語学編

英語の学び方(2018年度以降入学者向け)

Ⅰ. はじめに

国際関係学部における英語教育は、専門教育と共に「車の両輪」の位置づけにあります。英語だけできても不十分ですし、日本語文献や講義から得た専門的な知識だけでも不十分です。日本や国際社会、その相互関係に関する問題について英語で読み、書き、聞き、発信する力を身につけ、将来「英語を使って仕事ができる」総合的かつ高度な英語力修得を目指します。国際関係学部の英語教育プログラムでは(1)バランスの取れた英語運用能力、(2)豊かな知識と教養、(3)ベーシックなアカデミックスキル(ICTスキルの育成を含んだ「Research(調べる)、Authoring(まとめる)、Collaboration(交流する)、Output(発信する)」能力)、そして(4)英語による批判的思考力の育成を目標として各科目を開講しています。これらの科目では、より多くの学生がTOEFL ITP®テスト530点以上(CEFR B1/B2以上)に到達できるように、グループワーク・ピアレビュー・プレゼンテーション・ディスカッション・エッセイライティング・リサーチペーパーライティング等の様々な課題を学生のレベルに応じて実施し、英語力の向上に努めています。

1. 国際関係学部での英語教育

そのような能力を皆さんが身につけるために、国際関係学部では1回生で集中的に英語やその他のアカデミック・スキルを学ぶ科目を、2回生ではブリッジ科目としての「Bridge to International Studies」(「英語による専門科目」の講義が十分に受講できるよう間をつなぐ科目として設計された、英語と専門科目の「橋渡し」的な科目)や入門的な「英語による専門科目」を多数開講しています。また、多様な海外スタディ・プログラムもあり、皆さんの関心や語学力の向上に対応できるようになっています。国際関係学部で学ぶ学生の皆さんは、4年間の学生生活の間、上記の「車の両輪」論を意識し、さまざまな学習機会を大いに利用して、それぞれのレベルでの到達目標の達成を目指すことになります。回生別の英語の授業の目的、内容、到達課題等については、II、IIIで触れるとして、ここではTOEFL ITP®テストと「効果的な英語の学び方」という部分に焦点を当てて説明をします。

(1) プレースメント・テストとしてのTOEFL ITP®テストと到達目標

国際関係学部では効果的な英語教育のために、英語の多くのクラスは「習熟度別クラス編成」を採用しています。クラス分けには、主として「TOEFL ITP®」と呼ばれる試験のスコアを使います。TOEFL®テスト(Test of English as a Foreign Language)は英語を母語としない人々を対象に、1964年から実施されている国際基準の英語能力測定試験で、主に北米の大学・大学院に入学を希望する際に英語力の証明として必須のテストです。国際関係学部に入学している皆さんの英語力は、このTOEFL ITP®スコアで言うと400点弱から600点を超える人まで極めて多様です。

本学から海外の協定校への留学基準としては、最低520点以上のTOEFL ITP®スコアが必要です(大学によって多少違いがあります)が、実際に英語圏で大学生活を送るには550点以上をめざすべきです。学部で開講される英語による専門講義(多くはグローバル・スタディーズ科目として開講)を受講するには530点が一応の目安となります。これはあくまで最低の基準ですから、講義を十分に理解し議論に参加するには500点台後半のスコア獲得をめざしてください。

TOEFL ITP®は団体受験用のTOEFL®テストで、全セクションをコンピューター上で受験するTOEFL iBT®(TOEFL Internet-based Test、以下iBT)とは異なり紙媒体で行われ、しかも幾つか与えられた選択肢の中から正しい答えを選ぶ出題形式になっています。この点で、リーディング力やリスニング力は測定できてもライティング力やスピーキング力をも問う「次世代TOEFL」のiBTに比べるとやや「偏った」テストであることは否めません。1回生の学生は、秋学期の終わり頃にもう一度全員TOEFL ITP®を受けることになります。2回生時のBridge to International Studies 科目のクラス分けの資料にするためということもありますが、入学時と比べてどれくらい英語力がついたかを検証したり、本学の留学制度で留学するための要件をクリアしているかを見るためにも積極的に受験してください。

