テクニック編

論文・レポートの書き方

はじめに:大学で書く論文・レポートとはなにか

私たちはさまざまな機会に文章を書きますが、目的や読手によって書き方を変えなければなりません。では、みなさんは論文やレポートを、誰に読ませるのでしょうか?そして、そこでは何が求められているのでしょうか?

大学での「学び」の中で書く論文やレポートでは、いわゆる「作文」とは異なり、基本的に学術的な体裁と形式、そして内容を持つものが求められます。

ここで言う「学術」とは、どのようなことを意味しているのでしょうか。「学術」という概念は、人文・社会・自然科学の全ての分野における知的な創造的活動の総体を示すことばであり、それぞれの分野で成熟した世界観・社会観をもって主体的かつ能動的な知の探究と社会の進路を切開く人間の学問的な営みとその過程を意味することばと言えます。

大学での学びとは、これまでの「学習すること」から「学問をすること」への移行を意味しています。高校までの「学習」は、専ら先人が発見した知恵や思想、技術や創造物などを知識として習い身につけていくということに比重があると言えます。しかし、大学では、これを基礎に、現状やこれまで当たり前と思われてきたことを「問う」ことを通して、これまで知られていなかったものを発見したり、これまで解明されてこなかった課題に対する解答を導き出したりすることに重点が置かれます。その意味で、私たちが学問を行うという営みは、いままで自明のことと思われていたことの「虚構」を暴き、「真理」を探究することであると言うことができるでしょう。すなわち、学問という営みは、既存の知識に対する「疑問」、「問いかけ」から出発するものであるからです。それゆえ、大学での「学び」には、はじめから明快な「答え」があるわけではありません。むしろ、知識や技術を体得すること以上に、「疑問」について考え、「答え」を創造していくことに、大学での学びの醍醐味があります。

かくして、大学において論文・レポートを書くという行為は、自己の知の探究の営み(=学術)を公のものとして発表していく試みの一つであると言うことができます。とは言え、はじめからこうした学問的営みを踏まえた学術論文やレポートが書けるかというとそうではありません。これも鍛錬の賜物であり、大学での学びの中で、学問的な思考や方法を体得し、それを表現するための手法を身につける必要があります。では、どのようにすれば学術的な論文やレポートが書けるようになるのでしょうか。ここでは、その基本的なポイントについてお話をしていきましょう。

1. 論文・レポートを書くということ

<「甘え」や「ごまかし」は通用しない>

みなさんが執筆する論文・レポートを読むのは、大学での学習の中では、まず講義や演習を担当する教員ということになります。教員はそれぞれ担当する分野における専門知識を備えており、しかも文章を書くという作業には熟練しています。したがって、みなさんの書いたレポートが、一生懸命に努力した結果なのか、締め切り間際に大あわてで書いたものなのかは、すぐにわかります。

ですから、いい加減な【ごまかし】は通用しませんし、逆になんとかわかってくれるだろうという【甘え】も通用しません。

論文やレポートに求められているのは、みなさんが、授業で得た知識や考え方の枠組みを利用し、授業以外の勉強(大学入学以前の蓄積を含めて)も総動員し、一つのテーマについて考察した結果を文章にすることなのです。したがって、他人の説の引き写しばかりであるとか、無味乾燥な【報告書】や情緒過多の【感想文】であってはいけません。

2. 論文・レポート執筆にあたっての倫理:「剽窃行為」について

剽窃(ひょうせつ)とは:論文・レポートに、著作権者に無断で著作物を複製・転載すること=【学術上のルール・モラル違反であり、著作権法に反する犯罪行為】

※ここで言う「著作物」とは、日本国著作権法の定めにより、論文・講演などの言語などによる著作物(美術、図面、建築、地図、模型、放送、映画、音楽、劇、写真、プログラム、Web 上の文章・データ・画像など)を指します。

⇒論文・レポートを書くにあたっては、参考にしたすべての書籍・論文・資料を明らかにすることが極めて大切です。他者がすでに発表している成果物(書籍や論文など)について、出典を明記せずに利用することは、剽窃行為とされます。

<剽窃の種類>

  • 先行研究や他人の意見を出典を表示せずに、自分のものとして発表すること
  • 書籍、雑誌論文、ウェブサイトなどで入手した資料や文献、また他人の書いたレポートや論文を自分が書いた文章であるかのように装って使用する行為(「まる写し」、「引き写し」、いわゆる「コピペ」)
  • 出典が明らかにされていても、過度な分量の引用は「剽窃」、「盗作」に等しい行為です。
  • 「自己剽窃」:過去に自分が発表した論文の内容を、それらの論文の出典を表示することなく、新たな論文として発表・提出(同じレポート・論文を使いまわしすること)すること。

⇒論文・レポートの作成をはじめ、そもそも学問という営みにおいて、最も大切なことは、誠実 であることです。

【学生生活ガイド:レポート剽窃(ほう助)に関わる注意喚起】
http://www.ritsumei.ac.jp/file.jsp?id=495390

3. 論文・レポートの作成にあたって

3-1 書式・提出期限を守ろう

(1)論文・レポートを書くにあたって、書式(形式要件)が重要となります。紙のサイズは A4判かそれ以外の版か。縦書きか横書きか。字数の制限はあるのか。論文やレポートにこうした条件がつけられている場合、それに従わなければなりません。まして、提出期限を守ることは言うまでもなく当然のことです。

(2)次に、形式を整えることが大切です。名前や学籍番号などが記載されていない論文・レポートが散見されます。これでは評価対象になりません。下記の点をしっかり明記しておくようにしてください。

  1. ① 名前、学籍番号、授業名を記載すること
  2. ② 目次を記載すること
  3. ③ ページ数を付けること

3-2 テーマを見つける

<豊かな問題意識を持とう>

問題意識のない論文は、読んでいても張りがないし、筆者の気持ちも伝わって来ないものです。どのような課題設定をするかが、まず論文の出来を左右するといっても良いでしょう。問題意識は、論文作成の羅針盤であると言えます。国際関係学を学ぶ上で、以下のポイントが重要となります。

