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2014.10.09
研究入門フォーラム・政策科学特別実習「ユーラシア・プロジェクト」現地調査
政策科学部2回生の小集団演習科目である研究入門フォーラムでは「日本の安全保障とユーラシア」プロジェクトが今夏にロシア(サハリン)とモンゴルを訪問し調査を行いました。日本政府も注目しているユーラシアにおける安全保障を、資源や地政学的牽制の両面から研究し、とりわけユーラシアの中でも重要な位置にあるサハリンとモンゴルに焦点を当て、日本そして日本の周辺地域、更にはユーラシア全域に渡る安全保障構築のプロセスと具体的な政策提言について一年を通し検討しています。
(1)サハリン訪問
北海道と立命館大学の協定(2013年9月)およびサハリン大学と立命館大学の協定(2014年5月)にもとづき、北海道庁とサハリン大学の協力をえて、2014年8月30日から9月3日までサハリンを訪問しました。
州都のユジノサハリンスクでは、サハリン大学石油・ガス学部、サハリンエナジー社、在ユジノサハリンスク日本総領事館、北海道庁サハリン事務所、北海道新聞社ユジノサハリンスク支局等を訪問し、インタビュー調査を行いました。サハリン大学では、石油ガス学部長の講演のほか、石油ガス学部の施設でサハリンプロジェクトで用いる練習用機械などを見学しました。在ユジノサハリンスク日本総領事館では鉄道輸送について意見を聞き、北海道新聞社ユジノサハリンスク支局ではサハリンプロジェクトやエネルギー開発等について、現地でなければ入手できない情報を得ることができました。また北海道に面するコルサコフを訪問し、LNGの出荷を行う基地を見学しました。

コルサコフのLNG基地を展望

サハリン大学石油ガス学部にて
これらの調査を通じて、サハリン側からみたエネルギー資源をめぐる実相を理解し、日露間の北海道・サハリンを経由するエネルギーの流通の条件について再検討しました。
なお9月1日にはサハリン大学の新入生歓迎式に参列し、学生の活気、同校の歴史、そしてロシアの広大さ及び奥深さに触れ感動を新たにしました。翌日、同大学の経済学東洋学部日本語学科の学生と政策科学部学生が一同に会し、日露の基本的知識についてのクイズを通じて交流を深めました。
(2)北海道庁での報告会
サハリンから帰国した後、札幌では、北海道庁の各部署の職員の方々を前に報告会を開催いたしました。サハリンの調査で得た情報を加え、北海道の地理的位置が北東アジアと極東ロシアを結ぶのに最適であること、サハリンと北海道を結ぶパイプラインや鉄道の実現によってもたらされる北海道の可能性をテーマにプレゼンテーションを行いました。この報告に対して道庁の方々より、専門的かつ実務的知見をもとに、サハリン―北海道間の連携強化の観点や国際的視野をふまえた具体的なご指摘をいただき、学生にとっては貴重な機会となりました。
なお道庁のプレゼンの前日、札幌大学にて学生の留学・派遣の発表会を催していただき、札幌大学の学生と交流を深めました。
(3)モンゴル訪問
札幌からモンゴルに向かいました。モンゴルでは、モンゴル外務大臣補佐官へのインタビューのほか、国家安全保障委員会で勤務している立命館大学政策科学研究科のOB・OGをはじめとする専門家のかたがたに、モンゴルと中国、ロシア、そして「第三の隣国」(アメリカ、日本など)との外交関係についてインタビューを行いました。
在モンゴル日本国大使館では日本側の視点からモンゴルの内部事情について聞き取りを行いました。JICAでは日本の支援がどのようにモンゴルと関わっているか質問を行いました。加えて、日本との関わりが深い新モンゴル高校では、学生の研究についてプレゼンテーションを行う機会をえました、それらの機会を通じて、研究に役立つ貴重な意見を得ることができました。
なお駒沢女子大学の協力をえて、イフザサク大学のゲルに宿泊し、両大学の学生と実り多い交流をおこないました。

モンゴル国家安全保障委員会にて

モンゴルのゲルにて
(4)後期セメスターに向けて
「日本の安全保障とユーラシア」プロジェクトは、対象とする地理的規模が広くテーマ設定が容易ではなかったため、前期や夏休みに多くの文献を渉猟し、学生相互に議論を重ね、明確な目標をもって現地調査に臨みました。現地でインタビュー調査を行うたびに新たな意見を得ることができ、学生は研究テーマを何度も再検討するなど悪戦苦闘していました。
