NEWS

2024.01.19

【レポート】第63回AJI研究最前線セミナーを開催しました!Dr. Dinia Rizqi Dwijayanti: “Harnessing Indonesia's Herbal Wisdom for Diabetes Therapy”

 1月9日 (火) 、第63回AJI研究最前線セミナーをオンラインで開催しました。今回の発表では、Dr.Dinia Rizqi Dwijayanti(インドネシアのブラウィジャヤ大学( M.Si., D.Sc., a senior researcher at the Biology Department, Faculty of Mathematics and Natural Sciences, Brawijaya University, Indonesia)より、“Harnessing Indonesia's Herbal Wisdom for Diabetes Therapy”と題して大変有益なご研究をしていただきました。

 最初に、Dr.Diniaは、インドネシアの伝統的な生薬であるJamuについて概説しました。Jamuは植物、動物、無機物質から調合されており、病気を治療するために何世代にも渡って広く使用されてきました。Jamuは、もともとは王族だけが使用するものでしたが、一般社会にも紹介されるようになってから広く使用されるようになったという歴史的な背景があります。また、当初、家内工業の生産物として作られたJamuは瓶に入れられ、それを籠で市場に運ぶ商人によって販売されていました。これがJamu産業へと発展し、今日では多くのJamuが工場で大量生産されています。
Dr. Diniaによる近年の研究は、糖尿病の治療に対するJamuの有効性の証明に関するものです。糖尿病は、膵臓の慢性炎症によって引き起こされる著しい消耗性疾患であり、インスリンの産生不全と血糖値の過剰を引き起こし、放置すると死に至る可能性があるものです。通常の医療では、失われたインスリンを補うためにインスリン注射が処方されます。

 Dr. Diniaは、東南アジアに生息する雷魚であるスネークヘッドの抽出物から作られたJamu(VIPアルブミン)や、抗糖尿病薬および抗肥満薬として広く知られているゴーヤから作られた別のJamuなどの抗糖尿病効果を事例や実験結果などを通じて紹介しました。発表では、Dr. Diniaが属する研究室で行われた肥満マウスに対する実験において、これらのJamuが実際に抗炎症作用と抗糖尿病作用を持つことが科学的に証明されたことが、簡潔な説明と図を用いて示されました。

 Q&Aでは、Jamuと通常の医薬品治療との境界はどこにあるのか、インドネシアにインドやアフリカのように自然療法を行う専門家がいるのか、日本の漢方など各国で使用されている生薬との比較などについて質問が投げかけられました。Dr. Diniaはこれらの質問に明確に答え、活発な議論が交わされました。

発表を行うDr. Dinia
発表を行うDr. Dinia

過去のAJI最前線セミナーについては以下のリンクからご覧いただけます。
https://www.ritsumei.ac.jp/research/aji/young_researcher/seminar/archive/