(1)国際関係学は、伝統的な学問分野の区別を超えて現代国際社会を「総体」としてとらえようとすること

(2)国際関係学は、日々生起し変化する国際社会の実態を一つのシステムとして捉える方法を確立すること

(3)国際関係学は、既成の学問の「受容」ではなく、自ら自発的に問題を発見し、それを解き明かしていく「能動的な研究態度」がとくに求められる学問分野であること

⇒国際関係学を学ぶプロセスにおいては、【具体的な事象を抽象化する思考力】と【豊かな問題意識】を持つことが大切です。

3-3 文献・資料を探す

<大学図書館を大いに利用しよう>

みなさんが選んだり与えられたりしたテーマについて、「どんな資料があるか」、「それはどこで手にはいるのか」、「どの程度役に立つのか」を知ることが論文・レポート作成の第一歩です。そのテーマの最新の研究やデータを検索する場合、立命館大学のホームページに置かれている RUNNERS 蔵書検索システム(OPAC)やデータベース検索、図書館で開架されている書誌検索資料を利用して下さい。例えば、図書館に備わっている出版年鑑編集部編の『出版年鑑』、日外アソシエートなどの『○○文献一覧』、国会図書館が出している『雑誌記事索引人文・社会編』などが便利でしょう。もし、探している資料や書誌が図書館に無い場合は、図書館のレファレンス・カウンターに行き、書誌・資料の所在を確かめ、取り寄せること(有料)もできます。

【立命館大学図書館 HP】https://www.ritsumei.ac.jp/lib/

<図書館の所蔵書誌は学生の皆さんの共通財産!>

図書館の利用については、ライブラリーガイドを良く読んでください。とくに、図書館の所蔵書誌はすべての学生の【共通財産】です。くれぐれも返却期限をオーバーし、ペナルティに泣くようなことのないよう注意してください。図書館利用のルールをしっかり守って、気持ちよく利用しましょう。

<資料は大切に管理しよう>

次に、大切なことは、こうして集めた情報が散逸しないようにすることです。そのため、文献・資料目録を作っておきましょう。ノートでもカードでもよし、そこに自分が使いやすいような分類項目で整理をして、著者、タイトル、雑誌名(巻・号)、出版社、ページ数などを記入しておくことが大切です。

3-4 論文・レポート執筆の際に使用できる文献・資料

論文・レポートを執筆する場合、使用することが妥当な文献・資料は、書籍、雑誌論文、新聞、公文書(政府や国際機関が刊行している資料・文書)、著者名および出典が明記されているWeb資料・記事に限られます。制作元や著者がはっきりとしないものは使用できません。ウィキペディアやコトバンクなどは、その意味で、脚注や参考文献に記載するのに妥当とは言えません。

したがって、学術的な情報資料を使うことが基本です。なお、Web上の資料については、それが信憑性の高いものか、研究者・専門家が執筆したものかをしっかり見極め、学術的なものを使用することが大切です。

4. 論文・レポートの作成

4-1 論文・レポート作成の作法

(1) 「学問的な文章」を書くポイント

  1. ①「課題を発見する」→「論証する」→「さらに深い課題を発見する」
  2. ②「具体的な内容」を抽象化すること
  3. ③「誠実であること」かつ「禁欲的であること」
  • 【抽象化すること】
    =事実や現象に対して、それが何を意味しているのかについて、理屈で説明すること
  • 【「論証」すること】
    =結論となる「答え」について、なぜそのような「答え」が導き出せたのかという理由を説明すること
  • 【「論理的」であること】
    =理屈が通っていることが大切

(2) 論文・レポートの流れ

  • 問題の設定(なぜこのテーマを選んだのか)
  • どのような方法で、問題を解明していくのか
  • 論証(理屈をもって、理由(なぜそう言えるのか)を説明すること)
  • 結論(どこまで解明できたのか、どこが解明できなかったのかを明確に)

マックス・ウェーバーは、学術研究において、①「経験的事実の確定」(=妥当性を持った事実の認定:客観的事実の探究)なる行為、②「評価する態度決定」(心情=価値と人格的判断:客観的事実に対する主観的評価)なる行為、③自己の行動に規範を与える方向づけ(いかに行動するのか)としての「実践的評価」(=価値解釈、期待しない副次的結果の受容)なる行為を自覚的に峻別することが重要であると説いています。つまり、学術研究において大切なのは、「事実関係を認定するための妥当性を導き出す」ことであり、これを「どのような価値観で評価し行動するのか」ということと混同してはならないということです。

このように、ウェーバーは、学術研究において、この両者を混同したり、主観的な願望や期待に沿った主張を科学的(学問的)な装いをもって結論づけ説明したりすることを戒めています。学問研究において大切なことは、現実に存在する諸課題に対して率直に向き合う姿勢、すなわち個人的には不都合な事実をも含めて、目の前にある事実を何よりもまず受け入れることにあります。

4-2 論文・レポートを「構想」するということ

さて、必要な資料や文献を読み、メモをとったら、いよいよ執筆開始。書くという作業は、一種の【創造】です。ただ漫然としていては、書くことができません。緊張感を持って取り組みましょう。論文・レポートを書くためには次のことに注意してください。

(1) 構想をねる

全体の骨格を考え、どういう手順で課題に迫っていくかをメモってみる。章や項目をたてて、ここではこのことを論じ、次にあそこではあれを論じる、といった風にメモをしてみると、随分自分の考えがまとまってきます。章や項目を立てない場合でも、少なくともポイントになる論点を押えながら全体の流れを組み立てておくことが大切です。

(2) 経験をこえる

<論文は作文と異なる!>

  • 論文・レポートは自己主張であると言えます。だからといって自分の思いつきや経験を書きつらねるだけではダメ。
  • 作文と論文・レポートの違いは、「経験を、『一般化された他者』の経験にすることが、論文の生命線である」という点にあります