しかし、現地調査を通じて今後の研究にとって貴重な知見をえたことに加え、学生が様々な場で活躍するときに必要となる大変貴重な経験になりました。後期セメスターでは、前期セメスターに進めた研究の構想に付随する問題の解決方法を模索します。
最後に、今回の訪問にあたり、格別のご高配を賜ったサハリン大学、北海道サハリン事務所及び同国際経済室、モンゴル国家安全保障委員会、札幌大学、駒沢女子大学のかたがたに、厚くお礼申し上げます。
2014.10.01
韓国プロジェクトの夏期実習(韓国)の報告
政策科学部2回生の小集団演習科目である研究入門フォーラム・韓国プロジェクトでは、政策科学特別実習のテーマを「新たな外国人労働者に対する政策展開の可能性の模索-日韓比較を通じて-」としました。1年間にわたる政策過程研究の一環として、6名の受講者が2013年9月3日(水)〜9月10日(水)に本学部教員の松岡京美助教(公共政策・政策過程論)、藤原智栄美准教授(日本語教育学・社会言語学)とともに韓国のソウル市とその周辺で訪問調査を行いました。
調査実習の目的は、韓国における外国人労働者をめぐる制度利用の実態と問題点、および外国人労働者に対する支援などの現状を調査することで、日本での外国人労働者をめぐる新たな政策展開の可能性への知見を得ようとするものです。今回の調査では、前期セメスターで進めてきた文献調査を踏まえ、受講生との議論を通じて、韓国における現状を知るための訪問先を選びました。
9月3日(水)に韓国ソウル市に到着してすぐ、ソウル市にある外国人労働者の支援団体であるY団体の活動家であるCさんとのヒアリング調査(写真1)を行いました。異なる国からきている外国人労働者のコミュニティ形成支援、不法滞在者の子供の教育支援など実際の事例を紹介してもらいながら外国人労働者に対する支援活動の取り組みを聞くことができました。
9月4日(木)は、国からの受託を受けて外国人労働者の支援を行っている「韓国外国人人力支援センター」でWonkyung Kimさんにヒアリング調査(写真2)を行いました。国の雇用許可制に関する説明、その中でのセンター活動としての法律相談、外国人労働者に対する言語、パソコン教育などの状況について説明を聞くことができました。加えて、午後は、アンヤン大学を訪問し、Donghyun Ha教授による韓国中央行政に関する講義(写真3)を受けました。
9月5日(金)は、「ブチョン外国人労働者の家」のBongKyoung Kimさんとのヒアリング調査から、様々な外国人労働者支援団体が初期からどのような変化をたどり、その中でブチョン外国人労働者の家が担った役割などのへ説明を聞くことができました(写真4)。その団体と関連して活動する金子由美子さんへのインタービューによって日本人のコミュニティや他の国のコミュニティ活動との交流から、韓国における多文化家庭の現状を聞くことができました。また、訪問した韓国労働研究院のKyuyoun Lee博士からは、韓国政府の外国人労働者に対する国の政策の変容に関する説明や韓国経済での外国人労働者を含む労働問題などの説明を受けました(写真5)。
9月6日(土)から9月8日(月)では、アンヤン大学の学生との交流会や博物館などの見学、外国人(主に観光客)への韓国の文化体験などに参加しました(写真6、7、8、9)。
9月9日(火)は、「外国人移住労働者人権のための集まり」の副所長であるWonJeong Seokさんにヒアリング調査をしました(写真10)。韓国での軍部政権から文民政権に至るまでの労働者をめぐる人権の向上と、そこでの外国人労働者の人権の向上ための活動などの説明を受けました。
今回の調査は、韓国の外国人労働者をめぐる制度の変容の中で、様々な組織が実際に取り組んでいる活動やその事例などを具体的に聞くことができ、学生のみではなく引率した教員にとっても大変有意義なものでした。これらの調査は、訪問の受け入れにご協力いただいた多くの方の助力で可能になりました。学生達との議論にお付き合いくださった皆様にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。
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(写真1) |
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2014.08.04