(2) 国際関係学部の英語教育とTOEFL iBT®テスト

本学の協定校以外に留学する際にはTOEFL ITP®ではなく、TOEFL iBT® (もしくはIELTS:TOEFLと同様、国際水準の英語能力測定試験で主にイギリス、ヨーロッパに留学する際に用いられている)を受験する必要があります。TOEFL iBT®では、Integrated Taskと言って、例えば比較的長い英文を読み、これについてのレクチャーや複数の人間の議論を聞き、その後、これに関連する質問に、論理的に口頭で、あるいは文章でまとめるといった「同時に複数の技能を測定する問題」があるのが特徴です。交換留学などを明確に、あるいはぼんやりと考えている学生は、1回生の内にアカデミック・スキルをしっかり身につけ、長文を要領よく読み、レクチャーのポイントを抑えながら聞けて、考えを論理的に整理して英文が書けるようになる必要があります。結果的に国際関係学部の英語の授業は、内容と形式において、このiBT方式に沿ったものとなっていますので、授業中に積極的に頑張ることが、そのままiBTの試験対策となります。留学する人もしない人も、iBT が求めるような総合的な英語運用能力を身につけることは、世界はもとより、内なる国際化が進む日本国内でも仕事をするためには大切であることは言うまでもありません。留学を目指す・目指さないにかかわらず、英語の総合的な運用能力をつけるための努力を惜しまないで頑張ってください。

よく、「勉強してから受験します」と言う学生がいますが、そんなことを言っていると多分永遠に受験しないことになるでしょう。iBTに限らず、就職の時に有利だと言われているTOEIC® L&Rテストの試験や英語検定などもとりあえず受験することをお勧めします。受験すればどんな試験なのか、どこの部分が自分にとって苦手で、そして何よりも「勉強しなくては!」という気持ちになるからです。さらに、受験回数を重ねるとそれだけ点数が確実に上がって行きます。ただし、TOEFL ITP®でいう500点以上のレベルになると、10点、20点と点数を上げるのが大変です。頭打ちと感じることがあるかもしれません。英語力は徐々に上がるというよりも、しばらく足踏み状態があった後、スッと飛躍的に伸びるという形で伸びることが多いので、このことを頭に入れておくといいでしょう。地道にコツコツと努力を続ければ、ある日突然グッと点数が上がることがありますので、決して諦めないで勉強を続けてください。個人のレベルやニーズに合わせてしっかり継続学習を行い、卒業する頃にはより広い視野と確かな専門知識、そしてどこへ行ってもやっていけるだけのコミュニケーション能力を英語でも日本語でも身に付けていて欲しいものです。

TOEFL ITP®、TOEFL iBT®、IELTS、TOEIC® のテストについて勉強方法を含めさらに詳しいことを知りたい人は以下のサイトをチェックしてください。

学内で提供されているTOEFLテスト対策講座、TOEICテスト対策講座、TOEIC® L&Rテスト対策講座などについては(V.2)の言語習得センター(CLA)の説明も参照してください。

2. 英語学習において気をつけたいこと

具体的に国際関係学部の英語のカリキュラム内容を説明する前に、英語学習において気をつけるべきだと思われる点について少し説明したいと思います。皆さんはそれぞれしっかり自分の位置を確認して、他人との比較ではなく、マイ・ペースで着実に力をつけていかねばなりませんが、その際の学習の参考にしてください。

(1) 英語を読むということの重要性

英語を母語として育った経験がなく、英語学習を中学になってから始めた多くの皆さんの場合には、正しい文法の理解(英語はどのような順序で単語を並べることによって意味を形成するのかを知ること)に基づいて、それぞれのレベルに応じた語彙や表現の蓄積が一番重要です。そのためには、それぞれのレベルに応じたテキストをできるだけたくさん読む必要があります。英文を読む力がすべての基礎にあり、とりわけ大きく総合力を発展させるためにも読む力の養成を重視すべきであると考えています。それはなぜでしょうか?

皆さんの中には「これまで長いこと英語を読んできたが、話せるようにはならなかった」と「読むこと」と「話すこと」を対立的に考えている人もいるでしょう。しかし、これは違います。確かに英語で話せるようになるには、それなりの学習、練習が必要ですが、英会話だけやっていてもすぐに行き詰ります。知らない単語や表現は、書くことはおろか、話すことも聞き取ることもできません。知らない単語を聞いてもただの雑音ですが、単語を知っていれば、聴きとれた音と頭の中の単語の意味がつながって、ちゃんと意味を成す音声になります。特に講義や講演などで使われる英語は書き言葉に近いこともあり、やはりまず「読める」力が必要になります。「英語を読んでも話せるようにならない」最大の原因は、「和訳方式」で読んでいたことにあると考えられます。つまり、英語の語順にしたがって読んでいく習慣がつけば、聞くことや書くことにも応用でき、それらの力の養成につながります。

