語学編

スペイン語の学び方

1. スペイン語圏

スペイン語は英語、フランス語、中国語、ロシア語、アラビア語と並んで国連の公用語であることは、周知の事実でしょう。では、具体的にどこで話されているのでしょうか。

ヨーロッパ スペイン
アメリカ メキシコ、グアテマラ、ホンジュラス、エル・サルバドル、ニカラグア、コスタ・リカ、パナマ、キューバ、ドミニカ共和国、コロンビア、ベネズエラ、エクアドル、ペルー、ボリビア、チリ、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、プエルト・リコ(アメリカ合衆国の自由連合州)
アフリカ 赤道ギネア

スペイン語はもともとスペインの言語ですが、ラテンアメリカの大部分を植民地としていた歴史的経緯から、メキシコからアルゼンチンに至るまでアメリカ大陸の大部分で話されています。話者は約5億人以上と言われています。因みに最も話者が多い国はメキシコです。アメリカ合衆国にはヒスパニックと呼ばれる中南米からの移民が多く、また、最近ブラジル(ポルトガル語使用)でもスペイン語教育を強化しています。

19世紀末より多くの日本人が移民として、中南米に渡りました。その子孫が1990年ごろから日本に出稼ぎとして来ています。スペイン語圏からの日系人は7万人くらいと言われています。日本でもスペイン語が身近に感じられる時代になりました。

2. ロマンス諸語とスペイン語

ロマンス語とは、ローマ帝国の公用語であったラテン語から分化した諸言語の総称です。具体的には、ポルトガル語、ガリシア語、スペイン語、カタルーニャ語、フランス語、イタリア語、レルーマニア語などです。元となるラテン語から何百年もかかってそれぞれの言語は変化したので語彙や文法はよく似ています。

ラテン語 PANE(パン) LACTE(ミルク)
イタリア語 pane latte
ポルトガル語 pão leite
フランス語 pain lait
スペイン語 pan leche

スペイン語はロマンス語の中でももっとも使用人口が多いのは先に見たとおりです。スペイン語を習得すれば、自然にイタリア語やポルトガル語も分かるようになります。

3. スペイン語の特徴

(1) 発音とアルファベット

スペイン語の母音は、a、i、u、e、oの5母音です。ほぼ日本語と同じと考えて差し支えありません。子音もそれほど難しくありません。例えば、amigo アミーゴ(友達)、fiesta フィエスタ(祭)。日本人に難しいのは、例えば、Japón ハポン(日本)で、Jaは日本語の「ハ」より強く発音します。また、radio ラディオ(ラジオ)では「ラ」は舌を数回振るわせる音です。これらができないからといって通じないという心配はありませんが、できるとよりスペイン語らしく力強く聞こえるでしょう。

アルファベットではスペイン語独特の文字 ñ があり、「エニェ」と言います。例)español エスパニョール(スペイン語)

(2) 文法

スペイン語の特徴は動詞の活用が豊富なことです。時制だけでなく人称に応じて変化します。例えば、cantar(歌う)は以下のように 6通りに変化します。

  • canto(私が歌う)
  • cantas(君が歌う)
  • canta(彼/彼女が歌う)
  • cantamos(私たちが歌う)
  • cantáis(君たちが歌う)
  • cantan(彼ら/彼女らが歌う)

このように一つの動詞が数多くの変化形を持つわけです。英語のように活用形がほぼ消滅してしまった言語から見ると大変なことと思われるかも知れませんが、慣れればそれほどでもありません。必ず覚えられます。

4. スペイン語辞書、参考書について

スペイン語を始めるにあたって、スペイン語-日本語辞書(西和辞書)が必要です。その他の和西辞書や参考書は少し後からでもよいでしょう。

(1) 西和辞書

  • 桑野一博他編『西和中辞典』小学館(約6万7000語)
  • 原誠他編『クラウン西和辞典』三省堂(約5万2000語)
  • 宮城昇他監修『現代スペイン語辞典』白水社(約4万6500語)

ぜひ上記の辞書のいずれかを買ってください。初級から上級まで長く使えます。 現在市販されているほとんどの電子辞書は、上記の『現代スペイン語辞典』が入っています。カシオの一部機種には『西和中辞典』も入っています。また、スマホアプリも存在します。

