専門編

国際法の学び方

1. 国際法とは

国際法(international law)とは、その名の通り「国家(nation)」の「間(inter-)」で適用される「法(law)」である。国際法は、法律学の中で最も歴史が古く、また最もダイナミックに変化してきた学問である。より具体的には、国際法は、ヨーロッパの近代化に伴い、17世紀頃に主権国家間の合意(ヨーロッパ公法)として誕生し、その後、非ヨーロッパ世界へと拡大・発展していった(近代国際法)。20世紀に入り、二回の世界戦争や植民地の独立闘争などを経て、今日では、その内容も妥当範囲も大きく変化している(現代国際法)。例えば、現代国際法では、国際機関や私人(個人、企業など)の活動をも規律する法体系となり、その内容も、国際社会の緊密化に伴い、諸国家の共通の目的実現や利益確保のため、人権、環境、経済開発、平和・軍縮などの分野で多くの重要な国際条約が形成されるに至っている。このような国際条約に加えて、国際社会における慣行の積み重ねが法として認識された慣習国際法も国際法の一つである。

今日の国際社会には、主権国家だけでなく、国連などの国際機関、国境を越えて活動する多国籍企業、人権や環境の問題で活躍するNGOなど多くの非国家アクターが存在する。ただし、注意しなければならないのは、現代においてもなお、国際法の中心的主体は国家であるという点である。一例を挙げれば、国連をはじめとする国際機関も設立文書という国際条約による諸国家間の合意がなければ、そもそも誕生しないし、またいったん誕生した国際機関は設立文書の中で確認された目的の範囲内でしか活動できない。さらに国際機関の決定は、一部の例外を除いて、勧告的効力しか持たず、国内社会で政府や議会が個人や企業に対して行うような拘束力のある命令が出せるわけではない。すなわち国際法を学ぶ上で、最初に確認しておかなければならないことは、私達が生活している国内社会とこれから学ぼうとしている国際社会の法体系は、その構造や基盤が質的にかなり違うという点である。換言すれば、国際法のおもしろさもそのような国内法との違いにあると言って良い。

2. 学び方

すでに述べたように、国際法は法律学の一分野である。したがって、その修得には法律学に共通するリーガル・マインド(legal mind)が要求される。他方で国際法は、他の法律学、例えば民法や刑法といった国内法とは異なる点も多い。例えば、国際法には日本国憲法(憲法)や民法典(民法)など、核となる法典が存在しない。また法に違反した場合の手続(紛争処理)も大きく異なる。したがって、国際法と国内法を比較しながら、どこが似ていてどこが違うのか、違う場合その理由はどこにあるのかといった点に気を配ることが肝要である(これは国内法の理解にもつながる)。さらに昨今、人権、経済、環境など国際法の応用分野も拡大する傾向にあり、豊富な知識と丹念な分析作業が必要になってくる。

大学での国際法の講義は、一般的に総論と各論に分かれることが多い。ただし、民法(総則、物権、債権など)や刑法(総論と各論)のように厳格に分離されているというわけではなく、基本と応用といった緩やかな区分に過ぎない。まず、国際法の基本的枠組として、国際法の歴史的発展過程、法的性質、国内法との関係などを学ぶことになる。これらはその他の国内法ではほとんど登場しないテーマであり(刑法典の変遷は、法制史で紹介されることはあっても刑法総論ではほとんど触れられることはない。また民法は本当に法なのかといった論点も民法の授業では取り上げられることはまずない)、しかも論点がやや抽象的なので、最初は「国際法はつまらない」という印象を持つかもしれない。はじめから楽しく、分かりやすいテーマであればそれに越したことはないが、国際法を樹木に例えるなら、この部分は「根」の部分にあたる。美しい花を咲かせ、豊かな果実を実らせるためには、目に見えない根の存在は重要である。最初は半分ぐらいしか理解できなくても構わないので、国際法の世界に足を踏み入れて先に進もう(徐々に根付いてくるはずである)。次に国際法の成立形式(先述の条約や慣習法といった国際法の種類で「法源」とも呼ばれる)、国際法の主体といった国際法の「幹」の部分に相当する部分を学ぶことになる。これらも国際法の全体像を把握する上で非常に大切な部分である(ここまでが国際法Ⅰ)。次に主要な「枝」の部分として、政府や外交使節といった国家機関の機能、領土問題や海洋資源の配分といった空間秩序(領土、海洋、空域など)を学習する(ここまでが国際法Ⅱ)。これらがおおむね国際法の前半部分(総論)に相当する。

