研究プロジェクト紹介

共創領域

アジアの伝統医薬と食材探索を用いた糖尿病予防の研究

プロジェクトリーダー
生命科学部

西澤 幹雄 教授

Nshizawa

プロジェクト紹介

 世界保健機関(WHO)によると、2014年の成人の糖尿病有病者数は4億2200万人に達し、30年間で4倍近くに増えました。有病者の約半分は中国、インド、米国、ブラジル、インドネシアが占めていますが、日本も多いです。半数近くが、合併する心血管や腎臓の障害により70歳までに亡くなります。神経障害や網膜症による失明も合併するので、経済的損失と医療費の軽減のためにも、糖尿病を減らし健康寿命を延伸することが強く求められています。糖尿病には全身の血管炎症が関係しており、比較的安価な伝統医薬で炎症を抑え糖尿病の予防ができれば、アジアにとって重要な健康問題の解決につながるでしょう。

 先行プロジェクトでは、日本の伝統医薬である漢方薬とインドネシアの伝統医薬であるJamu(ジャムー)で使われる植物由来生薬のうち、抗炎症作用を持つ生薬に焦点を当て、抗炎症作用を持つ成分が糖尿病作用も示すことを明らかにしました。そこで、本プロジェクトでは漢方薬とJamuで使われる植物から成分を分離し、抗糖尿病作用を示す成分を探索します。伝統医薬の有効性を検証して、機能性食品として糖尿病を予防する可能性を探ります。さらに本プロジェクトの結果を使って新しい糖尿病治療薬を開発する基盤構築を目的とし、アジア全体の健康寿命を延伸して「健康の共創」を確立していきます。

 また、本プロジェクトはSDGsの課題3「すべての人に健康と福祉を」を解決するためのものであり、糖尿病を予防し、アジアの人々の健康と長寿を達成することを目指すものです。糖尿病は免疫力の低下をもたらすことが知られていますが、本プロジェクトで対象とする伝統医薬の生薬は免疫力を増強し、糖尿病の予防と治療に効果が期待されます。

インドネシア Jamu市場
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