第3回
〈テーマ〉未来のまなびとは?
AIアーティスト誕生!?
~キミのセンスで世界を変える~
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朝山 悟 氏
Microsoft Base Ritsumeikan運営 カコムス株式会社
グループ戦略統括本部 研究開発室 -
水越 崇文 氏
Microsoft Base Ritsumeikan運営 カコムス株式会社
グループ戦略統括本部 グループ戦略室
Microsoft Base Ritsumeikanとは?
カコムス株式会社は、OICに昨年誕生したMicrosoft Base Ritsumeikanの運営を担当しています。日本に30ヶ所あるMicrosoft Baseの中で、教育機関に設置された初めての、唯一の施設で、AIをはじめ最先端のデジタル機器が使える環境を備えています。学生だけでなく地域の方や企業、自治体の方などにも開かれていて、産学連携による創発性人材、DX人材の育成拠点としての展開が期待されており、特に学生向けには、「最先端デジタル知識と学問を融合した学び」「各種イベント・支援プログラム・セミナー」「DX関連質問への対応」などのサービスを提供しています。また、立命館大学生だけの特典として、マイクロソフト限定の資格を取るための支援制度があり、学生のチャレンジを後押ししています。



AIの現在地
~生成AIを使ったワークショップ~
AIは「人間の脳が行っている知的作業をコンピューターで模倣したソフトウェアやシステム」と定義されており、具体的には、人間の使う自然言語を理解したり、論理的な推論を行ったり、経験から学習したりするコンピュータプログラムなどをいいます。ChatGPTを使ったことがある人は、もうAIを使っていることになります。
AIの研究は1950年頃に始まり、今では、知覚関係については人間の機能と同等、もしくはそれ以上のところまでできるようになっています。例えば、「予測すること」は、人間と同じくらいできます。人の音声を聞いて、「この人です」と間違わずに認識することができ、その能力はおそらく機械の方が上回っています。文章の読解力では圧倒的に上、機械翻訳と画像の認識率についても人間と同等かそれ以上の能力を持っています。
AIの「見分ける力」や「特徴を見いだす力」に加えて、「生成する力」を備えているのが生成AIです。今日は、テーブルごとに、生成AIを使って Microsoft Base RitsumeikanのPRキャラクターを制作していただきます。「挑戦を想像させるかわいいキャラクターで、マイクロソフトと立命館大学がコラボレーションする印象を与える未来型キャラクター」というコンセプトのPRキャラクターを生成するプロンプト(ユーザーがAIに対して入力する指示や質問)を考え、指示を与えてください。5回生成して、一番いいものをアップロードしてください。
審査するのは私ではなくAIです。AIは、コンテンツが人にどう評価されるかをスコアで出せるところまで来ています。今回は「GAP(キーワードの知覚)」、「好感度」などの指標で予測・審査しました。AIが作ったものを、AIが評価する。世の中はここまで来ているのです。

AIにできること、できないこと
AIは非常に便利ですが、事実に基づかない、間違った情報を出してくることがあります。この現象をハルシネーションといい、もとの学習データが間違っている、プロンプトの伝え方が悪いなどの要因によって起こります。AIが出してきた結果に対するファクトチェックは必須です。
もう一つ伝えたいのは、AIにはできないことがあるということです。AIには、長期的な目標や夢を持つことはできません。本質的な課題を見つける能力もありません。例えば、鉛筆の先が丸くなったと伝えれば、AIは鋭利な鉛筆削りを考え出しますが、「そもそもシャーペンでいいんじゃないの?」という発想はしません。想像力・創造力は圧倒的に人間の方が上です。裏づけとなる情報や理由があれば、「今年は赤が流行るだろう」などの予測はできますが、「赤を流行らせよう」という創造性はないのです。「偶発的な発見」もできません。たまたま腐った豆を食べて、偶然、納豆を発見するようなことは人間にしかできないことです。
今後もAIは「発想」することはできないでしょう。本質的な問いや疑問を持つことがなく、幸せを感じたり、その幸せを誰かと共有したいと思ったりする感情はないからです。MicrosoftのAIはCoPilot(副操縦士)と名づけられています。これは「中心となるのは人であり、AIはあくまで副操縦士の立ち位置で使ってもらいたい」という理念に基づくもの。今の時点でのAIの最前線の使い方は、人の発想を表現するための「副操縦士」として伴走してもらうことだと思います。


講演を終えて
朝山 悟 氏
Microsoft Base Ritsumeikan運営 カスコム株式会社
グループ戦略統括本部 研究開
水越 崇文 氏
Microsoft Base Ritsumeikan運営 カコムス株式会社
グループ戦略統括本部 グループ戦略室
今回の目的は、実際にプロンプトをどんどん出してAIがどんな反応をするか、どんな画像をアウトプットするのかを体験していただくことでした。AIがアウトプットしたものをAIが評価するという新しい側面もお見せしながら、人でないとできないことがあるという「AIと人」の境目についてお話しできたかなと思います。AIとの適切な付き合い方を、早い段階でキャッチアップしていただくお手伝いができたかなと思います。

- 共催
2024年度GPSP(R2030 推進のためのグラスルーツ実践支援制度)採択 「オール立命館で取り組む新しい創発性人材育成プロジェクト「Rising Stars Nexus」の創設」
キーワード
- #人材育成
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- #イノベーション
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幅広い年齢の方に参加いただきましたが、子どもさんはどんどんプロンプトを出し、次々とアウトプットしながら自分の意図に近づけておられたことが印象的でした。逆に大人は、プロンプト案を紙に書いて、どれがいいかと考えた末に、最後の最後で入力し、生成されたものを提出されていました。我々としては、子どもさんのように、まずはどんどん使ってアウトプットすることを体験していただきたい、何度もAIに問うことでその結果を肌で感じて頂きたいので、そのことをもっと強く伝えていかなければと感じました。