5月26日にラグビー部が近畿大学と対戦した「ReLIVE」を、BKCのDaigasエナジースタジアム(クインススタジアム)で見ました。やはり生で見ると迫力が違いますね。
―次に立命館大学ラグビー部の特徴をお願いします。
小寺:今年、初めてチームに合流した時に感じたのは、私が10数年前にコーチをしていた頃と比べて、ラグビーが非常に上手だなということでした。ただ、こだわりを持った上手さではありませんでした。特に基本的なプレーにおいてもっと細部にこだわった丁寧さが必要で、このあたりのこだわりのなさが試合中にプレッシャーが掛かった状況でミスが多くなる原因になっている気がします。ここを妥協せず、どこまでこだわって突き詰めていくかが成長のカギだと思っています。小さなことの積み重ねで改善できるし、決して個々もチームもMAXの状態ではなく、チーム全体に伸びしろを感じています。素朴な学生が多いのも特徴の一つだと感じています。
―「Enjoy(全力を出し切る)」、「良きラガーマンである前に、良き学生であれ」は、小寺HCのコーチングフィロソフィーだと思います。部員と接する時に気を付けていることはありますか?
小寺:まず、ラグビーを手段とした「人としての成長」を目的として、部員が互いに刺激し合い高めあいながら成長できる組織を目指しています。そして、立命館スタイルを構築することを常に念頭に置いています。また、「基本プレイの質と完成度」が試合の勝敗を左右すると思っているので、「細部にこだわる=勝負の神は細部に宿る」ことを常に意識しながら「教育・指導・成長支援」を行うように心がけています。ただし、チームカルチャーとして、この考え方が浸透するのには時間がかかるとも思っています。5年後には創部100周年を迎えます。立命館スタイルを構築するのは当然ですが、これまでの歴史と伝統、文化をつなぎ、次の100年に向けてラグビー部がさらに成長し、発展し続ける組織になっていく必要があると感じています。
小楠:若手選手の育成やチーム作りに時間がかかることはよく理解できますが、直近の3、4回生へのアプローチはどうされていますか?
小寺:3、4回生のみならず、各選手の競技力は高いと感じています。なかでも4回生でフォワード(FW)の本郷正人、バックス(BK)の山下真之介の二人の共同主将と主務の小暮大悟が、自分たちの役割を全うしてくれて、私たちコーチングスタッフをうまくサポートしてくれています。また、たまたまですが、私が合流するまでに今年の4回生は私の考えや方針に実にマッチしたチームスローガン「ONE」を掲げてくれていました。1つのプレー、1回の練習、1回のウエイトトレーニング、1試合への準備など、目の前の「ひとつひとつ」にこだわり、一人一人が目標への高いマインドを持ち、ひとつのチームになることを意味しています。その「ONE」を最大限、体現してくれています。もちろん短期的な結果も求められますが、トップのAチームだけでなく、チーム全体として、まずは「最強のチームになるよりも、最高のチーム」になることが重要だと考えています。そして、最終的には「最高のチームであり、最強のチーム」になることを目指しています。
―「最強のチームになるよりも、最高のチーム」とはどんなチームで、どう意識改革しますか?
小寺:学生が人として成長し、どのような道に進んでも、どのような人と出会っても可愛がってもらえる人間になって欲しいというのが、私の一番の願いです。社会人でラグビーをしていた時には、会社や自分に関わるすべての人たちに応援してもらえるように、先輩から「良きラガーマンである前に、良き社会人であれ」という言葉を教えていただきました。それと同じで、先ほどの「良きラガーマンである前に、良き学生であれ」は、非常に大事なキーワードだと考えています。部員たちは「このチームにいて良かった」と心から思い、周囲からは「立命館のラグビー部と部員はしっかりしているな」と、強く思ってもらえるように、常日頃からの「考動」が欠かせません。たとえラグビーが強くても、学生として肝心な所がおろそかになっていれば、決して「最高のチームであり、最強のチーム」になることは成し遂げられないと思っています。また、地域貢献活動や社会貢献活動・ボランティア活動にも積極的に取り組みたいと思っています。近江商人の三方よしの考え方に近いですが、「地域や社会のためによし、立命館大学にとってもよし、自分たちの成長のためにもよし」と大学の教職員の方々やその関係者、附属校の関係者、地域の方々、社会に応援していただけてこその「最高のチームであり、最強のチーム」であると思っています。
―応援してもらえるチーム像の話にもなりました。応援したいと思うチームとはどのようなチームでしょうか?