การเรียนรู้เกี่ยวกับประเทศญี่ปุ่นที่มหาวิทยาลัยริทซึเมคัง (Learning about Japan at Ritsumeikan)
โปรแกรมพีบีเอล หรือโปรแกรมพัฒนาคุณภาพการศึกษาโดยเรียนรู้จากปัญหาที่เกิดขึ้นจริงจากนานาชาติที่คณะนโยบายศึกษาจัดขึ้นได้เริ่มการเรียนการสอนแล้วในภาคการศึกษาแรกของปี 2557 (2014) โดยในปีแรกมีนักศึกษาจากมหาวิทยลัยธรรมศาสตร์มา 5 คน มาเรียนในโปรแกรมภาษาอังกฤษของคณะ ซึ่งมีหลายสาขาวิชาให้เลือก
วิชาหนึ่งที่นักศึกษาเรียนคือวิชา Global-Local Onsite Seminar ซึ่งเป็นวิชาเกี่ยวกับประเทศญี่ปุ่นและชุมชนท้องถิ่นในเกียวโตซึ่งเป็นที่ที่นักศึกษามาอยู่เป็นเวลา 3 เดือน วิชานี้แบ่งเป็นสองส่วน ส่วนแรกสอนโดยอาจารย์ชาวญี่ปุ่น เป็นการลงภาคสนามเก็บข้อมูลเกี่ยวกับชุมชนในระแวกมหาวิทยาลัยริทซึเมคังว่ามีการจัดการชุมชนและป้องกันภัยพิบัติจากธรรมชาติอย่างไร ส่วนหลังสอนโดยอาจารย์ชาวไทย เป็นหัวข้อเกี่ยวกับประวัติศาสตร์ สังคม วัฒนธรรม รวมทั้งภาษาญี่ปุ่นขั้นพื้นฐานเพื่อช่วยให้นักศึกษาเข้าใจสังคมและคนญี่ปุ่นตลอดจนวิถีการดำเนินชีวิตในประเทศญี่ปุ่นมากขึ้น
กิจกรรมทัศนศึกษาที่พิพิธภัณฑ์ชาติพันธุ์วิทยาเมืองโอซาก้า
นอกจากการเรียนในห้องเรียนแล้ว ยังมีกิจกรรมพิเศษนอกห้องเรียนด้วย นั่นคือการไปทัศนศึกษาที่พิพิธภัณฑ์ชาติพันธุ์วิทยาที่เมืองโอซาก้าเมื่อวันที่ 14 มิถุนายน 2557 พิพิธภัณฑ์แห่งนี้จัดแสดงสิ่งของเกี่ยวกับศิลปะ วัฒนธรรมและวิถีการดำเนินชีวิตของนานาประเทศรวมทั้งประเทศญี่ปุ่น การไปทัศนศึกษาที่พิพิธภัณฑ์แห่งนี้ทำให้นักศึกษาเข้าใจวัฒนธรรมและรากเหง้าของประเทศญี่ปุ่นดีขึ้นผ่านสื่อต่างๆเช่นวัตถุที่จัดแสดงและวีดีทัศน์ ทัศนศึกษาครั้งนี้ยังมีนักศึกษาชาวญี่ปุ่นและชาวจีนซึ่งกำลังเรียนวิชาศาสนาในเอเชียตะวันออกเฉียงใต้เข้าร่วมด้วย กิจกรรมนี้นอกจากจะทำให้นักศึกษาได้รู้จักประเทศญี่ปุ่นผ่านการจัดแสดงในพิพิธภัณฑ์แล้ว ยังเป็นโอกาสที่ดีของนักศึกษาไทยในการทำความรู้จักกับนักศึกษาชาวญี่ปุ่นและชาวจีนและแลกเปลี่ยนความรู้ความเข้าใจเกี่ยวกับประเทศของตนไปในตัวด้วย
2014.08.04
立命館大学で東南アジアの宗教と社会を学ぶこと
文部科学省「平成25年度大学の世界展開力強化事業」に採択された立命館大学「国際PBLによるイノベータ育成プログラム」の事前学習として、2014年5月から「東南アジアの宗教」という講義を開講しました。講師はタイ出身のピヤダー・ションラオーン助教です。この科目は、タイとインドネシアのAIMS(ASEAN International Mobility for Students Programme)の協定大学に留学する学生を主な対象としていますが、それ以外に東南アジアについて興味を持つ学生も履修できます。受講生は政策科学部の学生が主ですが、国際関係学部の学生も履修していました。