<経験を抽象的用語=概念に置き換えることが大切!>

  • よくあるケースには、事実や経験を羅列して、そこからすぐに結論にいっきに行こうとするものがあります。
  • 大切なのは、あげられた事実や経験に特徴的なことや共通するものを探りだし、それを一般的・抽象的用語にまとめ、それらの積み重ねによって結論を導きだすことなのです。
  • これは、論文をたくさん読み、講義ノートをしっかりとるうちに身についてくるものです。ですから、良い論文・レポートを書くには、日常の学習の積み重ねが大切なのです。

(3) 論理的であれ

  • 論文・レポートは、論理的でなければなりません。
  • 論文・レポートを書くとき、自分の主張が正確に表現できているか、主語と述語がはっきりしているか、全体も部分も論理的に展開されているか、を常に意識する必要があります。

4-3 論文・レポート執筆の基本:体裁に気を配ろう

論文・レポートの体裁がしっかりしていると内容が引き立つ。

<ポイント>

  • ①論文・レポートの表題、②執筆者名、③目次、④本文、⑤脚注、⑥参考文献一覧が必要
  • 文章スタイルは「ですます調」ではなく、「である調」で統一すること
  • 学術的な論文・レポートでは、「私」等の一人称は使用しないこと
  • 数字は半角文字にすること
  • 各段落の文頭は、日本語の修辞法に基づき、一文字空けること
  • 論理の展開を明確にするために、段落は5行から8行または200字程度を目途に改行し、一つの段落を作ること

4-4 タイトルをつける:論文・レポートには、「タイトル」が必要

  • 「名は体をあらわす」のごとく、タイトルは論文・レポートの内容を表す大切なものです。内容を正確に表現するのものある必要があります。また、インパクトのある表現を工夫しましょう。といって、一般の週刊誌の見出しのようなものは困ります。漠然としすぎたもの、壮大すぎるものも駄目。
  • 必要に応じて副題(サブタイトル)をつけ、扱う時代を区切ったり、問題の範囲を限定したり、論じる立場を明らかにしたりします。いろいろな本や雑誌論文(学部の紀要など)のタイトルを参考にしてください。

4-5 論文・レポートの構成

(1) 構成する<構成力を持とう!>

論文・レポートにも、物語のようにストーリー性が必要です。論文・レポートの場合、①「問題の設定(なぜこのテーマを選んだのか)」⇒②「どのような方法で、問題を解明していくのか」⇒③論 証(理屈をもって、理由を説明すること)⇒④「結 論(どこまで解明できたのか、どこが解明できなかったのかを明確にすること)」の流れ(論理の一貫性)に沿って、章立てをしていく必要があります。つまり、「目次」の作成ですね。論文・レポートを書くためには、まずこの見取り図を作成することが大切です。この見取り図にしたがって文章を書いていくことになります。ここで、自分が書く論文・レポートの特徴やオリジナリティを読み手にアピールすることができます。

参考までに、論文・レポートにおいて、よく採用される構成の例をいくつか紹介しておきましょう。

<例示>
※論文の分量が多い場合など、章の中に、節、項をおくことがあります。その場合、章→節→項の順番で記載します。

(2) 段落をつくる

レポート全体が、段落が無く構成されているようなケースがしばしば見られます。これでは、どこで文章が展開しているのかが、読み手に伝わりません。論文やレポートでは、論理にしたがっていくつかの段落をつくり、これを組み合わせることによって、一つの論理一貫性を持った論文・レポートを構成していきます。概ね5行~8行程度、または200字程度を目途に改行をして、段落をつくっていきます。一つの段落には一つの主題があります。ですから、小見出しをつけ、それを並べていくと、全体の論旨のつながりが見えてきます。

(3) 序論(序、はじめに)・本論(各章)・結論(まとめ)

たいていの落語には、まず枕があり、最後にオチがあります。4コマ漫画にも、ストーリーがあり、「起-承-転-結」という原則があります。論文・レポートも、序論→本論→結論という構成をとることが大切です。論文・レポートを書く場合、序論や結論には 一つの段落をあてます。

(4) 序論(序、はじめに)の役割

序論では、まず、「どのようなテーマを扱うのか」、「そのテーマを取り上げることの重要性は何か」、「何を明らかにするのか」、「どのような問題意識を持っているのか」を明確にすることが大切です。そして、読み手に興味を抱かせ、「中身を読んでみたい」と思わせなければなりません。そのために、身近な問題から説きおこしたり、誰もが知っていることから始めたりします。

つまり、その論文・レポートで何を取り上げるのか、どの範囲で論じるのか、なぜそのテーマを扱うのか、を最初に示さないと、全体の内容が曖味になります。序論の印象で論文・レポート全体の評価が決まるといっても過言ではありません。

(5) 本論(第1章、第2章、第3章…)の展開

論文・レポートでは、そのテーマについて、自分が訴えたいメッセージを大胆に展開しなくてはなりません。その自己主張が説得力を持つためには、ひとりよがりの議論にならないことが必要です。その意味で、「私は……思う」といった書き方を連発することは禁物です。

重要なのは、客観性・実証性・論理一貫性です。論理が飛躍したり、証明もしない結論に飛びついたりしてはいけません。枝葉末節にとらわれ、話があちこちに飛ぶのも好ましくありません。

(6) 結論(まとめ)の意義:結論(まとめ)を書くには、下記のポイントが重要です。

  1. ① 本論で展開したことを抽象化して簡潔にまとめること
  2. ② 序論の問題提起に答える。もしくは序論で予告した主張を再確認すること
  3. ③ 解答を出し切れなかった疑問、取り上げなかったが将来の課題としたい問題を明らかにすること
  4. ④ 結論は、本論で論じた内容を基づいて、何が解明され、何が課題として残ったのかを記載し、本論で論じていないことは書かないこと