小楠:私は試合の随所にフェアプレーの精神が感じ取れるチームに惹かれます。ただ単に強いチームより好感が持てます。倒れた選手に手を差し伸べたり、サポーターに礼を欠かさないようなチームには応援に熱が入ります。
小寺:倒れている選手を助けるのはスポーツでは当然の行為です。良いスポーツ選手になる前に、まず良い人間になることが大事ですね。
小楠:求められている社会貢献や存在価値などは、大学生になってから初めて気付きます。脳しんとうを研究している理由のひとつは自分のため、その一方で周囲の方や社会のためになりたいとの思いでもありました。また、海外で居住した経験はなくても、環境が変われば困りごとができるのは自然なことで、私が行っている留学生へのサポートも当たり前のことだと思っています。
―社会とのつながりの中で出会いは大事ですね。体育会の学生にも当てはまることです。
小寺:ラグビー部の活動拠点(グリーンフィールド)はBKCのキャンパスから少し離れていて、教職員の方々や学友になかなか普段の活動を観てもらえる機会がありません。また、大学の限られた場所やグラウンド周辺でラグビー部の仲間だけで過ごしていると、人との繋がりや刺激が少ないと感じています。学生が、勉強やラグビーに一生懸命に取り組むことは大事なことであり、あるべき姿だとは思いますが、学生にとってはそれだけではなく、社会とどう繋がっていくかが人としての成長には欠かせない重要な課題だと思っています。そういった観点からも、ラグビー部ではラグビーを通じた地域貢献・社会貢献活動の一環として、地域の子どもたちを対象としたラグビー教室や、小学生・中学生を対象とした「立命館大学GENKIラグビーアカデミー」なども年間を通じて実施しています。また、今後は大学や草津市、滋賀県などとより積極的に密接に協力しあって、地域貢献活動・社会貢献活動・ボランティアなどいろいろな取り組みにチャレンジしようと思っています。小楠くんの留学生へのサポートは本当に良いことで、良い行いはいずれは回り回って、自分を助けてもらうことになるかもしれません。
―ところで小寺HCは学生時代、関西学生代表のスタンドオフ(SO)として活躍され、大学に入学してから4年間ですごく成長した選手だと聞きました。
小寺:負けず嫌いで、失敗と成功の繰り返しから学べたことや、今思えば、指導者や先輩方、仲間にある程度自由にやらせていただいたおかげで成長できたと感謝しています。2回生からレギュラーになりましたが、チームの成績があまり振るわないシーズンもありました。しかし、4回生時には仲間や指導者、先輩方のおかげで4年間で初めてAリーグ4位になることができ、大学選手権にも出場することができました。そのような環境の中で私が常に考えていたことは、試合に出場することが目標ではなく、Aリーグの8校を見渡し、「関西でナンバーワンの10番になる」と、心に決めていました。
社会人になってから知った言葉ですが、後藤静香さんの「第一歩」(「十里の旅の第一歩、百里の旅の第一歩、同じ一歩でも覚悟がちがう。三笠山にのぼる第一歩、富士山にのぼる第一歩、同じ一歩でも覚悟がちがう。どこまで行くつもりか。どこまで登るつもりか。目標が、その日その日を支配する。」*『権威』に収載)という言葉が自分自身では非常にしっくりきています。小楠くんも「日本一のアスレティックトレーナーになる」など、目標の設定次第で今後が変わってくると思います。
小楠:夢やキャリアだとか、まだ何をどうするかは具体的ではなくて、今はアメリカの留学先を調べるのと、渡米前に解剖生理学に関連する英語の専門用語を覚えないといけません。ラテン語由来の用語が多いので、見ていても分からないので、手書きして覚えています。
小楠さんの挑戦、アスレティックトレーナーへの道
―研究内容を教えてください。
小楠:脳しんとうがキーワードになっています。ラグビー、アメリカンフットボール、柔道、レスリング、アイスホッケーなど、大学生のコリジョンスポーツ(直接、身体が接触する機会が多いコンタクトスポーツ)の中で、脳しんとうが起きた選手の心理状態やウェルビーイング(心身ともに満たされた状態)を研究していて、パーソナル特性や認知機能とも関連づけて解析をしています。来年3月の卒業をひとつの区切りとしてアメリカの大学院入学を目指し、キャリアアップを考えています。
―スポーツの専門的な研究ですね。立命館大学に進学した理由は何だったんでしょうか。
