在学生の声

4,000名超の文学部生、一人ひとりがオンリーワンの活動を行っています。その活動の一端を紹介します。

2019

東アジア研究学域

中国伝奇小説の魅力を知ったのは小学生のとき

杉山 果穗 さん
中国文学・思想専攻 3回生

静岡県立掛川東高等学校/静岡県

中国伝奇小説の魅力を知ったのは小学生のとき

私と中国古典文学との出会いは、小学生時代にさかのぼります。学級文庫にあった『西遊記』を読んで面白く感じ、「この他にも中国の面白い物語がないかな」と探すなかで『封神演義』と出会って、すっかり中国の幻想・伝奇小説にはまってしまったのです。不老不死の仙人や、幻術使い、日本の物語にはない異形の妖怪など、空想力をかきたてるファンタジーの要素に夢中になりました。その後、ゲームで『三国志』を遊ぶようになると、数々の武将のファンになり、中国の昔の物語ならば小説でもマンガでも何でも読むようになりました。 

文学部で取り組む「竹林七賢」の研究

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文献調査している様子

そうして育まれた中国の神仙信仰、道家の思想への関心から、中国文学・思想が学べる立命館の文学部への進学を迷いなく決めました。大学に入学してからは、物語だけでなく漢詩にも面白さを感じるようになり、さまざまな作品を読み込んでいます。今興味を持って調べているのは、「竹林七賢」と呼ばれた魏晋南北朝時代の知識人集団についてです。竹林七賢の中心人物である、阮籍という人の生涯と、その独特の思想に惹かれたのがきっかけでした。阮籍は当時の王朝が重んじていた、孔子が説いた儒教の思想に反発したことで知られています。儒教では礼法を大切にしますが、それが形骸化して本質を失っていると考えた阮籍は、喪に服していたときに訪れた儒家を軽蔑して「白い目」で見たと伝えられ、それが「白眼視」という言葉が生まれたもとになっていることでも有名です。

中国の詩人に「ギャップ萌え」

阮籍は大酒を飲み礼法を無視する自由人として振る舞う一方で、心から国を憂うロマンチストでもありました。当時は体制に逆らえば、すぐに殺されてしまう時代ですから、国への不満を表立って表現することはできません。そこで彼は心の裡を描くために寓話の形をとって、「詠懐詩」という作品を書き残したのです。詠懐詩を読むと、阮籍の自由気ままに見える生き方に隠れた国を思う熱い心が見えてきて、そのギャップに「萌える」気持ちを抑えることができません。

自分の手で知られざる中国古典を広めたい

そんなふうに中国の古典文学に親しんできた私は、まだ日本の多くの人が知らない沢山の面白い作品を、自分の手で広めていきたいという野望があります。『三国志』『水滸伝』『封神演義』といった作品は、マンガやエンターテイメント小説、アニメ、ゲームなどを通じて日本の若い人たちにも知られるようになりました。しかしその陰で、未だに日本ではほぼ誰も知らない物語や詩人の作品があることが、中国文学・思想専攻で学んでわかりました。また、私は課外活動で文芸サークルの「立命PENクラブ」に所属しており、小説を書いています。いつか中国の古典を題材にとった面白い物語を自分の手で生み出し、作品を通じてもっと沢山の人に中国文学や漢文に興味を持ってもらうことが、今の私の大きな目標となっています。

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