4-6 参考文献を示す

先人の考えを利用するのは、けっして恥ずかしいことでも、いけないことでもありません。先行研究をしっかり整理し、今どんな課題が存在しているのかを確かめることが大切です。しかし、それはあくまでも、自分自身の考えを補強する、あるいはその証拠とする範囲に限られます。従来の説に自分が異論を唱えようとするときにもそれは必要です。したがって、何を、どんなふうに利用したかを示さなければなりません。必ず、論文・レポート作成にあたって参考にした本や雑誌などは、「脚注」を入れて、そこに出典を明記してください。そうしないと「盗作」になってしまいます。

その際には、<1> 著者または編者、<2> 訳者、<3> 書名、<4> 出版社名、<5> 出版年、<6>引用したページは必ず明記することが必要です。引用した場合はもちろんのこと、参考にした場合にも、引用または参考にした書籍(論文)のページを記載することは不可欠です。統計・資料を利用したり、表や図を転用したりする時にも、出所を明示することが必要です。

また、何らかのホームページを参照したり、そこから引用したりした場合には、URLとページを開いた年月日(最終検索日)を明記することが必要です。

4-7 日本語での論文・レポートでの句読点等の使用方法について

(1) 句点(。)と読点(、)

句読点には、全角文字の「、」と「。」を使います。日本語で書かれた文章では、句読点としてピリオド(.)とカンマ(,)は基本的に使用しません。

  • 句点(。):句点(。)は文の終わりに付けます。文中にかぎかっこが入る場合は、閉じかっこの直後に句点を打ちます。文中に丸かっこが入る場合も同様です。
  • 読点(、):読点(、)は、文章の切れ目や、語句がどの文書に係っているのか、どの文章を受けているのかをはっきりさせて、文章を読みやすくしたり、意味を正しく伝えるために使用します。また、並列する語句を並べるときにも使用します。

(2) ピリオド(.)とカンマ(,)

桁区切りのカンマ(,)、小数点のピリオド(.)、箇条書きの数字に付加するピリオド(.)として使用されますが、日本語の論文・レポートの句読点としては使用しません。

欧文で表記する組織名などの固有名詞や数字にピリオド(.)やカンマ(,)が含まれる場合は、日本語の文中でもピリオド(.)とカンマ(,)を使用します。この場合は、半角文字で表記してください。

(3) 疑問符(?)と感嘆符(!)

日本語の論文・レポートの場合、本文中には、疑問符(?)または感嘆符(!)は基本的に使用しません。欧文資料・文献から直接引用する際、原文で疑問符(?)または感嘆符(!)が使われている場合も、日本語の文章では基本的に句点(。)を使用します。

<トピック:「書評」の書き方>

(1)「書評」とは何か

「書評」とは、読書感想文ではなく、対象となる書籍・論文の概要(著者の問題意識、何を解明しようとしているのか:「目的」、「問い」、「リサーチクエスチョン」、「分析の方法」)と著者の主張(「論点」、「結論」)を把握し整理した上で、学問上の意義や残された課題、著書に対する評価を論理的に与えることです。

(2)「書評」の組み立て
  1. ① 書評の場合も、レポート・論文のように、「はじめに」「第1章」「第2書」「第3章…」「まとめ」という章立てをして、記載していきます。
  2. ② 書評対象書の問題意識と目的:「はじめに」⇒書評対象書が、何を分析対象として、何を解明しようとしているのかを整理して記載します。
  3. ③ 書評対象書の構成とその概要の整理:「第1章」⇒各章ごとの概要と主張を簡潔に整理して記載します。
  4. ④ 書評対象書の問題提起と結論の整理:「第2章」⇒書評対象書全体を見通して、著者が提起した問題と結論を簡潔に整理して記載します。
  5. ⑤ 書評対象書全体についての評価と課題:「第3章」⇒書評者が、対象となる書物の積極的な面と課題として検討すべき点、明らかにされていない点を整理してコメントを記載します。
  6. ⑥ 書評対象書の学問的意義の指摘:「まとめ」⇒⑤を踏まえて、書評対象書の学問的意義(評価)を記載します。

5. 脚注の付け方

脚注は、本文からはずれるが、本文を補強するために説明しておく必要があると思われる場合や、引用した文献・資料あるいは本文の記述にさいして参照したものを明らかにする場合につけます。

  1. (1) 本文の関連部分の末尾に、縦書きの時には右下に、横書きの時には右上に番号をつける。
  2. (2) 脚注は、各ページのフッター部分につける方法と章の終わりか全体の終わりにまとめてつける方法があります。また、パソコンの場合、脚注の自動挿入ができるキーが付いています。この機能を利用すると便利です。
    ⇒word文書の場合、文書上部の「参考資料」キーの中にある「脚注の挿入」キーを利用すると良いでしょう
  3. (3) 引用文の出典の記入法は、必ずしも統一されたルールがあるとはいえませんが、一般的な約束事として、以下のように表記します。

<授業で配布されたレジュメや資料を使用する場合>

なお、授業で配布されたレジュメや資料は、一般的には論文・レポートを執筆する際に参考文献として使用し、脚注や参考文献一覧に記載することはありませんが、同一の授業の中で提示されたレポート課題の場合で、認められている範囲で使用したい場合には、著者名、「タイトル」、配布された大学名・学部名・授業名、配布された年月日、参考にしたページを記載するようにしてください。

5-1 脚注はどのような場合に付けるのか

Ⅰ. 出典を示すための脚注

(1) 直接引用

書籍、論文、資料から直接に文章を引用する場合、引用した文書を「」で括り、脚注欄に出典を記載することが必要です。

<事例>

「科学主義的国家」化の過程は、「封建的生産様式から資本主義的生産様式への転化過程を温室的に促進して、過渡期を短縮するために、社会の集中され組織された強力である国家権力を利用する」1 とマルクスが述べているように、・・・

