立命館フードバンクの使命と成果
「世界の家庭は1日当たり10億食超を無駄にしている」。国連環境計画(UNEP)が2024年3月に公表した報告書で2022年の食品廃棄量の推計が発表されました。一方、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、食料不足や貧困に苦しむ多くの学生の声、とりわけ留学生の声が聞こえています。そのような中、2021年から留学生を中心とした組織「立命館フードバンク」が立ち上がり、活動を続けています。団体設立の背景や取り組み内容について、設立者のNguyen Ba Hai(グエン・バ・ハイ)さん(国際関係学部4回生)と森藤昴さん(国際関係学部2回生)、そして立命館フードバンクをサポートされているJulia Harper先生にお話を聞きました。
立命館フードバンクについて
フードバンクとは食品の品質には問題ないが、賞味期限が近いなどの理由で通常の販売が困難な食品を無償提供する団体を指します。立命館フードバンクは現在、約30人のメンバーで活動。留学生と日本人学生が半数程度で構成しています。
「2021年から活動をしていて現在は衣笠キャンパスで活動をしています。食料配布は月1回程度で、食料が必要な学生に対して団体で購入した食料のほか、寄付いただいた食料を配っています。活動経費は立命館大学校友会未来人財育成奨励金や教職員組合からの寄付で活動しています」(森藤さん)
活動を始めたきっかけ
立命館フードバンクはどのようにして設立に至ったのでしょうか。ハイさんが設立当時のことを語ってくれました。
「私はベトナムから立命館大学に入学しました。日本の私立大学ということもあり当然、学費や生活費の負担は強いられる。奨学金をベースに生計を立てていましたが、コロナの影響もあり生活に困ることがあったんです。そんなとき、ジュリア先生に相談したところ、フードバンク京都をご紹介いただきました」
フードバンク京都の活動を知ったハイさんは、「この活動を立命館大学にも取り入れるべき」と考え、立命館フードバンク設立に至りました。
「基本的には学生主体で動いている団体です。ミーティング、広報、配布活動等、1から考えて取り組んでいる。私はサポート役に徹する形で、学生主体でやるべきことを考え、行動してもらっています」(Harper先生)
食糧を配布する中で生まれる対話の時間
立命館フードバンクの活動は月1回程度、キャンパス内で食料配布を行っています。食料を配るときは、個人情報に留意し、匿名性を守ることを大事にしているそうです。活動中はたくさんの感謝の言葉をいただくこともあり、モチベーションにもつながっているといいます。それ以外の特長として立命館フードバンクの活動は国際交流の意味合いもあるそうです。
「よく日本人メンバーから聞くんですが、立命館フードバンクの活動は貴重な国際交流の機会になっているんです。留学生と日本人のメンバーが同数程度いるので、自然と異文化交流につながる。また、活動もハイさんや留学生の方が最初に率先して立ち上げられたことも、国際色が強い団体になった要因だと思います」(森藤さん)
BKC、OIC、そして他大学へ
現状は、立命館フードバンクの活動は衣笠キャンパスだけですが、今後は他キャンパスにも活動を広げたいと考えているそうです。海外ではフードバンクの活動は一般的で、まだまだ日本は定着していませんが、今後は、BKC、OICにも活動の輪を広げ、他大学との連携が生まれることを期待したいと思います。