8つの学域

国際文化学域

国際文化学域

GLOBAL STUDIES PROGRAM

グローバルな視野から
人間の文化や社会を見つめ直す

国際文化学域では、芸術・文学・歴史・思想といった、社会や文化の多岐にわたるさまざまな学問の基礎を横断して学んだ上で、より専門的な知識の習得をめざします。多様性に満ちた学びを通して、グローバルな課題に対応する能力を伸ばしていくことができるでしょう。
文学部で最大の規模を誇る国際文化学域には、幅広い専門分野の教員が所属し、多種多様な学問的関心に柔軟に対応しています。しなやかな思考力と何ものにもとらわれない自由な創造性をはぐくむ場―それが本学域の魅力です。

COLUMN

教育・研究の“リアル”を発信、教員コラム

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小説は表の顔、娯楽作品は裏の顔。 読み解く中で見えてくるイギリスの素顔。

ヴィクトリア女王が統治した19世紀のイギリスは、産業革命による経済発展が頂点に達し、「黄金時代」を迎えました。経済だけではありません。文壇においてもディケンズ、ハーディ、ブロンテ姉妹、G・エリオットなど数々の文豪が登場し、名作を次々と発表しました。「小説の世紀」とも呼ばれています。

そんなヴィクトリア朝時代の文学が、私の専門分野です。文豪たちの小説はもちろん、一般庶民の間で絶大な人気を誇った大衆演劇やセンセーショナル・ノベル、メロドラマなどの娯楽作品にも関心を寄せ、20年以上にわたって研究を続けてきました。たとえば代表的な大衆演劇であるサヴォイ・オペラは、壮麗な音楽をバックに役者たちがドタバタを演じる軽喜劇です。またセンセーショナル・ノベルは当時流行したミステリー/ホラー小説で、単語も構文も比較的に簡単なので一般庶民でも楽しむことができ、最後は正義が勝つという勧善懲悪のシンプルな物語が多くの人の支持を集めました。

こうした娯楽作品に私が関心を持ったのは、そこに一般庶民の価値観や欲望、時代の空気がむき出しの状態で現れているからです。複雑なプロットを駆使した重厚な小説は、本を買うお金と時間にゆとりのある中~上流階級の娯楽。それに対して多くの一般大衆は、単純明快でありながら権威を批判し、階級社会に反発するきわどいジョークを織り交ぜた娯楽作品を心から楽しみ、時には笑い、時には泣いて、日常のストレスを発散させていました。文豪たちの小説がイギリスの“表の顔”なら、娯楽作品はいわば“裏の顔”。そのどちらにも目を向けることで、当時のイギリスの本当の“素顔”を知ることができると私は考えています。

金山 亮太

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