〔南野泰義「19世紀アイルランドにおけるナショナリズム運動と知識人(2・完)」(『立命館国際研究』第21巻第2号、2008年、84ページ)より抜粋〕

(2) 間接引用①

直接に引用するのでないが、書籍、論文、資料の内容を要約して記載した場合、脚注欄に要約した当該部分の出典を記載することが必要です。

(3) 間接引用②

一つのパラグラフに書かれた内容について、参考にした書籍、論文、資料がある場合、パラグラフの末尾に脚注番号を入れ、参考にした書籍、論文、資料の当該部分の出典を脚注欄に記載する必要があります。

<事例>

こうした情勢の中、70年代の運動組織の延長線上に、1882年10月、アイルランド系アメリカ人の家系を持つプロテスタント系地主階級出身であるチャールズ・スチュアート・パーネルが自らが総裁を務めるアイリッシュ・ナショナル・リーグ(INL)をベースに、ホーム・ルール・リーグ、ホーム・ルール党を巻き込む形でアイルランド議会党が結成される。・・・この政党はカトリック教会との密接な関係を背景に592の支部を全国に持つとともに、アイリッシュ・ナショナル・リーグの全国に広がる1,262支部の広範な支持基盤に支えられた党であった2

〔南野泰義「19世紀アイルランドにおけるナショナリズム運動と知識人(2・完)」(『立命館国際研究』第21巻第2号、2008年、92ページ)より抜粋〕

Ⅱ.補足説明のための脚注

次のような場合に、補足説明のための脚注を置きます。

  1. (1) 本文で語りつくせなかった内容や、本文の論理一貫性を維持しより理解を促す目的で、補足的な説明を記載する場合
  2. (2) 専門性の高い難解な概念について、補足説明を記載する場合

5-2 脚注の記載方法

〔日本語(和文)の文献を使用した場合〕

<重要ポイント>

  1. (1) 文献引用の形式については、以下の例を参考にして、同一の論稿においては、記載方法を統一しておくことが大切です。
  2. (2) ページ数の記載については、下記のように記載すると良いでしょう。日本語論文の場合、英語論文を書く場合に使用されるp.〇〇.やpp.〇〇.とする表記方法は使用しません。
  • 単ページの場合:〇〇ページ。
  • 複数ページに及ぶ場合:〇〇-〇〇ページ。

(1) 書籍(単行本)

A. 著書の場合

著者名『書名』〈二重カッコを使う〉(出版社、発行年)当該〈数字は半角〉ページ。

<例示>
井上純一『文化と意思』(晃洋書房、1986年)32-35ページ。

B. 翻訳書の場合

著者名(訳者名)『書名』(出版社、発行年)当該ページ。

<例示>
アンソニー・D ・スミス(巣山靖司、高城和義、河野弥生、岡野内正、南野泰義、岡田新訳)
『ネイションとエスニシティ:歴史社会学的考察』(名古屋大学出版会、1999年)35ページ。

(2) 論文

A. 単行本のなかの論文の場合

執筆者名「論文名」〈一重カッコを使う〉(編者名『論文集名または書名』〈講座の場合は巻号〉出版社名発行年、当該〈数字は半角〉ページ)。

<例示>
南野泰義「北アイルランド紛争における『政治的暴力』とテロリズム」(中谷義和、安本典夫編『グローバル化と現代国家―国家、社会、人権論の課題』御茶の水書房、2002年、238ページ)。

B. 雑誌論文の場合

執筆者名「論文名」(『雑誌名』巻号 発行年、当該ページ)。

<例示>
松下 冽「メキシコにおけるネオリベラリズムと市民社会の交差-全国連帯計画(PRONASOL)をめぐって-」(『立命館国際研究』第 14巻第 2号、2001年、47-48ページ)。

(3) 同じ著書や論文を連続して、参照したり引用したりする場合

同上、当該ページ。

<例示>
  1. 1)松下 冽「メキシコにおけるネオリベラリズムと市民社会の交差-全国連帯計画(PRONASOL)をめぐって-」(『立命館国際研究』第 14巻第 2号、2001年、47-48ページ)。
  2. 2)同上、50ページ。

(4) 二度以上にわたって引用する場合:下記のタイプ①とタイプ②のいずれかを採用すること。なお、両タイプが混在することの無いように、採用したタイプで統一するようにしてください。

【タイプ①】著者名(執筆者名)、前掲書(前掲論文)、当該ぺージ。

<例示>
  1. 1)関下 稔「トランスナショナル度の計数的把握とその限界――国連『ワールドインベストレポート』の研究(1)」(『立命館国際研究』第14巻第1号、2001年、173ページ)。
  2. 2)南野泰義「19世紀アイルランドにおけるナショナリズム運動と知識人(2・完)」(『立命館国際研究』第21巻第2号、2008年、92ページ。
  3. 3)巣山靖司『世界平和と「勢力均衡論」』(新日本出版社、1985年、157ページ。2)・・・
  4. 4)関下 稔、前掲論文、175ページ。

または

【タイプ②】著者名(執筆者名)、前掲註(該当註番号)、当該ページ。

<例示>
  1. 1)関下 稔「トランスナショナル度の計数的把握とその限界――国連『ワールドインベストレポート』の研究(1)」(『立命館国際研究』第14巻第1号、2001年、173ページ)。
  2. 2)南野泰義「19世紀アイルランドにおけるナショナリズム運動と知識人(2・完)」(『立命館国際研究』第21巻第2号、2008年、92ページ。
  3. 3)巣山靖司『世界平和と「勢力均衡論」』(新日本出版社、1985年、157ページ。
  4. 4)関下 稔、前掲註(1)、175ページ。

※例示のため、当該箇所を太字にしています。実際の論文・レポートにおいて、記載する場合は、太字にする必要はありません。

(5) 同じ著者からの引用が複数ある場合は、下記のように記載すること:下記のタイプ①とタイプ②のいずれかを採用すること。なお、両タイプが混在することの無いように、採用したタイプで統一するようにしてください。