この講義は「東南アジアの宗教」という授業ですが、登録している学生の多くは東南アジアについては初学者であるため、東南アジア地域とは何か、地域としてどのように、いつから結合されたのかという基本的な知識から学習しました。それから各国の社会、民族、歴史を踏みながら、各地の人々の宗教や信仰について講義しました。東南アジアは民族や宗教的が多種多様な地域であり、この地域で信仰されている宗教、つまり仏教、ヒンドゥ教、キリスト教、イスラム教、および各地の民間信仰を知るだけでも世界の宗教を把握できます。ただし、講義だけでは東南アジアのイメージをなかなかつかめにくいので、自分で各国の文化を体験するために6月14日に大阪国立民族博物館を見学しました。その際AIMSの協定校であるタイ・タマサート大学から来た留学生5人も参加しており、お互いの国の文化を学びながら、交流を深めました。
2014年6月14日、大阪国立民族博物館に見学した。タイの留学生も同行。
講義の後半は東南アジア各地における民族と宗教紛争、及びイスラム過激派と世界テロリストとの関連について焦点を当てました。最後にグループ・ディスカッションとして日本と東南アジアの宗教と人々の宗教に対する認識を比較しながら議論しました。この講義を通じて学生が強く感じたのは、東南アジアの人々にとって、宗教が人々の生活や考え方に強く影響しているということです。また学生からは、今まで宗教のこと、特にイスラム教についてあまり知らなかったので、この講義を通じて知識と理解を深めることができてよかったとの意見もありました。
2014.08.04
タイ・インドネシア人留学生を招いた「グローバル教育」オープン・トークセッションを開催
7月5日、世界展開力強化事業「国際PBLによるイノベータ養成プログラム」の事前講義の一つである「グローバル教育」の一環として、タイからの留学生5名、インドネシアからの留学生2名をゲストスピーカーに迎え、日本語基準の受講生と交流を行いました。本学の世界展開力強化事業は今年度から始まったプログラムで、協定校において他の留学生と共同現地調査と通した問題発見、問題解決を目指したPBL(Problem-Based Learning)による国際イノベータ―を育成することを目的としています。本学から派遣される学生は本年度の後期にタイとインドネシアの各協定校で学びます。今回の企画は各国の留学生と触れ合える貴重な機会であるため「グローバル教育」受講生以外にもオープンにしたことで、他の世界展開力強化事業の派遣学生の参加もあり、活発な質疑応答がなされました。
まずタイ人留学生より、”Civic Movement”ならびに”Low Income Settlement”と題して発表がありました。”Civic Movement”では活発な市民活動にはどのような資源(人、リーダーシップ、お金、目的を同一にするグループの協力など)が必要なのかについて、タイにおけるデモを事例に紹介しました。”Low Income Settlement”ではバンコクの低所得者層居住地域について、住環境を改善するための住宅改善やコミュニティ政策などについて紹介しました。そして、政情が不安定なタイ政治の現状や、低所得者層居住地域の政策の詳細について質疑応答がなされました。今回招待したタイ人学生は、本学でPBLによるワークショップに参加した経験を有しているから、彼らがPBLを通じて発見したことなども共有しました。
次にインドネシア人学生より、インドネシアの基本情報、現地で直面する可能性のあるカルチャーショック、そして現在の政治状況について発表がありました。特にインドネシアは多民族国家であり、言語や住宅、伝統なども地域によって異なることをまず伝え、日本とインドネシアの違いからおこるカルチャーショックについては、交通状況や公共交通機関利用時の注意点、時間に関わるとらえ方の相違(30分遅れはよくあること)、イスラム国家における服装の注意点、飲み会などの習慣がないこと、ラマダン(断食月)などについて説明し、カルチャーショックは問題ではなく、克服することで自分自身の成長になるとエールを送りました。最後に、ソーシャルメディアを駆使した7月の大統領選挙について解説しました。その後、イスラム国家におけるタブーなど、現地での生活課題を中心に活発な質疑応答が行われました。
