テクニック編
プレゼンテーションの方法
上手なプレゼンテーション(プレゼン)に向けて
大学では、自身が調査・研究した内容などについてプレゼンテーション(以下プレゼン)する機会がある。卒業後に企業などに就職すると、人によって頻繁にプレゼンすることもある。学生時代はプレゼンの訓練を積む絶好の機会である。大学生がプレゼンの質を向上させるために重要な点について、簡潔に述べたい。
1. プレゼンテーション(プレゼン)とは?
プレゼンとは、限られた時間内で、自分の目的(研究結果の報告、主張の展開など)を達成するために、他人に向けて口頭で発表すること。発表に合わせてスライド、レジュメ、動画などの資料を併用する。
大学で行われるアカデミック・プレゼンテーションでは、具体的な証拠(エビデンス)に基づき、特定の結果や主張を論理的に述べ、聞き手の同意をとりつけることが重要な目的である。
プレゼンは大別すると・・・・
- (1) 内容と構成(主張、エビデンス、分析結果、構成、論点など)
- (2) ツール(ポスター、スライド、レジュメ、動画など)
- (3) 技術(表情、姿勢、視線、声の大きさ、話すスピードなど)
・・・の3つで構成される。
2. 優れたプレゼンに向けて
先ほど述べたプレゼンの(1)内容と構成、(2)ツール、(3)技術について重要な点を述べたい。
(1) 内容と構成(8つのポイント)
- ① 主張は明確に。終了後、聞き手に「この人は何を伝えたかったのだろう?」と思わせるプレゼンは失敗。
- ② 論点を絞り、本当に伝えたいことを厳選する。情報量が多過ぎるプレゼンは、聞き手の記憶に残らない。
- ③ データ、統計、発言、歴史的事実などの具体的なエビデンスを盛り込み、聞き手を説得すること。
- ④ 事実、意見、推論、感想のそれぞれを明確に峻別すること。
- ⑤ 時間制限を守る。「いつ終わるか分からない話」は誰も聞きたくない。
- ⑥ プレゼン内容について、聞き手がどの程度の予備知識を持っているかを想像してから発表内容を決める。
(例)現代日本の政治状況についてプレゼンする際、聞き手が中学生の場合と、政治学専攻の大学生の場合の「予備知識の違い」を想像してみれば、盛り込むべき内容が異なることが分かるだろう。 - ⑦ 「起承転結」の順序で話すことは一般論としては重要だが、聞き手が最後まで話を真剣に聞いてくれるとは限らない。そこで、最初に発表の目的と大まかな結論を簡潔に述べ、最後にもう一度結論を述べる。最初に目的と大まかな結論を聞くと、聞き手は「プレゼンの要点」を想像できる。
- ⑧ プレゼンの内容を3~5点に分割し、話す際には「重要な点は●つあります。第1は・・・、第2は・・・、第3は・・・」と内容を分割しながら話す。ただし、分割の際には「多過ぎず、少な過ぎず」が肝要。細かく分け過ぎると何が重要なのかが分からないし、反対に2つ程度では、そもそも整理したことにならない。
(2) ツール(4つのポイント)
- ① スライドやレジュメなど資料の作成は必須。話の内容を整理して記述することで、聞き手の理解を助ける。
- ② 資料では、話の内容ごとにタイトルを明記し、読み手が全文を読まなくても理解できるように工夫する。また、タイトルと本文で文字の大きさに差をつけ、資料の各所で文字の太さや色を変えるなど、重要な点が何かが一目で分かる資料作成を心掛ける。
- ③ 資料には情報を詰め込み過ぎない。人間が限られた時間内で吸収して理解できる情報量には限度があり、「長文」が最善とは限らないことに留意する。常に読み手の立場に立って考える。
- ④ プレゼンの内容によっては、グラフ、図表、地図、写真、動画などは聞き手の理解を助け、話の信ぴょう性を高める。ただし多過ぎると、聞き手はグラフや統計を追うことに労力を割かれ、集中力が散漫になってしまうので、プレゼン全体の時間・分量とのバランスに注意する。
(3) 技術(6つのポイント)
- ① 明瞭な発声を心掛け、原稿の棒読みは厳禁。原稿が存在する場合でも、しばしば顔を上げて話す。
- ② 聴衆全体を漠然と見ない。聴衆1人1人の顔を見ながら話すことを心掛ける。聞き手は「自分に向かって語り掛けている」と感じた時に、プレゼンに集中してくれる。
- ③ 話すスピードに緩急をつける。早口が過ぎると、聞き手の情報処理が追い付かない。一方、ゆっくり話し過ぎても、聞き手はプレゼンに飽きてしまう。簡単な内容については少し早口で、複雑で重要な内容についてはゆっくり話すなど、メリハリをつけて話す。話の内容が変わるタイミングに「間」を作ることも効果的。
- ④ 話の内容と上映中のスライド(あるいは手元のレジュメ)の内容は、一致していることが重要。話の内容との食い違いは聞き手を混乱させるのみならず、資料作成で手を抜いた印象を与えてしまう。
- ⑤ 自分の「口クセ」に注意。「えー」「あのぉ」などの連発は聞き手をいらいらさせることもある。
- ⑥ 自然体で誠意をもって話す。棒立ちで話すことは聞き手を退屈させるが、大げさなジェスチャーも聞き手をしらけさせる。小さ過ぎる声は聞き手をいらつかせるが、大き過ぎる声は威圧感を与える。また、ユーモアがあるのに越したことはないが、「受け」を狙うと失言につながることもあるので要注意。
プレゼンテーション上達の一番の鍵は経験を積むこと。「習うより慣れろ」である。
推薦図書
- 大出敦 (編著)、直江健介 (著)『アカデミック・スキルズ プレゼンテーション入門:学生のためのプレゼン上達術』(慶應義塾大学出版会、2020年)
- 藤田直也『学生のためのプレゼンテーション·トレーニング』(実教出版、2015年)
執筆者:白戸 圭一
執筆日(更新日):2025年11月
執筆日(更新日):2025年11月