【タイプ①】著者名(執筆者名)、前掲(前掲論文)『書名(「論文タイトル」)』当該ページ。

<例示>
  1. 1)アンソニー・D・スミス(巣山靖司、高城和義、河野弥生、岡野内正、南野泰義、岡田新訳)『ネイションとエスニシティ―歴史社会学的考察』(名古屋大学出版会、1999年)34ページ。
  2. 2)アンソニー・スミス(巣山靖司監訳)『20世紀のナショナリズム』(法律文化社、1995年)15ページ。
  3. 3)南野泰義「19世紀アイルランドにおけるナショナリズム運動と知識人(2・完)」(『立命館国際研究』第21巻第2号、2008年、92ページ。
  4. 4)巣山靖司『世界平和と「勢力均衡論」』(新日本出版社、1985年、157ページ。
  5. 5)アンソニー・D・スミス、前掲『ネイションとエスニシティ―歴史社会学的考察』35ページ。

または

【タイプ②】著者名(執筆者名)、前掲註(当該註番号)、当該ページ。

<例示>
  1. 1)アンソニー・D・スミス(巣山靖司、高城和義、河野弥生、岡野内正、南野泰義、岡田新訳)『ネイションとエスニシティ――歴史社会学的考察』(名古屋大学出版会、1999年)34ページ。
  2. 2)アンソニー・スミス(巣山靖司監訳)『20世紀のナショナリズム』(法律文化社、1995年)15ページ。
  3. 3)南野泰義「19世紀アイルランドにおけるナショナリズム運動と知識人(2・完)」(『立命館国際研究』第21巻第2号、2008年、92ページ。
  4. 4)巣山靖司『世界平和と「勢力均衡論」』(新日本出版社、1985年、157ページ。
  5. 5)アンソニー・D・スミス、前掲註(1)、35ページ。
  6. 6)アンソニー・D・スミス、前掲註(2)、122ページ。

※例示のため、当該箇所を太字にしています。実際の論文・レポートにおいて、記載する場合は、太字にする必要はありません。

(6) インターネットで入手した資料の場合

記述ルールは必ずしも確立されてるとは言えないが、少なくとも次の点は明記しておくこと。
資料の名称、URL、検索日〈カッコで括る〉

<例示>
日本、外務省、「日米安全保障共同宣言-21世紀に向けての同盟-(仮訳)」(1996年4月17日)
〔http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/sengen.html〕(最終検索日 : 2012年1月12日)

※PDFファイル版があるなど、環境によらず頁数が固定されている場合には、該当ページを必ず記載することが必要です。

(7) マイクロフィルムの資料を使用した場合

マイクロフィルム資料であるがわかるように、著者(機関)名、文書名(発行ないしは公表年月)、所蔵場所、文書(請求)番号、を記載すること

<例示>
『岩倉具視関係文書』第1-8巻(昭和2年-10年)、国立国会図書館所蔵、YD5-H-64-242(マイクロフィルム資料)。

(8) 新聞記事を使用した場合

新聞記事を引用する場合、以下の通り記載してください。新聞名については,朝夕刊の区別と版も記載すること。
執筆者名(署名入りの場合)「記事名」新聞名(朝夕刊の区別)、版、発行年月日、該当面。

<例示>
「△社、〇〇を発表」〇〇新聞(朝刊)、東京本社版、2007年10月5日、5面。

※Web上の速報版等の新聞記事は、下記の事例のように記載してください。
著者名「記事名」新聞社のウェブ名(掲載年月日)〔URL〕(最終検索日)

(9) 政策文書を使用した場合

公官庁や業界団体などが作成する政策に関する文書については,以下の通り記載してください。
発行機関・会議体名「《文書名》」該当ページ(公表年月日)。Webページから引用の場合:URLと最終検索日を記載のこと

<例示>
文部科学省、大学分科会(第156回)「大学等における新型コロナウイルス感染症への対応状況について」2ページ(令和2年(2020年)9月15日)。
〔https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/20200914-mxt_koutou01-000009906_15.pdf〕
(最終検索日:○年○月○日)

※議事録等の資料については、発行機関名「文書名」該当ページ〔(発言者名)発言〕(会議日)を明記し、発言者が分かるものには発言者名を記載すること。

〔英語の文献を使用した場合〕

<重要ポイント>

  1. (1) 文献引用の形式については、以下の例を参考にして、同一の論稿においては、記載方法を統一しておくことが大切です。
  2. (2) ページ数の記載については、下記のように記載すると良いでしょう。
  • 単ページの場合:p.○○.
  • 複数ページに及ぶ場合:pp.○○-○○.
  1. (3) 編者の記載については、下記のように記載すると良いでしょう。
  • 編者が一人の場合:(ed.), 例 John Hutchinson(ed.),
  • 編者が複数の場合:(eds.), 例 John Hutchinson and Anthony D. Smith (eds.),

(1) 書籍(単行本)

著者名、書名〈イタリック体にすること〉出版地:出版社,発行年,当該〈数字は半角〉ページ.(ページ番号の記載方法については、下記の※を参照のこと)。

<例示>
Anthony D. Smith, Ethno-Symbolism and Nationalism: A Cultural Approach, London: Routledge, 2009, p.32.
John Hutchinson, Nations as Zones of Conflict, London: Sage, 2005, pp.25-27.
John Hutchinson and Anthony D. Smith (eds.), Nationalism, London: Routledge, 2011, pp.51-55.

(2) 論文

A. 雑誌論文の場合

執筆者名, ”論文名”, in 雑誌名<イタリック体にすること>, 巻号, 発行年, 当該ページ.

<例示>
Brendan O'Leary, “The 1998 British-Irish Agreement: Power-Sharing Plus,” in Scottish Affairs, No.26, 1999, pp.29-35.

B. 単行本のなかの論文の場合

執筆者名, ”論文名”, in 編者名, 書名<イタリック体にすること>, 出版地:出版社, 発行年, 当該ページ.

<例示>
Stefan Wolff, ”Context and Content: Sunningdale and Belfast Compared ”, in Rick Wilford (ed.), Aspect of the Belfast Agreement, Oxford: Oxford University Press, 2001, pp.14-15.