後半部分(各論)としては、実際的・具体的な国際法の動態について学ぶ。総論部分で国際法の存在や国際法の主体について学んだが、国際法も「法」である以上、主体である国家がそれを守ることを前提に作られているはずである。ところが国際法を守らない(守れない)場合も事実として存在し、守られなかった時のことを想定しておくことも必要である。国際法違反に対する責任の発生や責任解除の方法について「国家責任」で取り扱う。その他、国際法の主要な成立形式である条約の成立から解釈、無効および終了要件等を取り扱う「条約法」もここで学ぶ(国際法Ⅲ)。また国家責任が発生するようなトラブルが発生した場合、実際には当事国の事実認識や適用すべき国際法の解釈も違うことが予測される。このようなトラブルの解決のために「紛争の平和的処理」を検討することになる。具体的には国連の主要機関である国際司法裁判所の訴訟手続について学ぶことになる。また武力行使禁止原則の確立に伴う「安全保障制度」や「国際人道法」も学べる(国際法Ⅳ)。国際関係学部では2単位×4科目(Ⅰ~Ⅳ)=合計8単位で国際法の授業が構成されているが、法律学は体系的に学ぶことが大切なので、是非4科目全てを(できればⅠから順番に)履修してほしい。

また近年の傾向として国際法も対応領域が多様化してきたため、新しい「枝」の部分が登場してきた。国際人権法や国際経済法、国際環境法なども積極的に履修してほしい。

3. 資料・文献

(1) 基本的文献

国際法を学ぶに当たって必要な文献として、条約集、教科書、判例集、演習書、研究論文について代表的なものを挙げておく。最後に欧文の文献についてもまとめて紹介する。

A 条約集

国際法を学ぶためには、まず条約集を必ず手元に置くべきである。これは法学を学ぶ者にとっての六法、語学を学ぶ者にとっての語学辞書に相当する。主要な条約集として、

① 浅田正彦他編集代表『ベーシック条約集』(東信堂)
② 植木俊哉他編集代表『国際条約集』(有斐閣)がある。

①と②も毎年改訂が予定されているので、できるだけ最新版を入手しよう。国際法の授業を履修しなくても、国際関係学部の学生であれば、コンパクトな条約集として以下の③、④または⑤は持っていてほしい。

③ 松井芳郎編集代表『ハンディ条約集』(東信堂・2009)
④ 位田・最上編集代表『コンサイス条約集〔第2版〕』(三省堂・2015)
⑤ 芹田健太郎編集代表『コンパクト学習条約集〔第3版〕』(信山社・2020)

分野別の条約集として、以下のものがある。上記の①から⑤に掲載されていない条約や宣言などについては、こちらも参照してみよう。

人権分野:⑥ 松井・薬師寺他編『国際人権条約・宣言集〔第3版〕』(東信堂・2005)
経済分野:⑦ 小原・小室他編『国際経済条約・法令集〔第2版〕』(東信堂・2002)⑧ 小寺・中川編『基本経済条約集〔第2版〕』(有斐閣・2014)
環境分野:⑨ 松井芳郎他編『国際環境条約・資料集』(東信堂・2014)
武力紛争:⑩ 藤田・浅田編『軍縮条約・資科集〔第3版〕』(有信堂・2009)
国際機関:⑪ 香西・安藤編集代表『国際機構条約・資料集〔第2版〕』(東信堂・2002)

B 教科書

(初級)国際法の初学者向けの基本書として、以下のものを挙げておく。

① 植木俊哉編『ブリッジブック国際法〔第3版〕』(信山社・2016)
② 松井芳郎『国際法から世界を見る―市民のための国際法入門〔第3版〕』(東信堂・2011)
③ 杉原高嶺『基本国際法〔第3版〕』(有斐閣・2018)
④ 德川・西村編『テキストブック 法と国際社会〔第2版〕』(法律文化社・2018)
⑤ 山形英郎編『国際法入門-逆から読む〔第2版〕』(法律文化社・2018)
⑥ 家正治編『国際関係〔全訂版〕』(世界思想社・2014)

いずれも初学者を念頭に置いて事例などを用いて丁寧に解説されている。国際法をこれから始めるという人、あるいは後述の教科書や授業で理解できなかった箇所があるという人はこれらの本を手に取って見よう。また、教科書ではないが、新書版として、大沼保昭『国際法』(ちくま新書・2018)が出版された。