本プログラムの特色であるPBLでは、協定校における現地調査など留学生との共同作業を英語で行いますが、それには他の留学生の文化などを学んでおくことが不可欠です。今回の企画は、発表と質疑応答のすべてを英語で行うとともに、留学生との交流から各国の状況や文化に触れる貴重な機会となりました。
2014.07.10
2014年度西園寺育英奨学金給付証書授与式を挙行しました
2014年7月9日(水)、2014年度西園寺育英奨学金給付証書授与式を挙行しました。
西園寺育英奨学金制度は、学業において優秀な成績を修め、学びと成長の模範となる学生を励まし、援助することを目的としています。
政策科学部から23名が2014年度の奨学生として選ばれました。
以学館1号ホールで行われた全体式では、渡辺公三副学長からの祝辞の後、政策科学部を代表して4回生の本田純一さんが証書を受け取り、謝辞を述べました。
謝辞では、1回生の基礎演習や2回生の研究入門フォーラムで多角的視野や研究姿勢を身につけ、昨年度の「第9回京都から発信する政策研究交流大会」で優秀賞を獲得した経験が語られ、今年度も共同研究やフィールドワークを進めながら、学生生活の集大成として卒業論文に取り組む抱負が述べられました。
全体式終了後には、政策科学部での授与式が行われ、重森臣広政策科学部長から奨学生一人一人に証書が手渡された後、祝辞が述べられました。
祝辞では、「政策科学部の人材育成目標に沿って奨学生に選ばれたみなさんは、身につけた知識や技能でよい成績を取ることに加えて、他の人に感謝されるような還元や貢献をして欲しい。社会に出た後も勉強は続くので、大学生活でその練習をしてもらいたい」と奨学生を激励しました。
最後に記念撮影をおこない、授与式は終了しました。
2014.06.06
立命館大学政策科学部・東北財経大学公共管理学院共催の国際シンポジウム「公共政策と社会マネジメントのイノベーションと発展」が開催されました
本シンポジウムは17日午前の特別講演、午後のテーマ報告、および18日午前のグループディスカッションによって構成され、日本と中国から約30名の学者が報告、討論に参加し、公共管理学院から約100名の学生が出席しました。特別講演において、政策科学部長重森臣広教授は「イギリス救貧法史における1834年と1869年-政策イノベーションの歴史的事例-」を、テーマ報告においては、副学部長西村陽造教授は「円と人民元の国際化-アジアにおける通貨・金融協力へのインプリケーション-」を、藤井禎介准教授は「イノベーションの政策、政策のイノベーション」をそれぞれ報告し、副学部長田林葉教授、周瑋生教授、楊秋麗講師がディスカッションに参加しました。
立命館大学政策科学部と東北財経大学公共管理学院は、2010年に国際交流協定を締結して以来、執行部の相互訪問、学生交流、教員間の共同研究を含む多様な形式で友好関係を深めてきました。2013年5月に、政策科学部の関係者が東北財経大学公共管理学院を訪問した際、両学部は国際シンポジウム共催について意見交換し、記念すべく第1回目の国際シンポジウムは、両学部の研究領域の類似性、および中国社会の発展にとって、喫緊に解決しなければならない社会問題についての研究の必要性が高いことから、「公共政策と社会マネジメントのイノベーションと発展」というテーマに決定しました。今回の国際シンポジウムは東北財経大学において開かれましたが、以降毎年立命館大学と東北財経大学において交互に開催されます。第2回目の国際シンポジウムは2015年秋に立命館大学新キャンパスOIC(大阪いばらきキャンパス)にて開催される予定です。
大連滞在中、政策科学部の参加者は東北財経大学公共管理学院のほか、同大学国際漢語文化学院、国際交流処、および大連理工大学の寧桂玲副学長、国際部、人文学部、管理経済学部を表敬訪問し、今後の学生交換、共同研究、国際教育、国際交流の展開について、意見交換し、今後の展開について話し合いを持ちました。
2014.06.06
ACS企画「ライティングヘルプデスク」開催のご案内