英語で話そうとする場合、言いたいこと(日本語で意識する以前のアイデアのようなもの、言語として表現するチャネルに入る前の「意味」とも言えるでしょう)を、それに相当する英語の表現を記憶の中から持ってくる必要があります。それが乏しいと話せることの幅が狭くなります。同じ語彙・表現が繰り返し何度も出てくるような英文を大量に読み、中身も表現の手段も磨きながら、英語の「チャネル」(次に説明します)をしっかり発達させていくことが必要です。

(2) 「慣れ」の重要性

英語で物事を伝えたり、考えたりする方法や論理は日本語とは違うために、英語を学ぶということは頭の中に日本語のチャネル(channel:「思考などのルート」の意)とは違う、英語のチャネルを作ることになります。英語(一般に第二言語)の学習とはこの第二のチャネルを発達させることです。これには慣れが必要です。第二のチャネルに頭が慣れるに従って、耳で聞くこともそのまま分かるようになります。「慣れ」が大きなキー・ワードだということをここで押さえておきましょう。

こうして、英語の語順にしたがって沢山、速く読む(理解する)習慣を身につけさえすれば、より高度なリスニングの力や話す力がつくという相乗効果を得られるようになります。例えば、アメリカのニュース専門チャンネルであるCNNが早すぎて理解できない人は、アナウンサーが読んでいる原稿と同じスピードででてくる字幕が読解できるかどうか試してみてください。そもそも書かれたものを早く読めないから、耳で聞いても理解できないのだということが分かると思います。もちろん、読むことに慣れることと耳で聞くことに慣れるということは異なった次元での「慣れ」ですが、語彙や表現、ポイントをつかむ力がこのどちらにおいても試されるわけですから、少なくとも英文を英語を母語とする人と同じ方式=語順にしたがって同じスピードで理解することを目標に学ぶことが大変重要です。

とは言え、一つ一つの言葉の正確な発音や文章のリズムや調子もきわめて重要です。それはリスニングを集中的に訓練することによって、また、実際に英語で話す機会をもつことによって鍛えられます。教室の中での訓練が足りないと感じたなら、インターネットを探せばYouTubeもあれば、無料でダウンロードできるビデオやPodCastなどもありますし、とにかく具体的な目標を自分で設定して、それに「ハマル」ことが効果的な学習の仕方と言えるでしょう。

ここで注意すべきことは、話す言葉と書き言葉との違いです。日本語でもそうですが、大学で求められるレポートや論文の書き方には独自の作法があります。それはアカデミック・リーディングやライティングの授業で学びます。And, But, Or, Soをできるだけ文頭に使わない、and so onetc.を安易に使わず、includingとかsuch asという表現を使ってスマートに文章を展開する等、用いる単語やスタイル、句読点の使い方など様々な事柄について学習します。中身ももちろん重要ですが、技術的な問題も一度しっかり押さえておかなければ、いつまでたっても中途半端になりかねないので、「技術」を甘く見るのは禁物です。

(3) 語彙、表現をとにかく増やそう!

それができるようになるためには、英文を沢山(語彙・表現のストックを増やす)読み、しかも、それは日本語のどのような表現に相当するのか、を意識しながら読むことです。高校までで習ってきた語彙には、日常的な生活語彙やさまざまな専門分野の語彙が抜け落ちています。また同じことを言うのに、日本語の言い回しと英語の言い回しとは違うことが多々あります。さまざまな英語表現や語彙をしっかり溜め込み(input)、必要なときに吐き出せ(output)る訓練をしましょう。

(4) ことばとコミュニケーション

話すというのはコミュニケーション活動ですが、話せない人の中には、そもそもコミュニケーションが苦手な人がいるということも考えてみる必要があります。日本語を使っても人とコミュニケーションをとるのが苦手な人は、ましてや、第二言語としての英語では喋れないということです。英語が話せないという人は、「英語を使うということがコミュニケーション活動である」ということを忘れていませんか?

コミュニケーションは高度に人間的な営みです。それには社会性、つまり、他の人間と協同し、仕事をしたり、その為に意思伝達を行おうという積極的気持ちを持ったり、自分自身の意見やその背景となる知識・見識も必要です。言語活動とは、まさにその手段です。つまり「話す」という行為は、話す人と不可分で、社会性のある人は、多少英語が下手でも仕事を進めることができます。そう言った意味で、言語を学ぶ人は、自分自身と社会、自分自身と周囲の人との関係やかかわりについても考える必要があります。英語が話せないと思っている人は、こういう角度からも自分を見直し、英語の運用能力だけでなく、より積極的に社会や周りの人間とかかわろうとする自分づくりも認識するといいかもしれません。