(中級)以下に挙げるものが多くの大学で教科書として使用されている。

⑦ 松井芳郎他『国際法〔第5版〕』(有斐閣・2007)
⑧ 杉原高嶺他『現代国際法講義〔第5版〕』(有斐閣・2012)
⑨ 中谷和弘他『国際法〔第4版〕』(有斐閣・2021)
⑩ 小寺彰他『講義国際法〔第2版〕』(有斐閣・2010)
⑪ 大沼保昭『国際法―はじめて学ぶ人のための〔新訂版〕』(東信堂・2008)
⑫ 柳原・森川・兼原編『プラクティス国際法講義〔第3版〕』(信山社・2017)
⑬ 酒井啓亘他『国際法』(有斐閣・2011)
⑭ 浅田正彦編『国際法〔第4版〕』(東信堂・2019)

⑦および⑭は国際関係学部および法学部のテキストに指定されている。多くの教科書は共著であるため、クロスリンクする場合には注意が必要である。その点、⑪は一部を除いて著者の単著である。しかしタイトル通りの初学者向けとは言えず、その他の教科書と比較して読むことを勧める。

(上級)大学院や外務省専門職などの試験対策として国際法を学びたい人、学部の授業では物足りない人には、以下の体系書に挑戦してもらいたい。

⑮ 田畑茂二郎『国際法新講(上・下)』(東信堂・1990、1991)
⑯ 高野雄一『国際法概論〔全訂新版〕(上・下)』(弘文堂・1985、1986)
⑰ 山本草二『国際法〔新版〕』(有斐閣・1994)
⑱ 藤田久一『国際法講義(I)〔第2版〕』(東京大学出版会・2012)『同(II)』(東京大学出版会・1994)
⑲ 栗林忠男『現代国際法』(慶応義塾大学出版会・1999)
⑳ 杉原高嶺『国際法学講義〔第2版〕』(有斐閣・2013)
㉑ 岩沢雄司『国際法』(東京大学出版会・2020)

このうち、⑳および㉑以外は、筆者が故人であり、出版年も20年以上昔(⑱のIを除く。)であるため、当然のことながら、最近の新しい事例や学説については触れられていない。近年定評のある㉑や最新刊である㉑を奨める。

C 判例集・辞典

国際法も国内法ほどではないが、裁判判例によって法の解釈・創造が行われる。しかも紛争解決手続は多様であり、国内裁判所も国際法を解釈して判決を出すことがある。そのため国際法をより深く学ぶために判例集を活用してもらいたい。最新の代表的判例集としては以下のものがある。

① 薬師寺・坂元・浅田・酒井編集代表『判例国際法〔第3版〕』(東信堂・2019)
② 小寺彰他編『国際法判例百選〔第3版〕』(有斐閣・2021)
③ 杉原・酒井編『国際法基本判例50〔第2版〕』(三省堂・2014)

①は国際司法裁判所の判決・意見だけでなく仲裁裁判所や国内裁判所の判決などの事実と結論および論点を丁寧かつ簡潔にまとめてある。②はコンパクトで講義の副教材として有用であるが、論点を重視するきらいがあり、また掲載されている事件の数や一つの事件に対する分量に限界があるという点でも「判例百選」シリーズの宿命を背負っている(ただし掲載事件は116件)。同様に③も、基本判例を50に限定しているため、重要判例を理解する上では有用であるが、本書だけで十分とは言えない。国際司法裁判所の判決に限れば、④国際書院から刊行されている『国際司法裁判所 判決と意見』(全5巻)が、2016年までの事件を丁寧に紹介している。また「国際司法裁判所判例研究会」による判例評釈が国際法学会による『国際法外交雑誌』の資料編に適宜紹介されている。ただし、国際関係学部の学生ならば、国際司法裁判所の事件については、できれば原文(英語と仏語)にあたってもらいたい(所在は後述)。

日本の国内裁判所が国際法を解釈・適用した判決もある。1990年までの判例は、⑤小田・祖川編『わが国裁判所の国際法判例』(有斐閣・1978年)および⑥『日本の国際法判例』(三省堂・1991)に掲載されている。最近の判例については、「日本の国際法判例」研究会によって、『国際法外交雑誌』に適宜掲載されている。

国際法の用語について調べたい時は、⑦国際法学会編『国際関係法辞典〔第2版〕』(三省堂・2005)を利用すると良い。⑧筒井若水編集代表『国際法辞典』(有斐閣・1998)もあるが、すでにかなり古くなっている。