今月は1,2回生を対象としたライティングヘルプデスクを、6月9日(金)、16日(月)~20日(金)に行います。政策科学部では、ライティングスキルを4年間かけて学んでいきますが、その第一歩として、6月の基礎演習(1回生の小集団ゼミナール講義)で第1回目のレポート課題が課せられます。「STAP細胞論文問題」をきっかけとした論文剽窃、改ざんに関する諸問題に対して問題意識を持ち、学生自身がそのような過ちを犯さないように相互に学び合っていきます。また、このような活動を通じて学部内における学生同士の学び合いを深め、学びをきっかけとした繋がりが作れればいいと考えています。
ACS企画「ライティングヘルプデスク」ちらしPDF
2014.05.26
本学部の太田先生(助教)による2013年度の英語209の授業の1コマが、雑誌『近代盆栽』2014年3月号に掲載されました
本学部の太田先生(助教)による2013年度の英語209の授業の1コマが、雑誌『近代盆栽』2014年3月号に掲載されました。
担当の太田先生に聞きました。
Q) この授業の概要を教えてください。
A) この授業はリスニングを行いますが、全15回のうち3回分で、ゲストスピーカーによる講演を聞くことになります。
ゲストスピーカーは、禅や茶道のような日本文化を極めている英語話者で、話の内容は、日本文化の紹介です。
この雑誌で取り上げられた回は、雑誌名のとおり、盆栽を対象にしています。
日本文化として世界中で注目されていますが、多くの方は盆栽が何でどのような点が日本的なのか知りません。
それを、プロとして実施されている方に紹介いただきました。
Q) この授業の目的はどのようなものですか?
A) 授業の目的は、日本人でありながら詳しく知らない日本文化を、英語で外国の方から学ぶことによって、日本文化の魅力を見直し、深く理解することができるようになることです。
日本のことをよく知るためには、外国から見つめることがとても大事だと思います。
私が留学したり、海外に調査に行ったりすると、いつも感じていることです。
これを、英語のリスニングを通じて実施する、一石二鳥の講義になります。
Q) 授業の効果はいかがでしたか?
A) 授業の効果は、直後の感想文で把握しています。全ての内容を完全に理解できていない学生もいますが、雑誌記事にもあるように日本人よりも日本文化に詳しい英語話者に対して、尊敬のまなざしをもつとともに、今後の自らの学びの幅を広げようという熱意も感じられました。
また、映像を駆使したプレゼンテーションであったため、理解が進んだ部分もあるようです。
講演の後の質疑応答でも、積極的にコミュニケーションを取ろうとしている学生がたくさんいました。
Q) 学生に対してメッセージをお願いします。
A) 今後、海外に羽ばたいて政策を形成していく皆さんが、日本の文化を内からも外からも多面的に見つめられるようになり、英語話者と豊かなコミュニケーションを取れるようになってほしいと願っています。
2014.05.21
大型研究プロジェクト「里海の生態系サービスの経済評価」が始まります
このたび、環境省の「平成26年度戦略的研究開発領域課題(S-13)」の一環で、「持続可能な沿岸海域実現を目指した沿岸海域管理手法の開発」というプロジェクトがスタートします。全部で15のサブテーマがあり、このうち立命館大学・政策科学部では、「里海の生態系サービスの経済評価」というサブテーマで、仲上健一先生(政策科学部・特別任用教授)をリーダーとして、小幡教授、高尾教授、上原准教授、太田助教が研究を行っていきます。
今回はその概要について、仲上先生と太田先生(政策科学部・助教)に聞きましたので、みなさんにご紹介をさせて頂きます。
Q1:「里海の生態系サービスの経済評価」とありますが、どのような内容なのでしょうか、もう少し詳しく教えてください。
A1:はい。このテーマは、3つのステップを踏んでいきます。第1は、沿岸海域で行われてきた、様々な開発プロジェクトのレビューを行い、データベースにまとめていきます。そして現状の評価を加えることによって、これまで私たち人間が行ってきた活動に起因する沿岸域に与え続けてしまった負荷の計算をしていきます。「沿岸」とありますが、なにも海のそばの海岸線という意味に限定するわけではなく、海につながる河川の流域も対象に含まれます。またこの沿岸域を特に「里海」と称して、人と自然環境とのつながりを明確に意識したものとしています。人間は沿岸域の資源を様々な形で管理して利用してきました。この人と自然とが形作るシステムが里海といえます。
里海
Q2:フィールドはどのようなものを想定しているのでしょうか?
