OIC H棟・
情報可視化

第1回

〈テーマ〉グローバル人材って何?

新しいものを作る、ということ

  • 安武 弘晃

    Junify, CEO

「世の中は変わり続ける」を前提に
ものごとを考える

私は現在、アメリカのシリコンバレーで、Junifyという会社を経営しています。でも40歳くらいまで海外に興味がなく英語も話せませんでした。NTTから楽天に転職した後、社内の公用語が英語に変わり、無理矢理話さざるを得なくなったのです。世界中を飛び回っていろんな人と知り合い、いろんな人と仕事するうち、それが楽しくなって、楽天を辞めてアメリカに移住し、Junifyを起業しました。

楽天という会社は知っていますよね。楽天スーパーポイントのシステムは私がゼロから作り上げました。それが誰にでも利用してもらえるようになったのは本当にすごいことだと思います。28年前には楽天のサービスはありませんでした。当時はネットで物を買うなんて怖いという時代でしたから、楽天市場を立ち上げ、一生懸命営業しても、11店舗しか集まってもらえませんでした。

こんな話を聞いても皆さんには実感しにくいと思います。今日お伝えしたい一つのポイントは、「時間の流れを考えてみる」ということです。私が楽天の創業者三木谷浩史さんと知り合った頃、楽天という会社自体が存在していませんでした。20年、30年という時間が流れると、日本全国で知らない人はほぼいない状態になった。世の中が大きく大きく変わったのです。

楽天がまだなかった時、三木谷さんはなぜそれを創ろうと思ったのでしょう。楽天の初期から今までの時間の流れを考えた時に、最も大きく変わったのはインターネットの普及です。インターネットが使いにくく、ほとんど使われていなかった時代に、三木谷さんは、「インターネットはもっと簡単に、もっと便利になって、爆発的に普及する」と予測したのです。今なら当たり前に思えるかもしれません。でも、誰も知らない、見えない状態で、予測したことが、20年30年経って、まさに現実になっているのです。

その前提となっているのが、「世の中は変わり続ける」という、非常にシンプルな事実です。でも、人間は、なかなかこの前提でものを考えることができません。今あるものはこれから先もあると思ってしまいます。でも、世の中は変わり、古いものは新しいものに置き換えられていく。この繰り返しです。

心の中のモチベーションから
未来を創造する

では、この先はどうなっていくのか。未来を創るのは皆さんです。時間と共にどんどん新しいものが出てくる時、それを消費する側に回るのか、それとも自分で創る側に回るのか。つくる側になって、世の中にないものを自分で考え、つくり、世の中に提案していくのは面白いよ、ということを今日お伝えしたいと思います。

創るといっても、やり方は教科書にも書いていないし、誰かが教えてくれるわけでもありません。だから、自分の気持ちや感情をその中にいっぱい入れていきましょう。こういう未来になったらいいなという気持ち、今ある問題を解決して世の中をもっと良くしたいたいとか、単純に面倒くさいことをもっと便利にしたいとか、こういう自分の心の中にあるモチベーションをもとに創造していくのがすごく大事だと思います。そのプロセス自体も苦行であってはいけません。自分が新しいものを創りたい! 世の中に提案したい! と楽しくやっていくことが、新しいものを創ることにつながってくると思います。

ただ、未来は今の延長にしかありません。何かしらの論理やロジックをもとに、世の中が変わっていく方向を予測し、なぜそうなるのかを説明できるようにしましょう。また、自分の常識の中の狭い世界で考えるだけでなく、知らないことを知ろうという知識欲や、外を見るという気持ちがすごく大事です。違う国、違う文化には、自分の常識の延長では理解できないことが山ほどあります。それらを知ることによって、自分の考え方を外から見ることができますし、自分の認識の外にあるものを取り入れることは、新しいものを創り出すモチベーションにもなると思います。イノベーションとは、今あるもの2つの、これまで見えなかったリンクを作って組み合わせてつなぐような要素があります。違う国、違う性別、違う属性の人たちと話すことによって新しい気づきが得られたり、新しいものが見つかったりすることがあるのです。ダイバーシティ(多様性)は大事だと思います。

Googleは誕生してまだ27歳、Amazonは31歳、Instagramは15歳、TikTokに至っては8歳、ChatGPTは3歳です。YouTubeでも20歳くらい。これらはすべて、誰かが「こういうものがあったらいい」と思って手を動かしたから、今世の中に存在しているのです。 “The best way to predict future is to create it”(未来を予測する最善の方法は自らそれを創り出すことだ)という言葉があります。皆さんも、何かを創り出そうという気持ちを持ってもらえるといいなと思います。

共催

2024年度GPSP(R2030 推進のためのグラスルーツ実践支援制度)採択 「オール立命館で取り組む新しい創発性人材育成プロジェクト「Rising Stars Nexus」の創設」

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