(3) 同じ著書や論文を連続して、参照したり引用したりする場合

同上、ページ。⇒ Ibid., p.〇〇.

<例示>
  1. 1)Brendan O'Leary, “The 1998 British-Irish Agreement: Power-Sharing Plus,” Scottish Affairs, No.26, 1999, pp.29-35.
  2. 2)Ibid., p.50. 

(4) 同じ著書および論文を二度以上にわたって引用する場合:下記のタイプ①とタイプ②のいずれかを採用すること。なお、両タイプが混在することの無いように、採用したタイプで統一するように。

【タイプ①】著者名、前掲書(前掲論文)、ページ。⇒著者名, op.cit., p.〇〇.

<例示>
  1. 1)John Hutchinson, Nations as Zones of Conflict, London: Sage, 2005, pp.25-27.
  2. 2)Anthony D. Smith, Ethno-Symbolism and Nationalism: A Cultural Approach, London: Routledge, 2009, p.32.
  3. 3)Brendan O'Leary, “The 1998 British-Irish Agreement: Power-Sharing Plus,” in Scottish Affairs, No.26, 1999, pp.29-35.
  4. 4)John Hutchinson, op.cit., pp.31-34.

または

【タイプ②】著者名、前掲註(当該註番号)⇒著者名, supra note(当該註番号), p.〇〇.

<例示>
  1. 1)John Hutchinson, Nations as Zones of Conflict, London: Sage, 2005, pp.25-27.
  2. 2)Anthony D. Smith, Ethno-Symbolism and Nationalism: A Cultural Approach, London: Routledge, 2009, p.32.
  3. 3)Brendan O'Leary, “The 1998 British-Irish Agreement: Power-Sharing Plus,” in Scottish Affairs, No.26, 1999, pp.29-35.
  4. 4)John Hutchinson, supra note 1, p.31.

※例示のため、当該箇所を太字にしています。実際の論文・レポートにおいて、記載する場合は、太字にする必要はありません。

(5) インターネットで入手した資料の場合

記述ルールが確立されていないが、少なくとも次の点は明記しておくこと。

  • 資料の名称
  • URL
  • 検索日〈カッコで括る〉
<例示>
United Kingdom Parliament, Recent Parliamentary Reports,
[http://www.publications.parliament.uk/pa/reports_recent.htm](最終検索日 : 2010年1月12日)

(6) 日本語、英語の文献以外の言語による文献を使用する場合

日本語、英語以外の言語による文献については、英語文献に準じますが、書き方は各言語の記載方法にしたがってください。少なくとも、英語文献と同様に、著者名、書籍名(論文名)、出版地、出版年、ページ数を記載することが大切です。この場合、原文を記載した上で、著者名と書籍名(論文名)、出版地の日本語訳を〔 〕に括って記載するようにしてください。

脚注をどこに付けるのが適切であるのか? またどのように付けるとよいのか? などで、困った場合には、一人で悩まず、まずは担当の教員に相談してください。

6. 電子書籍を使用した場合

電子書籍を利用する場合、原則として紙媒体の文献から引用してください。紙媒体の文献が存在しない場合や、紙媒体の文献の入手が著しく困難な場合に限り、電子書籍からの引用は可能です。電子書籍を引用する場合は,引用の末尾に(ebook)と利用サービス名(例:Kindle や Kobo など)を付し、次のように記載してください。

記載例

(日本語文献)
執筆者名または機関名『書籍名』発行地:発行社、発行年、該当ページ(ebook : 利用サービス名)。

(英語などの外国語文献)
執筆者名または機関名, 書籍名 (イタリック体で記載), 発行地:発行社元, 発行年, 該当ページ(ebook : 利用サービス名).

※電子書籍にページ数が入っていない場合(ロケーション番号を使用している場合など)は、ページ番号を記載せず、以下のように記載すること。この場合、引用した出典部分が特定できるよう該当箇所の冒頭と末尾を抜き書きしてください。

記載例

(日本語文献)
執筆者名『書籍名』loc. 該当ロケーション番号、発行地:発行社、発行年、(ebook) (「<該当箇所の冒頭>……<該当箇所の末尾>」)。

(英語などの外国語文献)
執筆者名, 書籍名(イタリック体で記載)loc. 該当ロケーション番号, 発行地:発行社, 発行年,(ebook)(”<該当箇所の冒頭>……<該当箇所の末尾>”).

7. 図や表を挿入する場合

論文・レポートの中に図や表を挿入することは、客観的なデータをもとに議論を進めたり、内容を根拠づけたりする上で効果的です。図や表を挿入する場合には、図または表の通し番号、タイトル、出典を明記することが必要です。特に、出典は、図や表として論文レポートの中に挿入されるデータが誰によって調査・作成されたものなのかを明示するためのものです。これが無いと、盗作になってしまいます。

また、図や表の読み方や凡例などを記載する場所として、備考を付けることがあります。ただし、論文・レポートの内容と無関係な図や表、または論文・レポートの中で論じていない内容の図や表を挿入することは適切ではありません。

<例示>

8. 参考文献リストの付け方

  • 参考文献一覧は、論文・レポート作成した場合、必ず巻末に付けること必要
  • 脚注に記載していない文献・資料・webサイト資料でも、論文・レポートを書く際に参考にしたのであれば、必ずその文献、資料、webサイトはすべて参考文献一覧に記載することが必要です。

⇒参考文献一覧は、一次資料(政府・国際機関等の公文書、声明、議事録、国勢調査、書簡など)、二次資料(書籍や論文)、新聞記事、Web資料など、資料の区分(カテゴリー)ごとにまとめて、下記のように記載していきます。

