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Campus Master Plan

京都キャンパスの空間コンセプト

chapter4では、京都キャンパスの特色を踏まえ、目指すキャンパス像やキャンパス整備の空間コンセプトを設定する。本マスタープランでは、衣笠キャンパスについて記述する。

4.1衣笠キャンパスの空間コンセプト

歴史と文化の都市・京都から世界へ発信する伝統と創生の人文社系キャンパス
(R2020既存キャンパスの整備よりコンセプト引用)

京都・衣笠キャンパスは世界遺産・京都という立地特性を活かし、歴史的・文化的コンテクストを踏まえたキャンパス計画を行う。2013年には京都キャンパスのコンセプトの提案を行った。今後は、フレームワークプランの検討を進め、整備方針の方向性を検討しながら、コンセプトを定めていく。

1、京都・衣笠キャンパス周辺の歴史・文化的コンテクストを踏まえたキャンパス計画

キャンパス周辺の町並みとの調和や衣笠山への景観の連続性など、歴史文化都市・京都に立地する大学としての役割を意識した整備を行う。

2、キャンパスモールとグリーンプロムナードの主軸ときぬかけの道を活かした基本骨格

図4-1 コンセプトダイアグラム
図4-1コンセプトダイアグラム

東西軸のキャンパスモールと南北軸のグリーンプロムナードを主軸とし、これにきぬかけの道を活かした三角形の軸を骨格とし、これにグリッド状の動線を重合した空間構成を基本とする。3軸の交点となる正門・西門は、それぞれ鹿苑寺(金閣寺)・龍安寺へと連なる道の結節点であることを意識して整備する。

3、個の集合体としての力を発揮し、地域にも開かれたキャンパスづくり

衣笠キャンパスは、敷地が住宅街に点在しており、複数の敷地の集合体として成り立っている。また、学部基本棟を核とした多核心型建物配置となっている。この様子は、古来知の集積地であった寺院群、例えば大徳寺や妙心寺などの本山において、塔頭が建ち並び、個の集合体としての存在感を作り出しながら、街にも開かれた空間を提供している様子にもなぞらえることが出来る。複数の敷地・建物がそれぞれの個性を保持しつつ、かつ連携し、個の集合体として総合的な力を発揮するようなキャンパス整備を図り、地域にとっても開かれた知の集積地を継続的に形成して行くことを目指す。

4.2空間コンセプトに基づく基本的な考え方

衣笠キャンパスの空間コンセプトに基づく基本的な考え方

キャンパスの軸線の創出

  • 東西と南北の軸線をつくり、わかりやすいキャンパス空間をつくる
  • 歩行者の主要動線は十分な幅員を確保する
  • 東側の小規模キャンパスとの構内動線をつくる

良好な景観形成・周辺と連続した緑の整備

  • 衣笠山や等持院と連続した樹木の保全と創出をはかる
  • キャンパス内にボリュームある緑をつくる
  • 周辺の住宅地や寺院の環境や景観を守る観点から、キャンパス南側の建物ボリュームを将来的に一部低層とする必要がある(3.1.6参照)。同時にキャンパス建物について緑化や屋根形状、衣笠山への眺望などに配慮する
  • 軸線の結節点でありキャンパスの玄関口である正門を充実整備する

屋外空間の整備、各種コモンズ施設などの改善拡充を通じたキャンパスのアメニティの向上

  • キャンパスの魅力や活力の向上のため、学生や教職員、地域の人々の心地よい居場所(広場やコモンズなど)をキャンパスの軸線上につくる

施設の機能向上と改善

  • 既存施設の有効活用を図る
  • 時代に応じたアカデミックプランやニーズに対応しやすい教学・研究施設をつくる
  • キャンパス内人口の過度の偏在を避ける点と南側の将来的な床面積減を視野に入れ、建物床面積を将来的に北側へボリュームシフトすることを検討する。

4.3衣笠キャンパス空間構成の概要

かつての衣笠キャンパスは広場を中心とした空間構成であったが、教学展開のために広場に学舎棟が建設され、空間構造が変化した。そこで、新たなマスタープランにおいては、狭隘化の解消を目指しながら、広場型から軸線型への再編を試みようとしている。京都のグリッド型・大路/小路・みち空間といったアーバンファブリックを引用し、東西軸には新たにキャンパスモールを、また南北軸にはグリーンプロムナードを配し、それらと緑の小路を直交させ、周辺のまちへ連続するような景観づくりを意図している。さらに、これらの2 軸に加えて、仁和寺・龍安寺から鹿苑寺(金閣寺)方面に至る「きぬかけの路」を従来のように背面道路のような扱いではなく、歴史回廊として捉え、キャンパスを開くように計画している。

図4-2 衣笠キャンパスの空間構成イメージ
図4-2衣笠キャンパスの空間構成イメージ