D 演習書

ゼミでの報告や、試験対策として演習書は格好の教材である。①小寺彰『パラダイム国際法―国際法の基本構成』(有斐閣・2004)や②坂元茂樹『ゼミナール国際法』(法学書院・1997)は、やや古くなった感はあるが、著者が公務員試験の出題委員だったこともあり、試験対策として定評がある。③香西・竹本他編『プラクティス国際法』(東信堂・1998)は事例研究として、④田畑・石本編『HANDBOOK国際法〔第三版〕』(有信堂・1996)は国際法の論点整理として、長きにわたり評価の高い本である。これに類する最新の書籍として⑤奥脇・小寺編『国際法キーワード〔第2版〕』(有斐閣・2006)がある。なお、⑥小松一郎『実践国際法〔第2版〕』(信山社・2015)は、実務家の立場から、国際法を「味方につけ」、「使う」方法について、実際の事例をもとに詳述されており(ただし、著者はすでに故人)、演習書ではないが、事例研究には有用である。最新のニュースを国際法の視点で分析する基本書として⑦森川幸一他編『国際法で世界がわかる―ニュースを読み解く32講』(岩波書店・2016年)や⑧森肇志他編『サブテクスト国際法-教科書の一歩先へ』(日本評論社・2020)、教科書⑫の姉妹品として⑨『演習プラクティス国際法』(信山社・2013)も事例研究として参照すると良い。

E 研究論文

国際法の学術雑誌として国際法学会から『国際法外交雑誌』が年4回(2001年度第100巻までは年6回)、世界法学会から『世界法年報』が年1回刊行されている。その他、国際問題研究所から『国際問題』が毎月刊行されているが、現在はオンラインのみとなっている。その他、分野ごとに『国際人権』(年1回)、『国際経済法学会年報』(年1回)などが刊行されている。また各大学の紀要や法律専門雑誌(『ジュリスト』、『法律時報』、『法学セミナー』、『法学教室』、『法律のひろば』など)でも国際法関連の論文が掲載されることがある。もちろん単著や論文集などの書籍の形で発表される場合もある。これらの国際法関連の文献については、『国際法外交雑誌』の毎巻2号(2014年度以降は学会HPに移行)や『法律時報』12月号の学会回顧に、前年度の主要文献が掲載されるほか、『法律時報』の毎号巻末に最新の文献リストが掲載される。ウェブでキーワード検索する方が簡単だが、上記のような雑誌を丹念に調べることによって予期せぬ「お宝」が発見できるかもしれない。

F 欧文の文献

英語で書かれた定評のある国際法の教科書として、以下のものがある。

① James Crawford, Brownlie's Principles of Public International Law, 9th ed, OUP, 2019
② Malcom N. Shaw, International Law, 9th ed, CUP, 2021
③ Malcolm D. Evans, International Law, 5th ed, OUP, 2018

①は、Crawfordによって編集された、英国で最も代表的な国際法の教科書の実質的な第9版。また②と③は、短期間で何度も改訂されており、欧米でも評価が高い。ただし、いずれもやや難解で頁数も多い。ボリュームも手頃で比較的読みやすいテキストとして、Antonio CasseseによるInternational Law, 2nd ed, OUPの改訂版(④P. Gaeta, Cassese's International Law, 3rd ed. OUP, 2020)や、⑤ Martin Dixon, Textbook on International Law, 7th ed, OUP, 2013を挙げることができる。

現在、国際条約のほとんどは英語を正文として採択されている。国連をはじめとするホームページでも原文を手に入れることができるが(後述)、英語の条約集が手元にあると便利である。入手しやすいものとして、

⑥ Malcolm D. Evans, Blackstone's International Law Documents, 15th ed, OUP, 2021
⑦ Ian Brownlie, Basic Documents in International Law, 6th, OUP, 2009がある。価格と掲載条約数共に優れているのは⑥の方である。

また判例などを含めた資料集として、
⑧ David Harris & Sandesh Sivakumaran, Cases and Materials on International Law, 9th ed, Sweet & Maxwell, 2020
⑨ Martin Dixon & Robert McCorquodale, Sarah Williams, Cases & Materials on International Law, 6th ed, OUP,2016がある。
特に⑧は英国の国際法の授業でよく使われている。辞典としては、⑩ Max Planck Institute for Comparative Public Law and International Law, Encyclopedia of Public International Law 10 volsが最も充実している。これよりもコンパクト(それでも500ページ以上ある)な辞典として、⑪ John P. Grant & J. Craig Barker, Encyclopaedic Dictionary of International Law, 3rd ed, OUP, 2009や⑫ Boleslaw A. Boczek, International Law: A Dictionary, Scarecrow Pr, 2005がある。