(5) 「聞くこと」、「話すこと」の大切さ

英語を読んでいるだけでは、英語を話せるようにはなりません。英語を聞き、話すためにはそのための努力が必要です。発音が悪いと相手が理解してくれません。そのためには正しい発音の会話に耳を傾けることが必要になります。英語には日本語とはまったく異なる音のリズムや抑揚がありますが、このリズムや抑揚に慣れないと文章として相手が話していることが分かりません。逆に自分が話している時には発音だけでなく、英語のリズムと抑揚で話す必要があります。そして、何と言っても英語を話すためには、実際に「話す」ことが決定的に重要です。一度話したことは身につきますので、場を重ねるごとに次第に話せることの幅が増え、自信もついてきます。話すためには相手の言うことを聞くので、リスニング力も同時につきます。

もちろん、相手の話に耳を傾けることも重要です。能動的に相手の話を聞いて、論点をつかむ作業は、単語を聞き分けられるかどうかということと同じくらい重要です。単なるおしゃべりであっても議論する時と同じで、相手が何を言わんとしているのかしっかり耳を傾けて理解しなければなりません。

問題は、そのような機会をどのように見つけるのかということです。実は、日本で英語が話せないという大きな原因は、この話す機会や必要がほとんどない、ということにあると思われます。しかし、本学での環境はちょっと違います。英語を使った英語の授業はもちろんのこと、英語圏からの交換留学生が多数いることは皆さんもご存知でしょう。Beyond Borders Plaza(BBP)にはラウンジがあり、そこは留学生との交流の場でもあります。交換留学生と立命の学生が共に学べる授業を受講するのはちょっと先のことになるかもしれませんが、協定先の大学からの学生の本学への授業参加もあります。さらに、本学には英語圏での海外スタディーのプログラムが沢山あります。これらの機会をうまく利用することによって、実際に英語を使う機会をつかむことも大事です。

(6) 背景の知識の有無と「読むこと」

文法や個々の単語はすべて分かるのに、文章全体として何のことを言っているのか分からなかった経験はありませんか。その原因には、背景となっている知識がないことが考えられます。ある程度以上のレベルになると、いかなる言語で書かれた文章であってもチンプンカンプンです。そういう意味で、高い次元の語学力を目指す人は、いわゆる「英語力」を高めつつ、様々な知識そのものも身につける必要があります。また、新聞・雑誌をはじめとして、世界史、日本史の知識、学部の専門である国際関係学の知識等、様々な分野についての知識を日本語、英語にこだわらず、普段から貪欲に吸収していってください。

特に、外国の人と話す場合、かならず日本のことについて聞かれます。皆さんは、日本をそれぞれ代表しているので、日本の歴史、社会、文化等、日頃から広く学んでおくことが大切です。そして、絶えず、「これを英語で表現するにはどうしたらいいだろうか?」と考えておくことが大事です。そうすれば、英文を読んでいても吸収度が違ってきます。

Ⅱ. 1回生英語のカリキュラム

さて、「読み・書き・話し・聞く」ことを英語でこなせるようにする為に、この学部ではどんな勉強をするのでしょうか。1回生はハードな時期です。「鉄は熱いうちに打て」ということで、短期集中的に英語の基礎力を身につけてもらう為に、「English for International Studies (EIS)」という科目を履修し、これは春学期・秋学期とも週4回行われます。その授業の内訳は、同一日本人教員の授業が週2回、英語を母語とする教員による授業が週2回です。そしてこの2種類の授業は緩やかに連携をとっています。EIS科目では(1)専門領域の学びと密接に関連したトピックを使っての英語4技能の向上、(2)豊かな知識と教養の育成、(3)ベーシックなアカデミックスキル(ICTスキルの育成を含んだ「Research(調べる)、Authoring(まとめる)、Collaboration(交流する)、 Output(発信する)」能力)の修得、(4)英語による批判的思考力の育成を目標とした教育をめざしています。なお、皆さんの英語の現時点での力には大きな個人差があることを考慮し、個々の皆さんの現時点での到達点に基づいたクラス編成をTOEFL ITP®スコアを一応の目安として使い、行っています。また「読む・書く・話す・聞く」のそれぞれの技能を特に集中的に向上させたい学生のための授業として「Intensive English」が週に1回行われます。これは選択科目ですが、クラス定員が設定されているので、多くの学生が履修を希望した場合、TOEFL ITP®(iBTでも可)スコアの高い学生から履修を認めていきます。また1回生第一学期以降いつでも履修できるので、英語に触れたい学生は4回生になってからでも履修できます。ただし、再履修は認められません。

