8つの学域

国際文化学域

国際文化学域

GLOBAL STUDIES PROGRAM

グローバルな視野から
人間の文化や社会を見つめ直す

国際文化学域では、芸術・文学・歴史・思想といった、社会や文化の多岐にわたるさまざまな学問の基礎を横断して学んだ上で、より専門的な知識の習得をめざします。多様性に満ちた学びを通して、グローバルな課題に対応する能力を伸ばしていくことができるでしょう。
文学部で最大の規模を誇る国際文化学域には、幅広い専門分野の教員が所属し、多種多様な学問的関心に柔軟に対応しています。しなやかな思考力と何ものにもとらわれない自由な創造性をはぐくむ場―それが本学域の魅力です。

COLUMN

教育・研究の“リアル”を発信、教員コラム

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小説を深く読み込むことで得られる「文学の力」

私の研究領域は、19世紀後半から20世紀はじめの英米小説、とくにヘンリー・ジェイムズ(1843〜1916)です。ただ授業では、様々な作品を扱い、最近は幽霊小説をとりあげることが多いです。幽霊ものには、「不可解な謎」が描かれます。それゆえに恐怖を読者に呼び起こしたりするのですが、その謎や不思議は、作品を最後まで読んでも、明確に解き明かされないことが多いです。しかしそれらは現実の何かを表象しています。英単語の一語一語をおろそかにせず、作品を深く読んでいくと、あるときにこのように解釈できるのではないかとハッと気づくときがあります。例えば、私が専門とするジェイムズの『ねじの回転』に登場する幽霊は、最初は「悪」を表象していると言う解釈が主流でしたが、語り手の女性家庭教師の性的抑圧からおこなった幻影だという説、あるいは階級差による抑圧によるのだという説がでてきて、時代によって多様な解釈が生み出されてきました。この面白さが文学を学ぶことの楽しさでもあります。

解釈の多様性といえば、1回生の授業で学生が楽しんでくれるテキストとしてJ.K.ローリングの『ハリー・ポッター』シリーズで言及される『吟遊詩人ビードルの物語』の中の話『魔法使いとポンポン跳ぶポット』(”The Wizard and the Hopping Pot”)があげられます。子ども向けの童話の形をとっていますが、現実にヨーロッパで過去にあった「魔女狩り」を思わせる記述や、現在の移民問題を思い起こさせられ、読み込むほどに深い解釈が可能な作品です。学生たちはこの作品の読解を通じて、作者が行間に隠したメッセージを見つけることの面白さを感じてくれているようです。

いまの社会でいろいろな問題が起こっていますが、その一つの理由は世の中で短絡的にしか物事をみないことであり、一つの問題を多角的にみる、言葉の行間を読むという、いわゆる「文学の力」が失われているからではないでしょうか。その点、私が研究する文学作品は何らかの形で社会の現実とつながっていると思います。文学の力とその豊かさを、ぜひこの学域の4年間の学びを通じて、我が物としてもらえたら嬉しく思います。 

中川 優子

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