A2:現時点では、日本国内の全47都道府県が対象ですが、そのなかでも、瀬戸内海・三陸沿岸・日本海沿岸の3エリアを重点的に取り扱っていくことを考えています。
Q3:「里海」ということばはあまり聞いたことがありません。どのようなものでしょうか?
A3:例えば環境省は、里海を「人の手が加わることにより、生物生産性と生物多様性が高くなった沿岸海域」と定義しています。「海だけ」・「陸地だけ」ではなく、その両者を一体のものとして扱うことで、生態系や物質循環の機能(ここでの物質とは、適正な栄養塩や水質など)をうまく維持していくことが可能となります。そのためには、海の水質改善だけではなく、森林の管理や、私たちが海産物(魚介類・藻類)などを消費していく(もちろんバランスを考えたうえで!)ことも大きく影響していきます。
里海
Q4:なるほど、里海という言葉の奥深さが少しだけ見えた気がします。次のステップは?
A4:第2のステップは、生態系サービスの貨幣価値を算出します。ここでの「生態系サービス」とは、海域が私たちに与えてくれる恩恵の総称です。例えば、食品(魚介類など)の提供や、レジャースポットとしての恩恵などがわかりやすいかと思います。他には、気候調整や栄養循環等のサービスもあります。
貨幣価値への換算にあたっては、「代替法」(そのサービスを別の商品や施設等に置き換える場合にかかる費用)、「ヘドニック法」(そのサービスに関連し、土地や賃金など特定の商品に反映される付加価値)、「CVM(仮想評価法)」(人々が付加価値を感じるかもしれないオプションの価値)などがあります。
例えば先行研究の中には、瀬戸内海の水質改善により、1年当たり約1兆3,000億円の便益(私たちにとってメリットとなるもの)があり、それにかかる費用は約1兆5,000億円という試算結果を出しているもの(*)もあります。
*岡市友利・小森青児・中西弘編、「瀬戸内海の生物資源と環境」、1996、恒星社厚生閣
Q5:1兆円とはすごい金額ですね。他に特徴的な手法はあるのですか?
A5:評価手法としては、Costanza(コスタンザ)評価法というものも使います。これはロバート・コスタンザ氏を中心とした研究グループが1997年に発表した論文で用いた評価手法であり、17種類の生態系サービスの価値は、全世界で毎年、30兆ドルという試算結果を出しました。日本のGDP(2012年度、実質国内総生産額)はおよそ517兆円であり、1ドルを100円とすると、約5兆ドルということになります。これと比べても、その価値の大きさを感じてもらえるのではないかと思います。
Q6:第3のステップは?
A6:第3のステップでは、サステイナビリティ(持続可能性)という視点から、先に述べた3つのエリアで、自然環境価値・経済的価値・社会的価値の評価を行います。
研究会風景
Q7:サステイナビリティといいますが、どのようにして評価を行うのでしょうか?
A7:これまでサステイナビリティの評価手法が数多く提案されていますが、研究者及び政策決定者のコンセンサス(合意)が得られた、確立された手法はありません。一般的には様々な指標を用います。例えば「1人あたりのGDP」や「GDPあたりの石炭消費量」などがあります。少し変わったところでは、「保安林の面積」や「耕作面積」などというのもあります。本プロジェクトでは、こうした指標の選定から、複数の指標の統合方法、そして過去・現在・未来のダイナミックな変化を捉えた新しいサステイナビリティ評価手法を開発・適用します。
Q8:最後に、このテーマの到達点といいますか、目標を教えてください。
A8: 最終的には、違うテーマ(視点)で研究を行ってきた他の大学や研究機関とその成果を統合し、2050年の達成を目標にした「きれいで、豊かで、賑わいのある持続可能な沿岸海域実現」に必要な政策の提言を行います。これまで、沿岸海域に関心をもつ人々は漁業に携わる人々(漁民)が中心であったと思いますが、漁民が全人口に占める割合は0.2%にとどまっています。今後は残りの99.8%の人々にも沿岸海域に対する関心を持ってもらい、沿岸海域の単なる保全から一歩進んで、「持続可能な発展」に向けた取り組みの実現に貢献できればと考えます。