国際関係学部での英語の授業は、入学時点での到達点をさらに次の高いレベルに引き上げることを目的とし、それぞれの到達目標を意識したテキストの選定を行い、授業は展開されます。しかし、レベルごとの課題や目標はあくまで集団としてのものです。実際には、入学時、TOEFL ITP®スコアが420点前後の学生が2回生秋学期までに本人も驚く程、力を伸ばして交換留学を果たした例もあり、個々の皆さんの頑張りが大きく物を言います。

Touch-typingのすすめ

連休明け頃から、英語の授業のすべての提出物は、タッチタイプされたものを要求されます。つまり手書きではなく、コンピューターなどで作成しプリントアウトしたものが要求されますので、連休明けまでに何とかキー・ボードを見ずに打てるようにしておくことが大切です。プレゼンテーションのハンドアウトをしっかり作成できますか?iBT受験や4年間の学習のみならず、社会に出ても必ずtouch-typingは色々な場面で必要ですので、この際しっかり身につけてください。

1. 日本語でも説明可能な教員による授業群

(1) English for International Studies I(春学期)

春学期の日本人教員枠の授業でも、レベルにもよりますが、原則的に英語を使って行われます。広く、国際社会や国際関係に関するテキストを用いながらそのような国際分野の事象に馴染みつつ、英語としてのアカデミック・スキルを「読む」力を基礎において養成します。一文、一文をばらばらに読むのではなく、情報のかたまりとして捉え、情報のかたまりとかたまりがどのようなつながりを持っているかを意識しながら読みます。重要な情報、二次的な情報、あるいは流し読みで済む箇所、しっかり丁寧に読まなければならない箇所を識別して読むことを学び、どのレベルのクラスでも英語のパラグラフとはどういうものなのか、どのようなパラグラフの展開の仕方があるのか、英語を母語とする教員の授業で実践される英作文の基本型を、このEnglish for International Studies Iにおいて「読む」という作業と重ねることで学んでいきます。そして、徐々に一度に読むページ数を増やし、セメスターの終わり頃にはある程度の長さの英文を見ても驚かない、どうにかなる、という自信がつくことを目指します。ここで学ぶリーディング・ストラテジーを列挙すると、以下のようになります。
Skimming, scanning, paragraph organization, types of paragraphs, finding the main ideas, transitions, outlining, summarizing, paraphrasing, understanding referents, distinguishing facts from opinions, making inferences, synonyms and antonyms, understanding chronological order.

(2) English for International Studies III(秋学期)

秋学期は、春学期で学んだ英語力を基礎に、学生の皆さん自ら興味のあるテーマを自分のレベルに合ったところで選択して受講することになります。Advanced levelとBasic levelのクラス以外はあまり細かくクラス分けはしていません。様々なレベルの学生がテーマへの関心によって1つのクラスに集まることもありますが、易きに流れることも無理な背伸びもしないで、切磋琢磨して力を伸ばしてください。

2. 英語を母語とする教員による授業群

(1) English for International Studies II(春学期)

春学期の授業はレベル別に「読む・書く・話す・聞く」の4つのスキルを総合的に伸ばすことを目的としていますが、春学期からアカデミックライティングの学習も少し行います。どのレベルのクラスでも、一年後には長い英文を書き慣れることを目的として、プレゼンテーションやディスカッションも交えて、体験的に語学を身につけてもらいます。剽窃行為(plagiarism)についての説明もあります。

(2) English for International Studies IV(秋学期)

秋学期でも、継続的に「読む・書く・話す・聞く」の4つのスキルを総合的に伸ばす作業を続けますが、同時により本格的にエッセイを書く作業に入ります。話したりする言葉は空中に消えてなくなりますが、書き記された言葉は残ります。より文法的に正確な英文を意識し、春学期に引き続き、剽窃行為(plagiarism)やacademic honesty/dishonestyについてもより具体的に学びます。春学期、秋学期あわせて学習するパラグラフやエッセイの形として次のようなものがあります。
illustration/example paragraph (and essay); comparison/contrast paragraph (and essay); cause-and-effect paragraph (and essay), classification paragraph (and essay), definition paragraph (and essay); analysis paragraph (and essay), argumentative paragraph (and essay).

