研究プロジェクト紹介

共創領域

インドネシアと日本の薬用植物研究による健康寿命の増進

プロジェクトリーダー
生命科学部

西澤 幹雄 教授

インドネシアと日本の薬用植物から創薬につながる有効成分を探索する

日本では高齢化に伴って、糖尿病や動脈硬化、脳血管障害に起因した認知症が増加しています。日本に限らず急速に高齢化が進展する中国をはじめ、アジア諸国にもその傾向は顕著になりつつあります。またインドネシアなどのイスラム教国では、禁酒の反動として甘い嗜好品が好まれることから肥満と糖尿病が大きな問題となっています。本プロジェクトは、創薬や機能性食品の開発につながる薬用植物を探索し、こうした「病めるアジアの時代」の重要課題の解決に寄与しようとするものです。日本の伝統医薬である漢方薬に加え、インドネシアの伝統医薬「Jamu(ジャムゥ)」に焦点を当て、とりわけ血管の炎症に関わる疾病に効果のある生薬の成分研究と薬理学的研究を行います。

インドネシアは植物の多様性に富み、学名が判っているだけでも1,000種類を超える薬用植物があるといわれています。プロジェクトではインドネシアのブラウィジャヤ大学と密接に連携し、現地の豊富な薬用植物を研究する一方、立命館大学を中心とした日本のプロジェクトメンバーが有する生薬分析の高度な技術と知見をインドネシアに移転し、双方で生薬研究を進展させたいと考えています。

具体的には、インドネシア由来の「Jamu」と日本の漢方薬の中から抗炎症作用に関わる生薬を探索。抽出した成分を単離同定し、幹細胞を使って抗炎症作用を評価するだけでなく、病態モデル動物を用いて生薬成分の薬理作用も調べます。これまで知られていなかった生薬やその薬理作用の解明は、新薬開発や機能性食品の開発の端緒として大いに期待されます。まずは最も可能性が高いと見込んだショウガ系の薬用植物から研究に着手しています。

加えて本プロジェクトのもう一つの特長は、活発な人的交流にあります。ブラウィジャヤ大学から豊富な実績を持つ研究者を立命館大学に迎える他、修士課程、博士課程の留学生も積極的に受け入れています。共同研究を通じて技術や知識を伝達・共有し、将来はインドネシアと日本に日イ連携の薬用植物研究センターの設立を目指します。

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