小楠:私は学部で選びました。スポーツの名が付く学部は他の大学でもたくさんありますが、健康を科学する所に着目しました。ただ、スポーツやトレーニングを学ぶだけではなく、ウェルビーイングに焦点を当てて研究することに興味を持ちました。また、GAT(グローバル・アスレティックトレーニング)プログラムがあることも決め手になりました。GATプログラムは立命館大学の学士号と、提携するアメリカの大学院の修士号を取得し、アスレティックトレーニング教育認定委員会に認可されたアスレティックトレーニング教育プログラムを保有するアメリカの大学院への進学・留学を積極的に支援するスポーツ健康科学部独自の画期的なプログラムです。
元々、スポーツへの関心が高く、中学はサッカー部、高校ではボート部で活動していました。今もサッカー、バスケットボールなどスポーツを見ることが好きです。もちろんスポーツをすることも大好きなので、最近マラソンに挑戦しています。3月にはびわ湖マラソンで、初めてフルマラソンを走りました。来年2月の大阪マラソンも走ります。
小寺:アスレティックトレーナーはスポーツ選手のリスクを防ぐ重要な役目を担います。スポーツのケガの中で、特に脳しんとうは頭部に激しい衝撃が加わり、意識の消失や記憶障害など、一時的な脳機能障害が起こる大きなトラブルです。アスレティックトレーナーになろうと思ったきっかけは何だったのでしょう。何か経験や出会いがあったのでしょうか?
小楠:部活に打ち込む中で、仲間のケガを防げたのではないかという思いが、ずっと心に残っていました。高校でボート部の主将を務めていた時、練習前に足がつるような症状を訴える選手がいました。私は当時、トレーナー的な知識もなく対処の仕方も分からず、「できる範囲でいいから練習して」と、言葉を返しました。その選手は、当日の練習で足の痛みが悪化して肉離れを起こし、3週間練習ができない状態となりました。大会が直前に迫っていたこともあり、私には練習を休むのは「悪」という昔ながらの考えがあったのですが、チームメートに負傷を負わせたことは、自分の責任だと痛感しました。ケガを予防し、どう対処するか。この時からアスリートをサポートしたいと強く感じました。
―「NATA(National Athletic Trainer‘s Association)−ATC(Athletic Trainer Certified)、全米アスレティックトレーナー協会公認のアスレティックトレーナー)」はアスレティックトレーナーの最難関の資格と聞きます。ATCの特徴を教えてください。
小楠:はい。アメリカでは準医療従事者に該当します。そのため、けがの予防や処置のことをイメージしがちですが、アスレティックトレーナーは選手のヘルスケアプロバイダーであるため、時にはトレーニングの指導、心理的なサポート、栄養面で管理も必要となり、まさに、アスレティックトレーナーとはジェネラリストのような存在です。私はこの資格を取得して働きたいと考えています。医師と連携し、身体活動の要望、リハビリ、緊急時の対応など、実習現場を見たり、実際に体験してさらに思いを強くしました。資格を取得したその先は、まずはアメリカで、その後、日本の高校、大学でこの資格を活かして働こうと考えています。アスレティックトレーナーを目指そうと考え出したのも部活がきっかけなので、学生アスリートのキャリアの早い段階で私が学んだことを提供したいと思います。
小寺:社会人の経験から言うと、自分が成長したり、変わっていく瞬間に新たな出会いが必ずあるはずです。高校、大学だけでなく、プロ選手や五輪など世界のスポーツの世界を見て、世界を舞台にいろいろなことを学んでアップデートしていく方法もあるのではと思います。失敗を恐れず、失敗して学ぶこともあります。私は部員たちに「失敗や勝敗から何を学ぶのか」とよく言うようにしています。
小楠:うれしい言葉です。高校、大学で働きたいというのは、あくまでキャリアプランで、渡米してからの出会いや経験で、新しいチャンスが出てくるかもしれません。そこは固執せずに学びを深めたいと思います。
小寺:世界を舞台に活躍できる職業だから、アスレティックトレーナーが不足している国や地域で活動するのもひとつの方法かもしれない。私はニュージーランドや世界へ飛び込んで行った時、「ラグビー」というキーワードがあれば、世界中の誰とでもつながることができました。将来「小楠という立命館大学出身のすごいアスレティックトレーナーが世界で活躍しているよ」と言う話を聞きたいと思います。小楠くんは行動力があるし、フルマラソンも意志が強くないと完走などできないよ。