3. 集中英語プログラムIntensive English I~VI

英語の「読む・書く・話す・聞く」の技能の中で、皆さんが自分の苦手とする技能を克服することに重点を置く集中的な英語コースです。科目は「語彙と読解」、「リスニングとスピーキング」、そして「文法とライティング」の3つに分かれており、春学期と秋学期に開講される科目で、対象としているスキルを養成・強化していきます。「English for International Studies(EIS)」でも「読む・書く・話す・聞く」の技能を向上させるための授業を行いますがEISの授業だけでは不足していると感じる学生、またTOEFLのスコアアップに特化した科目ではありませんがTOEFL等のテストのスコアアップや交換留学を希望する学生、更に英語力をより向上させたい学生にはお薦めの科目です。

(1) Intensive English(IE)I, IV

IE I(春学期)とIE IV(秋学期)は語彙と読解力を強化するための科目です。IE IV(秋学期)は、IE I(春学期)を更にもう一歩発展させたクラスという位置づけになります。ここではEISのクラスではカバーしきれない様々なリーディング・マテリアル(学術論文や新聞記事等)を読み、国際関係学部の英語による専門科目及びTOEFL等のテストに対応できる語彙力と読解力をつけることを目標としています。EISでも学ぶpreviewing, skimming, and scanningといった様々なリーディングの技術を使って、制限された時間内で確実に効率よく読んで理解することを目指してください。

(2) Intensive English(IE)II, V

IE II(春学期)とIE V (秋学期)は、TOEFL等のテストでのリスニングとスピーキングに対応できるようにデザインされています。IE V(秋学期)は、IE II(春学期)を更に発展させたクラスです。EISの授業と同様に、国際関係に関連するトピックを使い、自分の考えを一対一の状況やプレゼンテーションできちんと発表できるようになることを目指しますが、EISの授業に加えてIEを受講することでコミュニケーション力を更に鍛えることができます。ただし、授業のみではコミュニケーション力はつきません。皆さんには、授業外での積極的な学習を期待します。

(3) Intensive English(IE)III, VI

IE III(春学期)とIE VI (秋学期)は、文法とライティング力の更なる向上を目的にしています。IE VI(秋学期)は、IE III(春学期)のもう一段階上のクラスという位置づけとなります。このクラスでは、文法的に正しい文章を書くことから、パラグラフ・ライティング、更にエッセイを書くための作業であるplanning, drafting and revising をしっかりと網羅していきます。また、パラグラフやエッセイの良い例の分析もするので、自分のライティングの欠点を克服するための参考にしてください。更に、TOEFL等テストのライティングにも対応した練習問題も行っていきます。

剽窃行為(ひょうせつこうい、Plagiarism)について

日本語でも英語でもレポートを書く際、色々な注意事項があります。剽窃行為(plagiarism)に対する理解が不十分だと、そのレポート、あるいはその授業そのもので成績が「F」となることもあるので、英語のレポートを書く際の引用の仕方、参考文献の挙げ方等しっかり学習しておかなければなりません。

最近ではレポート作成、プレゼンテーションなどでウエブ上の情報を用いることがあたりまえになりました。その分、剽窃行為について正しい理解と知識を持つことが、ますます必要になっています。授業でも最低限、剽窃行為とは何か、どうすれば避けられるかという基本的な事項についての説明があると思いますが、最後の所で、英語でレポートを書く際の注意事項、剽窃行為の定義、及び剽窃行為をしないで済む為のアドバイスを記載した「剽窃行為について」(以下のサイト)を紹介しますので、必ず一度は目を通してください。参考までに、このサイトは次のような項目について書かれています。
http://www.ritsumei.ac.jp/ir/ir-navi/language/language07.html

  • What Is Plagiarism?
  • Other forms of Plagiarism
  • What Are the Consequences for Plagiarizing?
  • How Can We Avoid Plagiarizing?
  • Sample Essay in APA Style and Other Necessary Information

Ⅲ. 2回生以降の学習

国際関係学部では2011年度からグローバル・スタディーズ専攻(GS)が始まり、そこではすべて英語で講義が開講されています。GSとして入学していない国際関係学専攻の学生も一定の英語基準(TOEFL ITP®テスト530点程度)であれば自由に英語での科目を履修することができます。しかし多くの皆さんにとって、すぐ、そうした科目を取り、理解することは困難です。そこで学部では、英語による専門科目への橋渡しとなるブリッジ科目「Bridge to International Studies(BIS) I~V」を開講し、BIS I, IIは必修で、BIS IIIは履修を強く推奨する科目として位置付けています。BIS IV, Vは3回生以上で履修できます。「Bridge to International Studies」もEISと同様に全て英語で授業がおこなわれます。ここでは、学生は自分の所属分野のコンテンツを学びながら(1)英語運用能力、(2)知識と教養、(3)アカデミックスキル、(4)批判的思考力という四点の更なる向上と、英語による専門科目の履修を目標にしています(留学も含む)。語学は継続的な学習が必要ですので、上級回生になってからも英語学習を続ける動機付けにもなりますので、多くの学生に履修を勧めます。詳しくは学修要覧やシラバスを必ず確認してください。

