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Campus Master Plan

大阪いばらきキャンパスの課題と方策

Chapter5では、2015年度の開設から3年が経過した現在、キャンパスがどのように使われているのか、計画時からの使用状況などを掲載し、これからのキャンパス整備に生かしていくことを目的としている。

5.1OIC開設後の整備状況

新たな教学、研究展開などに伴う施設整備

(1)総合心理学部開設に伴う施設整備

2016年4月総合心理学部の開設に伴い、開設時にスケルトンの状態であったA棟6階の内装工事を行い、基本施設となる各種実験実習室などを整備した。(写真5-1-1)

(2)心理教育相談センター開設に伴う施設整備

C棟南側のリザーブスペース内に期間限定のプレハブ造の建物を建設予定(2018年9月完成予定)である。(2016年度第2回OIC将来構想検討委員会で了承)

(3)グローバル教養学部設置ならびにOIC全体の教学条件改善のための施設整備

2019年開設予定のグローバル教養学部(GLA)設置ならびにOIC全体の教学条件改善のために、スケルトンの状態である、A棟5階の内装工事を行い、基本施設となるセミナールーム、ラーニングスタジオなどを整備する予定である。加えて、A棟3階の小教室を100名規模の中教室2室へ改修整備する予定である(2019年3月完了予定)。

(4)分林記念館

分林保弘氏(株式会社日本M&Aセンター代表取締役会長)より受領した寄付を原資として、国際寮機能と国際交流機能を備えた国際交流館を学内に建設することが確認された。3つのキャンパスコンセプト、とりわけ「アジアのゲートウェイ」を体感できる施設として1.2階を国際交流機能、3階以上を寮機能として寄付者の意向を尊重しつつ検討が進められる。なお、建設場所はリザーブスペースとOICフィールドの中間地を想定し、サブコンコースの延長線上に計画する。(2018年1月17日常任理事会にて議決)

(5)保育所

立命館における男女共同参画やダイバーシティ推進の象徴的な取組みとして、ニーズの高い学内保育所の設置についての検討が2017年より開始された。OICにおいては、学内保育所具体化WGでの議論、OIC地域連携室拡大会議、OIC子育て世代へのブレストミーティングなどを通じ、教職員の働きやすい環境整備、安心・安全・快適な保育環境の提供などを追求している。

写真5-1-1 A棟6階実験実習室
写真5-1-1A棟6階実験実習室

管理運用面の改善・整備

(1)コンビニエンスストアの整備(OICカフェテリア)

C棟1階のOICカフェテリアの一画(東側)に食堂の混雑暖和の一環として、生協の食料品専門のコンビニコーナー(OIC Mealshop)を設置した。

写真5-1-2 コンビニエンスストア
写真5-1-2コンビニエンスストア

(2)バリアフリー化整備(セミナーハウス宿泊室)

C棟5階の1室(5045号室)におけるシャワー・トイレ・洗面設備などについて車椅子利用者にも配慮したバリアフリー化を実施した。

写真5-1-3 C棟5階 5045号室
写真5-1-3C棟5階 5045号室

(3)温熱環境改善(OICアリーナ屋内)

D棟OICアリーナにおける夏場の室内温度上昇の抑制と、熱中症対策のため室内への空調機器の整備および屋根の遮熱塗装と窓の遮熱対策を実施した。

写真5-1-4 OICアリーナ
写真5-1-4OICアリーナ

(4)ガラス面のフィルム施工(コンコース)

夏場の屋内温度上昇を抑えるために、ガラス面にフィルム施工を実施した。

(5)鳥衝突防止フィルムの施工(B棟-C棟渡り廊下)

B棟-C棟をつなぐ2階渡り廊下のガラス面に、鳥が衝突しないよう、鳥衝突防止シールを貼付した。

(6)植栽の土壌改良、水はけ改善工事(里山エリア他)

「育てる里山プロジェクト」で移植作業を実施した里山エリアの水はけを改善するため、土壌の改良工事を実施した。キャンパス北の植栽エリアも樹木の成長が芳しくないため、土壌改良を実施予定である。

(7)出入口扉のスライドドア化(キャンピングキッチン東側出入口)

半自動の片開きガラス扉が強風の影響で閉まり切らず、危険であったため、スライドドアへ変更した。

5.2現状と課題

5.2.1施設整備の検討課題

教学・研究の質向上にむけ、全学的な検討が進められているアカデミックプランや各学部・研究科の教学展開、さらには学生の様々な自主活動のサポートなど、大阪いばらきキャンパスの教育・研究・学生生活環境の改善に向けた取り組みを進める。