  1. ① 一次資料→外国語文献(書籍)→外国語文献(論文)→日本語文献(書籍)→日本語文献(論文)→新聞記事→Web資料の順番で記載します。
  2. ② 著者名は、外国語文献では、ファミリーネームを〝アルファベット順″で、日本語文献(和文)では、ファミリーネームを〝アルファベット順″で記載していきます。
<例示>
日本語文献
<書籍>
  • アーサー、ポール、キース・ジェフェリー(2004)『北アイルランド現代史:紛争から和平へ」(門倉俊夫 訳)東京:彩流社
  • コリー、リンダ(2000)『イギリス国民の誕生』(川北 稔 監訳)名古屋:名古屋大学出版会
  • クリック、バーナード(1969)『政治の弁証』(前田 康博 訳) 東京:岩波書店
  • 福井英雄(1987)『現代国家の構造と機能』東京:青木書店
  • 菊井禮次(1989)『現代国際政治構造論』京都:法律文化社
  • 守本順一郎(1967)『東洋政治思想史研究』 東京:未来社
  • スミス、アントニー D. (1999) 『ネイションとエスニシティ』(巣山靖司、高城和義、河野弥生、岡野内正、南野泰義、岡田 新 訳)名古屋:名古屋大学出版会
<論文>
  • 南野泰義 (2005) 「19世紀アイルランドにおけるナショナリズム運動と知識人(1)」『立命館国際研究』第17巻第3号
  • 小田順子(1998)「ゲーリック・リーグの拡大:19世紀末アイルランド社会の一考察」中央大学人文科学研究所編『人文研紀要』第33号
  • 佐藤成基(2009)「ナショナリズムの理論史」大澤真幸・姜尚中編『ナショナリズム論・入門』東京:有斐閣
  • 巣山靖司(2000)「グローバリゼーションとネイション・ナショナリズム」『唯物論と現代』第25号
  • 弥久保 宏(2016)「英国における国民投票のメカニズム:2016年EU国民投票を事例として」『月刊選挙』第69巻第9号
英語などの外国語文献
<書籍>
  • Hobsbawm Eric J. (1991) Nations and Nationalism Since 1780: Programme, Myth, Reality, Cambridge: Cambridge University Press.
  • Hobson, Bulmer (1918) A Short History of the Irish Volunteers, Dublin: Candle Press.
  • Hutchinson, John and Anthony D. Smith (1994) Nationalism, Oxford: Oxford University Press.
  • Moody, Theodore W. and James C. Beckett (1959) Queen's Belfast 1845-1949: the History of a University, London: Faber & Faber.
  • Smith, Anthony D. (2009) Ethno-Symbolism and nationalism: A cultural approach, London: Routledge.
<論文>
  • Arthur, Paul (1997) “Devolution as Administrative Convenience: a Case Study of Northern Ireland”, in Parliamentary Affairs, Vol.30, Issue 1.
  • Barry, Brian (1987) “Nationalism”, in David Miller, Janet Coleman, William Connoly and Alan Ryan (eds.), Encyclopaedia of Political Thought, Oxford: Basil Blackwell.
  • Boyce, D. George (1991) “Federalism and the Irish Question”, in Andrea Bosco (ed.), The Federal Idea; Vol.1, The History of Federalism, From the Enlightenment to 1945, London: Lothian Foundation Press.
  • O'Leary, Brendan (1999) “The 1998 British-Irish Agreement: Power-Sharing Plus,” in Scottish Affairs, No.26.

(付録)立命館大学における論文・レポート執筆の心得

レポート/卒業論文執筆の心得(立命館大学国際関係学部)

大学では、レポート、小論文、卒業論文、各種課題などの提出を求められます。これらの多くは成績評価の対象となるものであり、定期試験と同じく厳正な態度で作成することが必要です。剽窃などの学問的倫理に反する行為は、退学を含む厳しい懲戒の対象となります。したがって、作成にあたっては以下のルールを守って下さい。

【レポートの書き方】

  1. ① 作成にあたっては、他の人の文献を参考にしますが、自分の考え方や評価を述べなければならないことに留意してください。
  2. ② 参考にした文献・情報については、注記をつけて明確に表示してください。
  3. ③ 他の人の文献や考え方を要約した場合や、それを直接引用する場合は、その出典を明示してください。また他人の文章の全部または一部をそのままレポート等の中に用いた場合は、その引用部分をかぎかっこ(「 」)で囲み、引用したものであることを明示してください。
  4. ④ ①〜③がなされていない場合は剽窃となりますので、注意してください。
  5. ⑤ 当然のことながら、盗作は許されません。参考文献やその他の参考となる資料はもちろんのこと、友人等が作成したレポート・小論文を書き写したり、インターネットからコピー&ペーストしたりすることも許されません。盗作行為は、著作権者に対する明らかな権利の侵害となるため、本学では悪質なものについては懲戒の対象としています。
  6. ⑥ インターネット上で一般に公開されているファイルであっても、著作権法による保護を受けていますので、一般の書籍等と同様の制約があることに注意してください。
  7. ⑦ インターネット上で公開されているファイル等を参照した場合でも、引用を明示することが必要です。

【立命館大学定期試験規程(抜粋)】

  • 第9条 定期試験は、筆記によるものとする。ただし、レポートをもってこれに代える場合がある。
  • 第16条 定期試験において不正行為を行った学生には、立命館大学学生懲戒規程を適用する。
  • 2前項の学生については、当該試験科目あるいは当該学期定期試験の全受験科目を無効とし、「F」評価とする。

【立命館大学学生懲戒規程(抜粋)】

  • 第5条 懲戒の対象とする行為は、次の各号に掲げるものとする。
  • (5)学問的倫理に反する行為
  • (7)試験等における不正行為

参考文献

  1. 1)斉藤 孝、西岡 達裕(2005)『学術論文の技法(新訂版)』日本エディタースクール出版会
  2. 2)桜井 雅夫(2003)『レポート・論文の書き方 上級(改訂版)』 慶應義塾大学出版会
  3. 3)日本エディタースクール編(2011)『標準 校正必携 第8版』日本エディタースクール出版部
  4. 4)清水幾太郎(1956)『論文の書き方』岩波新書
執筆者:南野 泰義
執筆日(更新日):2024年2月4日

※英語のレポートの書き方については、IRナビ「語学編 英語の学び方」を参照。