1. Bridge to International Studies I、II、III

(1) Bridge to International Studies I、II(春学期)

「Bridge to International Studies I、II」は、2回生必修科目で、学部の専門分野に直結する、国際協力開発、国際秩序平和・国際公務、国際文化理解、の三つの分野に分かれる形で構成され、TOEFL ITP® テストの点数でクラス分けされています。「Bridge to International Studies」では、学生がそれぞれの分野での英語による専門講義を意識し、それを受けるための準備としての性格をもっており、それぞれの分野で必要とされる基本概念や語彙・表現を、講義を受けたり、プレゼンテーションを行ったり、ペーパーを書いたりする中で身につけてもらいます。つまり、英語圏の大学での講義スタイルを意識して授業が組み立てられています。慣れるまでが少し大変かもしれませんが、慣れたら俄然面白くなります。週2日、2名の教員が協同して、全体としてそのコースの理解が深まり、基本的な概念や語彙・表現が身につくよう、ゆるやかな形のティーム・ティーチングが行われます。多量の英文を読みこなしていかなければならない授業ばかりですので、1回生の内に少なくともTOEFL ITP® 480点位をクリアし、背景の知識をしっかり仕込んで、少しでもたくさんの英文を読みこなすことに慣れておくことが重要です。

(2) Bridge to International Studies III(秋学期)

秋学期では、「Bridge to International Studies III」が開講されます。これは、週1回の緩やかなレベル別クラスです。「Bridge to International Studies I, II」よりも多量な英文文献の講読が要求されることが想定されますが、「Bridge to International Studies III」を受講するまでには相当慣れてくるだろうと思われます。引き続きチャレンジしてください。この科目は3・4回生で受講することになる「英語による専門科目」、客員教授による専門科目への導入として位置付けられています。

2. Bridge to International Studies IV&V(3,4回生)

3・4回生の春・秋学期では、上で述べたように「Bridge to International Studies」での準備を経て、英語での専門科目の受講、海外の大学での交換留学、1セメスターの海外留学などの多様なオプションが皆さんに開かれることになりますが、同時に、もう少しで、という学生の皆さんが一定の英語力の維持・発展を目指すことを目的として、「Bridge to International Studies IV, V」が開講されます。

Ⅳ. 授業以外での英語学習

1. Beyond Borders Plaza (BBP)

2018年4月、国内外学生たちの交流促進や語学学習・留学相談などに皆さんが気軽に利用できる施設「Beyond Borders Plaza(以下、BBP)」を開設しました。

BBP(尚学館/学びステーション南側)では、教員と英語に関して学習相談(予約・費用不要)ができる「外国語コミュニケーションルーム」をはじめ、英語のレベルに応じて読める「Graded Readers」の常設、語学や留学に関する相談や異文化イベント・企画などを行います。

その他の支援として、キャンパスで相互の言語を教え合い、学び合える国内学生と留学生のパイプ役となる「ランゲージパートナーマッチング」システム(オンライン登録期間あり、パートナ成功率6割~7割)の利用や好きな時間にスマホで手軽に英語学習ができるe-learning教材「ぎゅっとe」(申込要)があります。
http://www.ritsumei.ac.jp/bbp/

2. 言語習得センター(CLA)の英語講座

まずTOEFL ITP®テスト、IELTSテスト、そしてTOEIC®L&Rテスト(IP)のスコアアップを目指す人には、言語習得センター(CLA)が行っている外国語講座の受講をお勧めします。各テストの詳細・テスト対策さらには学習方法など、ベテランの講師から丁寧に教えてもらえるので非常に効果的です。各セメスター夕方からの時間をつかった講座か、または夏期休暇・春期休暇を利用した短期間集中の講座か、各自のペースに合うCLA講座を是非見つけて活用してください。学内で実施されること、さらに非常にお得な受講料で実施されているのも魅力ですよ。同じ目的を持つ仲間と一緒に学ぶことは、モチベーションのアップにもつながります。丁寧なCLAの講師指導のもと、是非語学力を身につけてください。詳しくはホームページをご覧ください。
http://www.ritsumei.ac.jp/gengo/cla/

※併設の言語教育センターで、学内で実施される団体受験、TOEFL ITP®テスト、IELTSテスト、TOEIC ®L&Rテスト(IP)の試験日程等をご案内しています。詳しくはホームページをご覧ください。
http://www.ritsumei.ac.jp/gengo/