小楠:ありがとうございます。今はアスリートに寄り添うキャリアプランを若い時にまず実行したいと思っています。早い段階で指導してつまずいても、セカンドキャリアではそれを活かして活躍することが可能だと考えています。
小寺:小楠くんはすごくしっかりしていると感じる。ラグビー選手も引退してからの方が人生が長い。将来どうするか、どう生きていくか。人から尊敬されるとまでは言わないが、せめて人として可愛がられる、愛される人間になる必要があります。インティグリティ(誠実さ)はラグビーの精神でもあるし、フェアプレーは何事にも大事なことです。研究活動やスポーツ、ボランティアにも精を出し、学生時代に大事なのはどう成長できるかでしょう。
―アスリートであっても人間力が問われますね。学生には自信を持って最大限の力を発揮できる環境も大切です。
小楠:いい環境があるから、好きなことができます。また、主体的に動くことも重要だと感じます。1回生の夏休みに自分からアプローチして多くの先生方を訪ね、たくさんのことを学びました。国際寮の存在も最初は知らず、日本の学生でも住めると聞いて、留学生の方や大学の方につないでもらいました。自分からアクションを起こすと大学生活も改めて意味があると思います。
小寺:主体性は重要なことですね。
小楠:関わった人がいい人ばかりで、自分を導いてもらえました。中学で部活をしながら生徒会長をしないかと声を掛けられて、やってみるとまた見える景色が違ってきました。様々な経験ができたのは、自分の意志も必要だし、環境が本当に大事だと思います。
小寺:出会いを自分で引き寄せている感じだね。
小楠:見えない糸に感謝しないといけません。ところでお聞きしていいですか? ラグビー部内のコーチ陣やアスレティックトレーナーと、どのようにコミュニケーションを図っているのですか?
小寺:可能な限り週1回はハドル(作戦会議)を行うようにしています。それ以外でも必要なタイミングで打ち合わせをしたり、グラウンドで情報交換することもあります。スタッフ間の風通しがいいので、私も話がしやすいですね。何より、全員がより良い組織(チーム)に成長したいと思っているので、意思の疎通に障害や問題はありません。
小楠:このスタッフ同士のつながりの良さも、アスリートが活躍できる環境になるのですね。
―脳しんとうに興味を持ったのは、ラグビー部の影響が大きいそうですね。
小楠:はい。1回生の秋、ラグビー部の練習を見学する機会がありました。その時、選手間の衝突が起き、A選手は頭部から出血、B選手は何も言わずグラウンドに倒れていました。頭部の外傷で見た目には出血している方が危険な状態だと感じますが、松本秀樹さん(ラグビー部のアスレティックトレーナー)の行動を見ていると、真っ先にB選手の方に駆け寄り、A選手には学生トレーナーに指示して止血処置を依頼していました。B選手は脳しんとうが疑われ、急を要する必要がありました。終わった後に松本さんの話をお聞きして、脳しんとうの怖さを理解できました。その日が私の大きな転機になりました。
小寺:松本アスレティックトレーナーが、一人の人生を変えてしまったね。ラグビー部には松本アスレティックトレーナーの存在が絶対に欠かせず、誰もが本当に頼りにしています。彼が不在で練習する環境なんて考えられません。それほど重要なポジションです。彼の指導で学生トレーナーの成長にもつながっています。
関西リーグの意気込み
―最後に、11月から同志社大学との試合を始め、大事な関西リーグの終盤に差し掛かります。
小寺:同志社戦から絶対に負けられない3試合が続きます。本当にこれまでの勝敗から何を学んだかが重要です。まずは全力を出し切る、そして胸を張ってベンチに戻ってくるという立命館スタイルを体現してほしいと思います。結果は自ずとついてくると確信しています。個々とチームの成長を感じたいと思います。
小楠:一般の在学生には一度、現場に行って試合を見てほしいと思います。私も応援に行きたいと思います。
小寺:日本開催のワールドカップの盛り上がりもそうだったように、ルールを知らなくても試合会場で見ると、きっと面白いと感じてもらえるはずです。
小楠:地域の方々も招いてBKCで公開練習を行なってくれると、もっともっとラグビー部のファンが増えると思います。ぜひ検討してみてください。