アジア・マップ Vol.01 | レバノン

21世紀年表

溝渕 正季(広島大学大学院人間社会科学研究科・准教授)

1999年
1月 WTO加盟申請 オブザーバー参加へ
2000年
5-6月 イスラエル軍が南部レバノンから撤退
8-9月 第16期国民議会選挙の実施
2002年
1月 エリー・フベイカ元議員/レバノン軍団元党首暗殺
3月 シリアのバッシャール・アサド大統領がシリア大統領としては27 年ぶりにレバノンを公式訪問し、エミール・ラッフード大統領と会談
2003年
12月 ベニンからレバノンに向かう旅客機が離陸した直後に海に墜落し、レバノン人を中心に少なくとも 138 人が死亡(約35人は生存)
2004年
2月 レバノンにおける自由選挙と、すべての外国軍の撤退とすべての民兵の解散を求める国連決議1559号が採択される
9月 シリアの介入によりエミール・ラッフード大統領の任期延長決定
2005年
2月 ラフィーク・ハリーリー元首相暗殺
4月 「自由、主権、独立」を求める反シリア大規模デモ(いわゆる「杉の木革命」)勃発、シリア軍レバノンから撤退
5月 反シリア派で知られる著名なジャーナリスト、サミール・カスィール暗殺
6月 第17期国民議会選挙の実施
7月 第87代フアード・スィニューラ内閣発足
2006年
7-8月 第二次レバノン戦争
2007年

日本によるパレスチナ難民キャンプ再建計画(5.88億円)
5-9月 ナフル・バーリド・パレスチナ難民キャンプにおいてファタハ・イスラームとレバノン軍が衝突
11月 エミール・ラッフード大統領の任期が終了するも、その後任を選出できず
2008年
4月 第18期国民議会選挙延期
5月 ベイルート市街地での銃撃戦(「均衡崩壊」)勃発。80人以上死亡、200人以上が負傷。その後、和平合意であるドーハ合意が締結され、ミシェル・スライマーン国軍司令官が大統領に就任
10月 レバノン・シリア間の外交関係正常化
2009年
6月 第18期国民議会選挙実施
1 草の根・人間の安全保障無償(9件)(0.68億円)
2010年

ナフル・バーリド・パレスチナ難民キャンプ再建計画(UNRWA連携)(2.01億円)
草の根・人間の安全保障無償(8件)(0.49億円)
8月 レバノン議会は、同国のパレスチナ難民にあらゆる職業で働く権利を初めて認める法律を可決
2011年

草の根・人間の安全保障無償(10件)(0.73億円)
3月 シリアで内戦勃発
2012年

草の根・人間の安全保障無償(10件)(0.67億円)
2013年

2013年を通じてアサド政権支持派とアサド政権反対派とのあいだで衝突が多発。また、シリアからのイスラーム過激主義勢力の流入もあり、宗派間の緊張も悪化の一途をたどり、レバノンの治安情勢は急速に悪化。
シリアから流出した難民等に対する無償資金協力(8億円)
草の根・人間の安全保障無償(10件)(0.83億円)
7月 EUがヒズブッラー軍事部門をテロ組織として認定
11月 ベイルートのイラン大使館前で自爆テロ
2014年

草の根・人間の安全保障無償(9件)(1.05億円)
5月 ミシェル・スライマーン大統領の任期が終了するも、その後任を選出できず
11月 シリア内戦の影響により第19期国民議会任期延長(2017年まで)
2015年

寒波により影響を受けたシリア難民及び国内避難民等に対する緊急無償資金協力(155万ドル)
1月 シリア難民に対する受入制限を実施
7月 1ベイルート市当局が代替地も確保せずに主要なゴミ処理場を閉鎖したことから、市内の路上にゴミの袋が堆積し始める。これに業を煮やした住民らが抗議活動を起こし、軍兵士が派遣される騒ぎに
2016年

国立科学研究評議会考古学研究機材整備計画(一般文化無償資金協力)(0.727億円)
10月 ミシェル・アウン元国軍司令官の大統領就任大統領就任
11月 ティール市でJapan Day開催(在外公館文化事業)
2017年
6月 新選挙法が国会で承認される
2018年

有償資金協力・国際譲渡的融資制度(Global Concessional Financing Facility)の枠組みを通じたヨルダン、レバノンその他中東および北アフリカ地域の中所得国支援のための借款(1000億円)
5月 第19期国民議会選挙
10月 レバノン・シンフォニック・オーケストラと和太鼓の合同演奏(国際交流基金事業)
11月 国際交流基金海外巡回展「東北:風土・人・くらし」展がレバノン市内およびクーラ市内の大学で開催される
2019年

2019年後半以降、非効率的で腐敗した政府に対する国民の大規模抗議デモが頻発。
10月 レバノン・シンフォニック・オーケストラと和太鼓の合同演奏(国際交流基金事業)
増税措置反対等を契機とする反体制デモ勃発
12月 日産自動車のカルロス・ゴーン元会長がビジネスジェットで密出国、レバノンへ逃亡
2020年
2月 レバノンで第一例目の新型コロナウイルス感染症感染者を確認、その後急速に拡大
3月 外貨建て国債の債務不履行(デフォルト)を宣言。「近代史上最悪の経済・金融危機」と言われるまでに
8月 ベイルート港での大規模爆発発生

ベイルートにおける大規模爆発被害に対する緊急無償資金協力(1.65億円)
2021年

停電や燃料不足、物価の高騰に対する国民の怒りが高まるなか、反政府抗議デモは年間を通じて激しさを増す。
2022年
1月 サアド・ハリーリー元首相が政治活動の停止を発表
世界銀行はレバノン経済が 58% 以上縮小したと述べ、小国の金融崩壊が長期的な安定と平和に脅威を与えると報告書で警告
5月 第20期国民議会選挙
6月 レバノン・シリア・エジプトはベイルートにて、年間6億5000万立方メートルの天然ガスをエジプトからシリア経由でレバノンに輸送することに合意

書誌情報
溝渕正季「レバノン21世紀年表」『《アジア・日本研究 Webマガジン》アジア・マップ』1, LB.3.02(2023年1月10日掲載)
リンク: https://www.ritsumei.ac.jp/research/aji/asia_map_vol01/lebanon/timeline/