3. 自習用の教材と辞書

市販の自習教材といえば、大きく英語検定試験(TOEFL®テスト、IELS、TOEIC® L&Rテストから英検、国連英検、観光英検などまで)用のもの、ニュース英語雑誌や英字新聞の読み方、一般的なリスニング・スピーキング用教材など多々あります。市販されているもの以外にもインターネット上で利用可能なものも多くあり、案外役に立つ情報に出会う場合もあります。今やタブレット端末にダウンロードして学習する時代です。無料でダウンロードできるアプリも数多くあり、探せばいくらでも出てくる宝の山です!英語によるPodCastの中でも無料で提供されているものが多数あります。政治、ビジネス、科学などジャンル別のものもあるので、興味にあわせてダウンロードして聞く(または見る)ようにしてください。メジャーなニュース局の番組であればPBS NewsHour PodCast:(https://www.pbs.org/newshour/podcasts)などは良質な内容に加えてスクリプトも同時に読めるので、非常におすすめです。また欧米の大学のいくつかは、講義や講演をPodCastで提供していますので、これもタブレットなどにダウンロードして聞くことができます(例えば、Stanford on iTunes U:http://itunes.stanford.edu/)。また電子ブックリーダーなども何種類か発売されているので、利用の仕方次第で手軽に楽しみながら読解力の養成ができるはずです。

コンピューターを利用した教材もいくつかあります。画像を利用した総合的なソフトから、視覚的な説明(発音の際の口の形や舌の位置などを図解したものや、自分の発音とモデルの発音との波形を比べてチェックするなど)を組み込んだ発音練習教材などです。発音の基本的な練習は2、3度やるだけでも自信になりますから、一度きちんと理解し、練習した方がいいかもしれません。TOEFL ITP®テスト、TOEIC® テストなどの資格団体のサイトなどでは、申し込みによる他教材なども販売されていますし、また過去のデータなども公表されているので、自己評価の際にはこれも参考になります。

最後に、辞書についてのアドバイスです。是非、英英辞典を使ってください。英英辞典を使うことによって、英和辞典ではわかりにくいニュアンスや単語の使い方などが学べます。また英和辞典と合わせて使うと、同義語や反意語なども同時に覚えられるという利点があります。本学部の専門分野は多岐にわたり、また専門用語や時事的な語彙も必要なので、英和辞典なら語彙数の多い『リーダーズ英和辞典』などをお薦めします。次に、授業でどの媒体の辞書を使用するかについて触れておきます。まず、紙媒体の辞書ですが、これは持ち運ぶのには少々不便なものです。しかし、この辞書の使用を強く薦める先生もおられます。電子辞書は、英和・和英・英英辞典がコンパクトに収まっている上、さまざまな機能(音声による発音もその一つ)が付いている便利なものですが、最近では、スマートフォンやコンピューターを使って単語を調べる人も多いと思います。しかしながら、電子辞書やスマートフォン・コンピューターの授業時での使用を許可しない先生もいらっしゃいます。授業時にどの媒体の辞書を使用したらよいのかは、担当の先生によって異なりますので、必ず、先生に確認してから授業に臨んでください。

Ⅴ. 海外留学プログラム

大学では多彩な海外留学プログラムを実施しています。海外留学を実現するには、希望するプログラムの募集時期や応募条件を調べる早期からの情報収集・準備が大切です。まずは本学の海外留学プログラムホームページ(http://www.ritsumei.ac.jp/studyabroad/)や国際教育センター(明学館1階)活用し、どんな留学プログラムがあるのかを調べましょう。

留学にあたっては、一定の語学要件が課されるなど一定の語学力が必要になるケースがほとんどです。例えば交換留学の場合、英語圏については出願時にほとんどの大学でTOEFL iBT®テストやIELTSのスコアが必要になります。また初修語圏であれば、その国の言語をできるだけ学習しておくことが重要になります。早期から計画的な外国語学修に努めましょう。

Ⅵ. 剽窃行為(ひょうせつこうい、plagiarism)について

最後に、課題のレポート等を書く時は、必ず以下のサイトを確認しましょう。

立命館大学国際関係学部 IR NAVI>語学編>剽窃行為について
http://www.ritsumei.ac.jp/ir/ir-navi/language/language07.html

以上、いろいろと述べてきましたが、語学力の向上は、結局、皆さん個人のやる気にかかっています。地道にやるしかありません。「継続は力」です。

更新者:国際関係学部英語部会
更新日:2024年1月26日