学園創立125周年記念「学長フォーラム」を開催 ― Inclusive Education for the Next Generationをテーマに、世界の大学リーダーが議論 ―
10月17日(金)、立命館大学衣笠キャンパス 平井嘉一郎記念図書館カンファレンスルームにおいて、学園創立125周年を記念する「学長フォーラム(Presidents’ Forum)」が開催されました。
世界各国・地域の協定大学から、学長・副学長など約30名が参加し、Inclusive Education for the Next Generation — Diversity, Equity, and Inclusion (DEI) in Education(次世代のための包摂的教育—教育における多様性・公平性・包摂性)を主題に、教育・研究を通じた社会貢献と国際連携の未来について活発な議論が交わされました。
講演と討論の概要
開会にあたり仲谷善雄総長・立命館大学長が登壇し、学園ビジョンR2030に基づき、「次世代研究大学」として教育・研究の変革を進めていること、そして多様性・公平性・包摂性(DEI)の推進が次世代教育の中核を成すことを述べました。
続いて、小川さやか副総長(国際担当)・副学長は、基調講演としてExpanding Human Possibilities: An Anthropological Perspective on Inclusive Education for the Next Generation(人間の可能性の拡大:次世代のインクルーシブ教育に対する人類学的視点)と題し、人類学の視点から教育の社会的意義を考察しました。
セッション1は、“Advancing EDID in Higher Education: Perspectives and Practices from the University of British Columbia”と題し、石川涼子国際教育推進機構准教授がモデレーターを務めました。
カナダのブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)のJan Hare教育学部長が登壇し、The Vulnerability of Equity, Diversity and Inclusion (EDI) in Higher Education: A Canadian Perspective in This Moment(高等教育における公平性・多様性・包摂性の脆弱性:現代カナダの視点から)をテーマに講演しました。Hare学部長は、反EDI的な潮流への懸念を示しつつ、大学が連帯と協働を通じて理念を守り続けることの重要性を強調しました。
その後、Ryan Deschambault UBC教育学部准教授(立命館・UBCプログラム アカデミックディレクター)から、35年続く立命館・UBCプログラムの歩みを振り返りながら、変革的な学びを実践してきたこと、多様性の課題を学ぶことができるプログラムであることが述べられました。UBC博士課程のAnastasia Zhuravleva氏とRyosuke Aoyama氏もオンラインで発表を行い、先住民の知を重視した言語教育の事例や、グローバル・イングリッシュ教育を通じた批判的言語意識(Critical Language Awareness)の育成について紹介しました。
参加者からは、工学分野における多様性の確保やメンタルヘルスへのサポート、同質性を重んじる社会における多様性教育、学生の意識変化に関する事例などの質問がなされ、意見交換が行われました。
セッション2では、羽谷沙織国際部副部長がモデレーターを務め、堀江未来グローバル教養学部長が“Cultivating Diversity Awareness throughout Primary, Secondary, and Tertiary Education at Ritsumeikan”(初等・中等・高等教育を貫く多様性意識育成の取り組み)をテーマに講演しました。堀江学部長は、教育段階を越えて多様性理解を育む実践や、対話と協働を軸とした学校文化改革の事例を紹介しました。
参加者からは、学生のコンピテンシーの成果をどう測定するか、理工系大学におけるリベラルアーツ教育の導入、初等教育における児童・生徒の多様性向上などの質問がなされ、DEI推進の現状や展望について、活発な議論が交わされました。
今後への展望
閉会にあたり中戸祐夫副学長・国際部長は、フォーラムを通じて得られた知見を教育・研究活動に生かし、DEI理念に基づく教育推進および国際協働による次世代人材育成をさらに進めていく決意を述べました。
また、フォーラム全体を通じてフロアからも多くの質問や意見が寄せられ、講演者と参加者の双方向的な交流が活発に行われました。多様なバックグラウンドを持つ大学関係者が互いの経験を共有し、新たな視点と連携の可能性を見出す意義深い機会となりました。
まとめ
学園創立125周年記念事業の一環として開催された本フォーラムは、国際的な大学連携をいっそう深化させる重要な節目となりました。
本学は今後も、多様性を尊重し、包摂的かつ持続可能な社会の実現に向け、世界の大学と協働して新たな価値創造を推進していきます。



