環境に配慮した新施設の紹介

エコキャンパスの実現に向けて

人を中心に地域・社会へと広がる省CO2キャンパス
2015年4月、大阪府茨木市に立命館大学大阪いばらきキャンパス(OIC)が開設

2015年4月に大阪府茨木市に開設した大阪いばらきキャンパス(OIC)では、最先端のエコ技術の導入だけではなく、教育機関として環境意識を育むことも目標のひとつとしています。立命館地球環境委員会では、学園全体の年間エネルギー使用量(面積あたり)を、2020年時点で2008年度比の25%削減を目標としており、OICはこれを先導すべく、35%の削減を目指しています。この取り組みは、国土交通省平成25年度住宅・建築物省CO2先導事業に採択されています。今回は、OICの省エネルギーに関する3つの取り組みコンセプトについてご紹介します。

エコアクション・キャンパス

case01

環境行動を誘発する
エコアクション・キャンパス

  • MOTTINAIシステム
    ~学生数に応じて、照明や空調の利用エリアを自動制御~
  • SMART講義システム
    ~季節や方位、学生数に応じ、講義教室運用を調整~
  • ソトワーク
    ~屋外環境の快適性を見える化し、積極的な活用を促す~
  • エコアクションキャンパス
    ~WAON ポイントを活用した環境行動の促進~

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立命館びわこ・くさつキャンパス 理工系新棟II(仮称)計画

case01

地域資源と伝統を活かした
省CO2と防災の実現

  • 知が交感する「知のプリズム」
  • 知が集まる「知のハニカム」
  • 木漏れ日に抱かれた学びの場「杜のゆらぎ」

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立命館中学校・高等学校 長岡京新キャンパス

case01

省CO2・防災の取り組みを通じた
地域連携・まちづくり

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case02

環境行動を誘発するエコアクション・キャンパス

MOTTINAIシステム
学生数に応じて、照明や空調の利用エリアを自動制御

大教室内に設けたカメラで在室人数をカウントして、照明、空調、換気を自動制御し、前方ほど快適性が高くなるように環境をコントロールすると同時に、省エネルギー効果も高めます。

ソトワーク
屋外環境の快適性を見える化し、積極的な活用を促す

OICでは、屋上のテラスを数多く設けています。

テラス等の屋外の快適性(天気、温度、湿度等)を数値化し、室内表示することで在館者に屋外での活動(ソトワーク)を促します。

気持ちの良い空間での活動が閃きを促し、建物内の省エネ(照明、空調等)効果も高めます。

SMART講義システム
季節や方位、学生数に応じ、講義教室運用を調整

講義室運用システムとBEMS(※)を連動させ、スマート講義システムとして運用します。季節、方位、利用人数から空調負荷のより低い部屋を優先して割り当てることで省エネにつなげます。

例)夏期の午前中は西側の教室利用、利用する教室をなるべく隣接させ隣室非空調部を減らす、エネルギーセンター棟に近い教室利用を優先し配管ロスを減らす等

※エコアクション促進BEMS
各システム(エコアクション・熱源・電力)の情報を統合し、より効率の高い運転、施設運用に繋げるようにコントロールすること。

エコアクションキャンパス
WAON ポイントを活用した環境行動の促進

環境行動(エコアクション)に応じて、全国普及しているWAONカードにポイント付与。隣接するイオンリテール株式会社と連携し、環境活動促進を目指します。

case02

地域資源と伝統を活かした省CO2と防災の実現

知が交感する「知のプリズム」

大学院の共同研究室や教員研究室、コモンズが連なる公園側に開けた東側の外装を、オープンな作りとするため、1面ガラス張りの外装としました。

ガラスの内部には市松状に開孔がある波型鋼板の耐震壁を配置し、眺望を確保しながら、四季を通じて日射を制御する機能を持たせています。

また、耐震壁を挟み込む複層断熱障子と窓サッシに組み込まれた換気口の開け閉めによって、日射受照量を断熱複層ガラスと比べて約17%低減しています。

利用者が季節や時間の変化、その時の気分により環境を操作できる知が交感する「かたち」を表現しています。

知が集まる「知のハニカム」

教員研究室が並ぶA棟には、金属板と軽量コンクリートパネルの間に空気層を設けた断熱性能の高い外装を採用しました。

光を部屋の奥までもたらす縦窓と、日射と視線を遮る横窓の組み合わせにより、研究に集中できる環境を実現しています。

見る角度や光の当たり方で刻々と表情を変えるゆらぎのある外装としています。大学の知が集まる教員研究室の個を強調し、「蜂の巣」のように表現しています。



木漏れ日に抱かれた学びの場「杜のゆらぎ」

公園側に突き出した大講義室の北面、東面、南面に、菱形の外壁を採用しています。「杜」の木立をイメージしています。

直射日光を最小化する一方で、都市公園に開けた眺望と散乱日射による自然光を最大化し、教壇に向かう学生の視線には、木漏れ日のように柔らかな自然の間接光によって、授業への集中と安らぎをもたらしています。

外壁を菱形の形状とすることで日射受照量は約15%の低減を目指しています。大講義室の学びの場における開放と集中を杜のゆらぎにより表現しています。

開口率を変えることなく、PC板の小口を斜めとすることで、明るさ感を確保しながら、北面、東面、南面において直接日射を15%低減。



case03

省CO2・防災の取り組みを通じた地域連携・まちづくり

キャンパスの西側にE棟エネルギーセンターを設けています。
太陽光発電や災害時に強いガスによる発電システムにより、キャンパスに必要な電力の一部を賄っています。

ガスによる廃熱や太陽熱を空調に有効活用。
コンコースなどの共用部の空調は、教室や事務室で用いたものを再利用し、さらに風の力より排気を行い、省エネを実現しています。(図1)

OICは、茨木市の防災公園に隣接しています。
公園は約6,600人の一時避難に対応しており、備蓄倉庫も備えています。
隣接するイオンリテール株式会社とOICの非常用発電機をつなぎ、災害時に防災公園に電力供給を可能とします。

この取り組みをはじめ、茨木市、イオンリテール株式会社、立命館大学は災害に強いまちづくり協定を締結し、地域防災に関する相互連携協力を行います。(図2)