教員紹介
- 教育
バイリンガルには多くの利点があると考えられています。しかし、バイリンガルになることやバイリンガルであり続けることは複雑です。人々が言語をどのように認識し、使用するかは、それぞれの言語の習得に直接影響します。また、文字なしに言語を維持することは難しいと考えられています。読み書き能力は、子どもたちが就学する前に発達させることができることから、学校での教育の枠を超えています。これまでのバイリンガル発達の研究では、主に親や教師の行動や学習者の口頭でのコミュニケーションスキルに焦点が当てられてきました。私は、読み書きに基づく言語習得における学習者の自主的な取り組みに関心があります。
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現在社会のあらゆる場面において、ますます加速する日本のグローバル化を感じさせられます。21世紀の日本人はこれまでの受信型から発信型へと思考改革をする必要性に迫られています。多文化共生社会を迎える近い将来、英語や他の外国語での生きたコミュニケーション能力が必要です。わたしの研究は、アクセント・イントネーションなど言語間における韻律的特徴の対照音声学的研究を課題として、日本語、英語、中国語等の韻律研究を続けています。実験音声学的手法を用い、言語音声の音響分析を通じて、諸言語の音声特徴と音韻ルールを客観的に解明し、その結果を外国語教育、とりわけ英語や日本語音声教育に生かしていきたいと思っています。
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第二言語習得は学習者の内部で発生する習得メカニズムだけでは説明しきれないほどの複雑さを持ちます。そのため、言語を知識として学ぶだけではなく社会に根付いた活動を通して習得するという考えのもとに、学習の状況性やグローバル化時代の流動的コンテクストを考慮することが必要となります。私は、このような視点から、第二言語習得における社会文化的要因に着目し、異文化適応、リテラシー、アデンティティを研究しています。グローバル化によって多様性を増す異文化接触の再概念化に寄与すべく、言語横断的視座から母語と第二言語の融合性を考察し、リテラシーの発達過程とアイデンティティ変容に関する社会言語学的探究を続けています。
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最近の漫才で、「ボケを否定しないつっこみ」という形が出てきました。従来型の「なんでやねん!」とボケを否定するパターンを逸らして、「それもありだね」と受け止める変化球型です。一例ですが、典型例に当てはまらない多様性を認めていこうという社会的動きがみえます。同じような変化が、言語教育でも起きています。従来の言語教育では、「日本人は謙遜する」のような典型的な言動の研究や教育が当然とされていました。しかし、多言語・多文化が入り混じる現代社会では、○○人や○○語を越えた柔軟なコミュニケーション能力が鍵となります。このような、翻訳アプリでは代用できない能力や育成方法とは何かについて研究しています。
COLUMN
世界各国の留学生と一緒に学び、
課題解決に取り組む
言語学・日本語教育専攻
北出 慶子
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第二言語語彙能力の鍵は語彙が定着するまで再出会いの数です。大学入学試験は、最低5千英単語が必要です。そして、単語だけでなく定型表現が欠かせません。意図的かつ偶発的な 学習両方が大事です。さらに、暗示的能力は(例:留学や英語媒体教育を通して)どのように発達するのか複雑な過程です。現在、留学生で見られる暗示的能力とそれにおける定型表の評価方法を開発しています。単語の数、短期記憶力の貢献、定型表現の偶発的な学習などの相互作用を調べています。研究で、英語圏で留学する英語非母語話者にて上記の能力を評価するテストを作りました。これから日本語非母語話者のテストも計画したいです。
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「第二言語」として日本語を学んでいる人たちを対象に、日本語学習に関わる心理的要因と効果的な日本語指導の方法について研究しています。みなさんのほとんどは英語を学んだことがあると思いますが、なかには英語に加えて中国語や韓国語などの第二外国語に関心を抱いている人もいるのではないでしょうか。日本語学習者の場合も多くは、日本語だけではなく英語を学んでいる人がほとんどです。しかし、国際的な言語である「英語」と「(日本語を含む)英語以外の言語」では、学習に対する動機づけや学習にかけられる時間などが異なる場合もあります。私は、このような複言語話者としての日本語学習者に着目し、動機づけの実態や動機づけを高めるための働きかけの方法を探っています。
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効果的な日本語教育の方法と日本語の変化について研究しています。「変化する」というのは生きている言語全てに共通する特性だと言えますが、現在進行中の変化にはなかなか気づきにくいものです。例えば、「いや、それは全然違くて、…」では「違う」という動詞に形容詞活用を適用していて、日本語教育的には誤用になりますが、若い世代にはかなり広がっている用法です。過去に起こった変化や現在進行中の変化を分析することで、日本語、そして、言語全般についての理解も深まると考えています。
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口語英語コーパスを使って、英語の話し言葉の実態を探る研究をしています。話し言葉を収集したコーパスの編纂が進み、インフォーマルな会話の言語研究に取り組みやすくなりました。私たちは会話という「待ったなし」の状況で、「相手がいるからこそ」の言語の使い方をしています。相づち一つとってもそうでしょう。言語を人と人のコミュニケーションや社会の営みの中でとらえると、これまで「間違い」や「例外」、「規格外」と思われていた言語現象にも重要な意味があることが見えてきます。また、話し言葉文法研究を英語教育へ応用することによって、インタラクション指導や文法指導、教材開発などに新たな視点を提供したいと考えています。
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