なお、今後検討すべき課題についてOIC各部局、教職員、学生にヒアリング(2017年11月~2018年1月)を行い、指摘された箇所について右図に一覧として示す。

図5-2-1 大阪いばらきキャンパスの施設整備の検討状況
図5-2-1大阪いばらきキャンパスの施設整備の検討状況

5.2.2アメニティ課題

(1)キャンパス内の食環境課題

当初、食事用座席数については、生協食堂(OIC Cafeteria)に824席(2015年度在学生数5500人、一席当たり学生数6.6)を配置しスタートした。他キャンパスと比べても遜色のない環境であるが、一斉に昼休みをとる実態から、一時的に長い列ができたり、食事後も退席しない学生が多く、混雑は避けられない状況となった。この問題に対して以下の方策を講じた。

① 提供者側の出食作業効率化

② 屋外ベンチ、テーブルセットの増設

③ Cafeteriaのテーブル・椅子セット の増設

④ OIC Meal Shop(生協ミニコンビニ)の開店

⑤ 野外ランチストリート(4〜6店舗)の開設

⑥ 生協職員による席取り防止と食事後の退席の声かけ実施

①〜⑥により一定の効果は現れたが、食環境アンケートでは依然として、混雑解消を望む声が根強い(第1回学友会・自治会との懇談会、 2015/7/13)。新研究科、新学部の設置に伴う在学生の増加も見込まれるため、引き続き、混雑緩和の対策を検討する必要がある。また同時にキャンピングキッチン等のテナントに対しても、学生の利用しやすいメニューへの改善を要請していく必要がある。

(2)キャンパス周辺の食環境について

茨木松ケ本線のJRアンダーパス(OIC北側~イオン北側)が2018年3月に開通した。これによって、イオン茨木が展開する食サービスを享受することが見込まれる。

また、今後は、JR茨木駅東側の再整備や、キャンパス南の近畿道高架下(NEXCO西日本)の整備など、未定ではあるが可能性が残されているプロジェクトもある。

食環境の課題解決に際しては、単にキャンパス内の充実化に限らず、周辺の食環境の状況を見極めながら対応していくことも重要である。

(3)その他のアメニティ課題

・トイレ環境

ペーパータオルや空気乾燥機など、公共施設にも一般的に整備されているものに対しての要望があり、今後の課題である。

また、セミナーハウスのシングルルーム、ツインルームのトイレについては、温水洗浄便座に交換予定である。

・情報環境

ノートPCや、デスクトップPCの設置台数を増やすことの要望が多い。学生が個人のデバイスを持参する傾向もあることから、情報環境整備は、今後を見据えての検討・調整が必要になると考えられる。

・空調環境

各部局や教職員へのヒアリングの結果、空調環境(夏の暑さ、冬の寒さ)に関する要望が極めて多い。OICは環境負荷を低減するエコキャンパスを目指しており、パッシブデザインを積極的に施しているが、快適な熱環境を維持する必要がある。

遮熱フィルムの施工や機器能力の改善といったハード面だけではなく、期間外の柔軟な運用を含めて、適切な授業環境・学習環境の保持のため引き続き調整を要する。

図5-2-2 キャンパス内とその周辺の食環境分布
図5-2-2キャンパス内とその周辺の食環境分布

5.2.3セキュリティについて

施設内部へのアクセス

OICは、キャンパスの敷地境界部分に既存キャンパスのような塀や門を設置せず、学生・教職員だけでなく一般市民までもが校内を自由に行き来することができる開かれたキャンパスとして開設された。

キャンパスのメイン棟であるA棟には、いわゆる学舎棟として1階には教学部、学生部を中心とした行政機能、2~4階には講義室やセミナールームなどの教室機能、7~9階には教員研究室や院生共同研究室等を配置しており、様々な用途が1棟に盛り込まれた複合施設となっている。またC棟も、1階が生協施設、2・3階は教室機能、4階は院生ラウンジ、5階はセミナーハウスが配置され、さらに、茨木市の支援により設立されたB棟には、全国でも初となるオンキャンパスの茨木商工会議所、大中小3つのホールとライブラリー、レストラン、コーヒーショップなど、市民に開かれた地域社会連携のシンボルとなる機能が配置されている。

このように、他キャンパスにはない環境特性をもつOICにおいて、セキュリティをどのように維持するかは、開設準備段階から管理運営面での焦点となっていた。大阪いばらきキャンパス開設準備委員会のもとに置かれたOIC管理運営部会では、セキュリティを確保するラインは敷地境界線ではなく各建物の扉であるとし、扉ごとの施錠・解錠時間の設定、電子錠の扉については教職員証・学生証の認証識別による開閉権限の設定により建物内への進入を制限することとした。

(2016年7月26日OIC将来構想検討委員会「大阪いばらきキャンパス(OIC)開設1年目の総括」より抜粋)

図5-2-5 A棟のセキュリティの立体的な分割
図5-2-5A棟のセキュリティの立体的な分割

現状と今後について

開設以前は、特殊なキャンパス環境からセキュリティ維持の困難さが想像され、他キャンパスとは性質を異にするOIC特有のトラブルが危惧されていた。しかしながら、開設後キャンパス環境に起因するような特殊なあるいは重大なトラブルは幸いにも発生していない。