欧文の文献については、各国の国際法学会の学会誌を手がかりにするのが良い。米国のAmerican Journal of International Law、英国のThe British Yearbook of International Law、フランスのRevue Générale de Droit International Public、オランダのNetherlands Yearbook of International Law、欧州のEuropean Journal of International Lawなどは立命館大学(修学館)で閲覧が可能である。また資料集としてInternational Legal Materialsは重要な一次資料を掲載してくれる。その他、ホームページを活用した検索については後述。

(2) 文献・資料の入手

A 図書館の利用

国際法に限らず、学習・研究にとって図書館は力強い味方になってくれる。まずは平井嘉一郎記念図書館、文系の資料が集まる修学館、国際関係学部にとって最も身近な IRラボ(恒心館)、に足繁く通って、それぞれの図書館の使用方法に慣れておこう。もちろん、図書館のデータベース検索(RAINBOW)を使って、あらかじめどこにあるのかを下調べしておいた方が良い。なお衣笠キャンパス以外の図書館や他大学の図書館に所蔵されている文献や雑誌も複写や取り寄せを依頼することができる。ある程度の時間がかかるので、早めにライブラリアンに相談すると良い。

B インターネットを活用した資料検索

国際法の学習・研究をするに当たって、特に有用なインターネットのサイトを紹介する。まず、国連のサイト(http://www.un.org/)では、総会や安保理の決議など、公式文書を入手することができる。その他、国際法委員会や人権委員会(2005年からは人権理事会)のサイトにも移動できるので、まずはこのページから色々探してみるのも良いだろう。特に国際司法裁判所のサイト(http://www.icj-cij.org/)では、これまで出された判決および勧告的意見の全文が入手できるほか、前身の常設国際司法裁判所の判決および意見も入手できる。国際海洋法裁判所や国際刑事裁判所の判決も国連のサイトからつながっている。また、国連機関ではないが重要な国際機関である世界貿易機関(WTO)のサイト(http://www.wto.org/)では、紛争解決パネルの裁定のほか、委員会の報告書なども入手できる。

外務省(http://www.mofa.go.jp/mofaj/)や法務省(http://www.moj.go.jp/)などの省庁のホームページには、日本の外交政策に関する公式見解や報告書などの一次資料が掲載されている。

日本の国内法判例を検索したければ、立命館大学図書館のデータベース検索「RAINBOW」(http://www.ritsumei.ac.jp/acd/mr/lib/index.htm)で、LEX/DB INTERNETや第一法規・法情報総合データベースにアクセスしてみよう。

条約の正文や締約国の情報を入手したい場合は、国連のUnited Nations Treaty Collectionのサイト(http://untreaty.un.org/)が便利である。ただし、最新の情報については、当該条約の事務局となっている国際機関(例えばオゾン層保護ウィーン条約なら国連環境計画 UNEP)にアクセスする方が良い。

国内外の文献を調べる場合も、「RAINBOW」で検索してみると便利である。また、国内の文献の場合、国立国会図書館オンライン(https://ndlonline.ndl.go.jp/)、国際法の海外の文献については、マックス・プランク外国公法・国際法研究所(http://www.mpil.de/ww/en/pub/news.cfm)や国際司法裁判所の平和宮図書館(https://www.peacepalacelibrary.nl/)のホームページで検索が可能である。タイトルや著者などできるだけ情報を絞り込んだ方が良い。

なお、国際法学会(https://jsil.jp/)のホームページにも有用な情報やリンクがある。特に最近、日本にとって重要と考えられるトピックの国際法学的見地からの解説(エキスパートコメント)を掲載したり、学部生や大学院生の国際法(国際私法、国際政治外交史を含む。)研究を奨励するために「小田滋賞」を設けるなど、その内容が充実してきた。頻繁にアクセスして積極的に活用してみよう。

インターネットは、迅速かつ大量に情報を入手できる魅力的なツールである。他方で、インターネット上に置かれている情報は、誰がいつどのような目的で提供したのかが分からないものも多い。したがって、玉石混合の宝箱の中から「玉」を見つけ出せるように(逆に「石」をつかまされないように)細心の注意を払おう。

執筆者:西村 智朗
執筆日(更新日):2022年2月25日