第3回
〈テーマ〉未来のまなびとは?
[パネルディスカッション]
大阪万博×オーストラリア×立命館 新たな学びの可能性
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塚本 久美子 氏
オーストラリア大使館
シニアマネージャー(教育・研究) -
西田 憲史 氏
利晶学園大阪立命館中学校・高等学校 主幹
(旧初芝立命館中学校・高等学校)
日本とオーストラリアの関係は
あらゆる面でより密接に
塚本氏:私は現在、東京のオーストラリア大使館で教育と研究を担当しています。文部科学省など日本政府と教育・科学技術政策についての情報共有・意見交換や、日本の大学にオーストラリアの大学の研究の紹介をしたり、日豪の大学で共同研究を推進するためのイベントを開催するのが仕事です。また、日本の教育関連の政策や大学の動きなどもオーストラリアに向けて発信しています。
大使館には、オーストラリアから派遣された外交官と、日本で採用された職員の合計約120人が働いています。大使館の最も重要な仕事の一つは、オーストラリア政府の代表として、さまざまな会議に出席したり、日本政府と話し合ったりすることです。大使館内にはいろいろな部署があり、領事部ではオーストラリア人の保護、例えば日本旅行中にパスポートをなくした人に緊急の書類発行をしたり、怪我や病気になった人のサポートもしています。
大使館職員に一括採用はなく、職員が辞めた時や新しいポジションができた時などに募集されます。私は学生時代、「将来、国連機関で発展途上国の人たちを助ける仕事がしたい」と思い、オーストラリアの大学・大学院で国の政策などを勉強し、国連機関で働いた後、教育関係の政策に関わる大使館職員募集に応募して今の仕事に就きました。
オーストラリアから日本への観光客は年々増加しており、2024年には推定100万人に達しました。また、オーストラリアにとって日本は、中国に次ぐ第2位の貿易相手国です。日本の石炭の67%、鉄鉱石の55%、LNG液化天然ガスの36%、砂糖の50%以上、牛肉の40.5%がオーストラリアからの輸入です。讃岐うどんの90%近くがオーストラリア産小麦で作られています。近年は、政治・安全保障でも密接な関係を築いています。



教育分野での交流も盛んです。オーストラリアは教育の質が大変高く、約40ある大学のうち6、7大学が、世界大学ランキングの上位100位以内にランクインしています。そのため、日本人学生の留学先として人気で、2022年の統計では、アメリカ・カナダに次ぐ第3位、2023年には約1万2500人がオーストラリアに留学しました。小・中・高校も含めて学校間の交流も多く、最近は、立命館大学でも始まっている、日豪の大学間の共同学位プログラムへの人気が高まっています。
オーストラリアは、大阪・関西万博にもパビリオンを出展しています。テーマは「Chasing the Sun ― 太陽の大地へ」。これは、オーストラリアのエネルギーの源である「明るい人々」の才能、創造性、雄大な自然環境を表現しています。パビリオンの前には大きなステージも用意し、サイエンスサーカスという科学ショーも開催します。ぜひ、オーストラリアのパビリオンに遊びに来てください。



オーストラリアの生徒と
社会課題解決プロジェクトを遂行中
西田氏:利晶学園大阪立命館中高の生徒は、国際共同研究の一環として、オーストラリアのワラックナビールセカンダリーカレッジの生徒と一緒に社会課題を解決するプロジェクトを進めています。
具体的には、「地球以外の惑星で居住するためにどんなことが必要か」をテーマとしたオンラインでの共同研究です。地球外惑星には水がない、大気が薄い、放射線がすごく多く届いてしまう…など、さまざまな観点から、実際に住むためにはどうすればよいか、どのようなものが必要かについて、半年をかけて継続的に研究するとものです。研究成果は、大阪・関西万博のオーストラリアパビリオンで発表する予定です。
初芝立命館中高では、以前から海外との交流を盛んに行ってきました。中学3年生でニュージーランドかオーストラリアで2週間の語学研修、高校2年生でオーストラリアやアジア方面へ研修旅行に行きます。オーストラリアは治安が良く、教育レベルが高く、研修に最適です。時差もほとんどないことから、授業時間の枠内で共同研究できるというメリットもあります。
小中高生の皆さんは、今のうちに、興味や関心があること以外にも目を向けていってほしいと思います。大学では、学部や専攻によって関心の範囲が狭くなります。ですから、今のうちに、あえて自分が興味がない、苦手なことについても深く追求してもらいたいと思います。
パネルディスカッションを終えて
西田 憲史 氏
利晶学園大阪立命館中学校・高等学校 主幹
(旧初芝立命館中学校・高等学校)

- 共催
2024年度GPSP(R2030 推進のためのグラスルーツ実践支援制度)採択 「オール立命館で取り組む新しい創発性人材育成プロジェクト「Rising Stars Nexus」の創設」
キーワード
- #人材育成
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立命館学園のさまざまな学校の小中高大学生の皆さんに向けてお話しする貴重な機会でした。自分の枠にとどまらない学びをしっかりしてほしいなという思いで話をさせていただきました。附属校、系列校、それぞれの学校内で閉じていては他校の状況を把握することができません。自分よりもっとすごい生徒がたくさんいることを知るためにも、学校の外にどんどん出ていってほしいと思います。