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2024.01.11

【レポート】AJIブックローンチ・シンポジウムを開催しました!Dr.向静静が自著『医学と儒学:近世東アジアの医の交流』について語りました。

 12月15日(金)、立命館アジア・日本研究所主催のAJIブックローンチ・シンポジウムがオンラインで開催されました。今回は、向静静先生(立命館アジア・日本研究機構 助教)より、2023年5月に出版された新著『医学と儒学:近世東アジアの医の交流』(人文書院)をご紹介いただきました。本書は、2023年12月に日本医史学会関西支部より第七回「医譚賞」を授与されています。講評者は海原亮先生(住友史料館 主席研究員)、長野仁先生(森ノ宮医療大学 教授)、真柳誠先生(茨城大学 名誉教授)、司会者は松川雅信先生(神戸市外国語大学 講師)が務めました。

 向先生は日本思想史、東アジア医学交流史を専門としており、近世日本医学における「復古」思想に焦点を当てた研究を行っています。特に本書では、近世日本の古方派「四大家」後藤艮山・香川修庵・山脇東洋・吉益東洞それぞれにおける「復古」思想の内実に注目し、東アジアの学術思潮を踏まえつつ、伊藤仁斎・荻生徂徠およびその門下生との関係も視野に入れて議論が進められています。また、古方派医学を後世派医学に対するアンチテーゼと捉える通説を批判し、古方派医学の再定位が図られていることも重要です。

 くわえて、向先生には、なぜ医学史・医学思想史研究に携わるようになったかについて、自身の生い立ちなどにも触れつつ語っていただきました。さらには、執筆が行き詰まった時、研究対象である医家たちのお墓に参り、そこで時空を超える対話を試みたというエピソードが紹介されるなど、Book launchという場だからこそ伺える話題にも触れられ、充実した時間を共有することができました。

自著について語る向静静先生
自著について語る向静静先生

 講評者の先生方からは、「儒医」研究に新たな光を当てたこと、「復古」研究を見直し、再解釈をはかったことなど、本書には通説的理解に再検討を迫る重要な指摘がいくつも見られるといった評価をいただきました。質疑応答では、本書の執筆時間や、今後の研究への展望についてなど、学術的に興味深い意見交換が行われました。国内外の視聴者は約110名にのぼり、盛会のうちに閉会しました。

司会を務めた松川雅信先生
司会を務めた松川雅信先生

講評を行う海原亮先生
講評を行う海原亮先生

講評を行う長野仁先生
講評を行う長野仁先生

講評を行う真柳誠先生
講評を行う真柳誠先生

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