その要因の一つとして考えられるのは、茨木市が整備した岩倉公園の存在である。岩倉公園には常に学生や地域住民とくに子供達の往来があり、無意識のうちに人目を意識しながら行動をする環境となっており、結果としてマナーの向上やトラブルの回避に繋がっているのではないかと推察される。

ただし、一方で、重大事件・事故にはつながっていないものの、キャンパス周辺で路上駐車を繰り返す不審車輌や、再三の警告を無視し構内および周辺路上で禁止されているスケートボードをやり続ける少年など、警察に通報せざるを得ないケースも見られるため、茨木市や茨木署との連携をとりながらの対応が求められている。

キャンパスセキュリティについては、今後も試行錯誤を続けながら問題解決を図らなければならないが、セキュリティラインをすべて物理的境界に委ねるのではなく、人間の意識・環視も含めたクローズとオープンの中間、いわゆる「クロオープン」のような関係を維持することも重要と考えられる。

(2016年7月26日OIC将来構想検討委員会「大阪いばらきキャンパス(OIC)開設1年目の総括」より一部抜粋)

5.3リーディングプロジェクト(重要検討課題)

5.3.1OICにおけるリーディングプロジェクトの役割と設定方針

OICは建設当初から「学びの軸」と「市民交流の軸」という二つの軸を中心とする明快な骨格を持って計画されている。そのため、OICのマスタープランの役割は、将来にわたってこの基本骨格を活かし、キャンパスのコンセプトを実現していけるような、建物や緑地の管理運営と更新の指針を与えることにある。この点が、既存のキャンパスを中長期的視点で整序化することを目的とする、他の2キャンパス(京都キャンパス、びわこ・くさつキャンパス)とは大きく異なっている 。

図5-3-1 大阪いばらきキャンパスの二つの軸
図5-3-1大阪いばらきキャンパスの二つの軸

5.3.2当面のリーディングプロジェクト

(1)分林記念館とサブコンコースの延長

現在、OICでは以下の施設の整備が検討、あるいは予定されている。

  • 保育所
  • Beyond Borders Plaza
  • 心理・教育相談センター
  • 分林記念館

これらの施設については、「アジアのゲートウェイ」「地域・社会連携」というキャンパスコンセプトとも関連が深く、既存の諸施設や周辺環境との関係、あるいは将来的なキャンパス整備の展開可能性を考慮して、相互に関連づけながら俯瞰的な視点で計画を行う必要がある。このため、「国際交流ゾーンとサブコンコースの延長」をOICにおけるリーディングプロジェクトとして位置付ける。

5.4アクションプランの今後の進め方と配慮事項

5.4.1当面のアクションプラン

(1)A棟5階の施設整備

グローバル教養学部(以下、GLA)の基本構想(2017年1月25日常任理事会)においてOIC5階スペースに展開することが確認されている諸施設についてGLA設置委員会のもとに置かれた施設設備検討WGにおいて3度にわたり議論がなされ、その方向性が示された。

基本的な考え方としては、既存施設を活用しつつGLA教学展開も見据えた機能を5階に整備することであるが、これまでの施設設備検討の考え方を踏襲して5階をGLAが専有するのではなく、「アジアのゲートウェイ」等のOICの教学コンセプトの実現や国際化の一層の推進、OIC教学全体の向上に資する施設として整備することとした。なお、5階整備においてはOICのゾーニングの基本的な考えを変更せずにGLA教学の実現に適用することが将来構想検討員会で確認された。

①学生の主動線である南北コリドーに、「コモンズ」エリアを配置し、コモンズを中心とした環境づくりとする。

②「教室」エリアは、南北ウイングを中心に配置する。ゼミ教室を100名教室に転用するため、ゼミ教室が不足することになるので、5階に新たに設置する。また、アクティブ・ラーニングに対応したラーニング・スタジオの需要は年々増加しているので、この点を踏まえ、アクティブ・ラーニング系教室を配置する。GLAの教育手法や学びのスタイル、OIC全体の将来的な学びの変化、アクティブ・ラーニングへの対応なども踏まえて具体化する。

③「教員研究室・学習支援」エリアは、AC事務室とCo-Lab.との接続の利便性を勘案し、中ウイングに配置する。併せて、GLAの教学上必要な学習支援機能も近接して配置する。

なお、先述したとおり、研究室は7階以上の研究エリアでのゾーニングが基本であるが、GLA教学上の特徴に鑑みて、ANU・RUの教員同士の教学・研究におけるより密な協働を行う「空間的まとまり」を追求するため、5階のスペースを活用することとした。

(2017年10月4日常任理事会「グローバル教養学部設置ならびにOIC全体の教学条件改善のための施設整備について」より抜粋)