立命館大学図書館のデータベースで小学館『西和中辞典』等を無料で使うことができます。https://japanknowledge.com/lib/search/basic/index.html?q1=&r1=1&phrase=0&sort=1&cids=42320&rows=20&pageno=1&s=f

(2) 和西辞書

  • 小池和良他編『西和中辞典』小学館
  • カルロス・ルビオ他編『クラウン和西辞典』三省堂
  • 宮城昇他編『和西辞書』白水社
  • 上記のデータベースには小学館『和西中辞典』も入っています。

(3) 参考書

  • 瓜谷良平『スペイン語の入門』白水社(初級向き)
  • 山田善郎監修『中級スペイン文法』白水社 1995(中、上級向き)

(4) 単語集、他

  • 青砥清一『スペイン語検定対策5級・6級問題集』(改訂版)白水社 2017(検定対策に是非!)

(5) スペインやラテンアメリカの文化を知るために

  • 牛島信明他編『スペイン学を学ぶ人のために』世界思想社 1999
  • 国本伊代『概説ラテンアメリカ史』新評社 1992
  • 野山真揮帆『スペインを知るための60章』明石書店 2002
  • レベッカ・ボズナー『ロマンス語入門』大修館書店 1982
  • 増田義郎他編『ラテンアメリカ世界―その歴史と文化―』世界思想社 1984
  • 吉田栄人『メキシコを知るための60章』2005

5. 課外でのスペイン語学習

外国語学習は継続と積み重ねが大切です。立命館大学では、正課のスペイン語科目(つまり必修科目)以外にも、さまざまなスペイン語学習の機会を提供しています。

(1) 現地で学ぶ初修語セミナー

春休みの2月から3月にかけてスペインのアルカラ大学とメキシコのモンテレイ工科大学(グアダラハラキャンパス)で約4週間のセミナーを行います。内容は、ホームステイ(または寮)をしながら、スペイン語講座を受講するものです。国際関係学部では「Intensive Language Workshop」として2単位が認定されます。副専攻履修者の場合、希望すれば副専攻科目として2単位が認定されます。

(2) 交換留学

スペインのグラナダ大学、バルセロナ自治大学、アリカンテ大学、ハエン大学、バスク大学、メキシコのモンテレイ工科大学、アルゼンチンのラプラタ大学等へ1年間派遣します。詳細は国際教育センターで確認してください。

(3) 副専攻(スペイン語コミュニケーションコース)

正課で身につけた基礎学力を一定のまとまりを持った科目群を履修することで、更に発達させることを目標にしています。16単位が認定されます。他学部の学生とともに学ぶ場であり、広い視野を養うことにもなります。副専攻開始は2回生からですが、募集は1回生の11月頃に行なわれます。

(4) 外国語コミュニケーションルーム

BBP(Beyond Borders Plaza)2階に外国語コミュニケーションルームという部屋があります。毎週決まった時間に担当教員が待機しています。スペイン語の学習方法や留学等について自由に相談ができる場所です(予約不要)。スペイン語学習教材も備えています。また、ピンチョスパーティー等のイベントも予定しています。興味のある学生は誰でも参加できます。

(5) 検定試験

スペイン語の検定試験としては、主に以下の2つがあります。

A)スペイン語検定試験(日本スペイン協会実施)

1級から6級の6段階。日本国内 十数都市で実施。春季 6月、冬季 試験 12月。大学が受験料を半額補助します。

B)DELE(Diploma de Español como Lengua Extranjera 外国語としてのスペイン語検定 スペイン政府文部科学省実施)

世界各地で行われます。A1(入門)、A2(初級)、B1(中級)、B2(中上級)、C1(上級)、C2(最上級)の6段階。東京、名古屋、京都、大阪等で実施されます。この検定は日本以外でも通用します。スペイン語圏の大学に留学する際、検定合格の証明書提出を求められることがあります。

検定試験の対策問題集は、コミュニケーションルームに備えてあります。

6. おわりに

外国語を習得することは同時に、その言語の背景にある文化をも学ぶことです。新しい言語を知ると新しい世界、価値観が見えてくるでしょう。皆さんの将来がより楽しいものになることでしょう。

最後にスペイン語のことわざを一つ。
Querer es poder.「好きなことはできること」、つまり、「やればできる!」
執筆者:仲井 邦佳
執筆日(更新日):2024年1月15日