2025.10.16 NEWS

立命館大学と東邦インターナショナル株式会社の共同研究成果を発表 ~産学連携による社会課題解決と技術普及の新たな一歩~

 2024年10月1日、立命館大学総合科学技術研究機構は、東邦インターナショナル株式会社と連携および協力に関する協定を締結し、共同研究を進めてまいりました。
 このたび、共同研究の成果として、東邦インターナショナル株式会社より、IoT人材育成を目指した教育カリキュラム『IKUSEi キット』の提供が2025年9月11日より開始されました。

 『IKUSEi キット』は、オンライン教育を通じてIoTに触れながら、自らIoTをDIYできる人材の育成を目指す教育コンテンツです。ITやIoTに興味はあるものの、何から始めればよいか分からない方や、隙間時間を活用して学びたい方に向けて開発されました。

IKUSEi キット

 本取り組みは、「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期フィジカル空間デジタルデータ処理基盤事業」の成果であるIoTプラットフォーム「R-CPS(Reconstructable basic system for Cyber Physical System)」の社会実装を目指す活動の一環として開発されたものとなり、汎用ハードウェアとオープンソースソフトウェア(OSS)を活用し、ユーザー自身が改良・最適化できる柔軟性の高いIoTシステムであり、技術の共通基盤と個別応用の両立を可能にする二層構造を持っています。これまで立命館大学は、R-CPSを通じて中小企業のDX推進、技術者の再活躍支援、そしてリスキリングによる人材不足の解消といった社会課題の解決に取り組んできました。

 商社として販路やノウハウを持つ東邦インターナショナルと連携することで、大学の研究成果を社会に実装し、より多くの人々がIoT技術を身近に感じ、活用できる環境づくりを進めていくとともに、研究成果を実社会に届ける新たなモデルを構築し、持続可能な技術普及と人材育成を実現していきたいと考えます。

東邦インターナショナル株式会社 飛永勝也代表取締役社長 コメント

 立命館大学と東邦インターナショナルの産学連携での共同事業による教育カリキュラムのリリースにようやく辿り着きました。弊社としても初めての取り組みですが非常に価値あるモノができたと思っています。「IKUSEiキット」では無料のオンラインカリキュラム(Note記事)を見ながら、有料のオリジナル教材デバイス(Raspberry Pi+オリジナルHAT)を活用して、簡単にIoTをDIYしながら学んでいく教育プラットフォームです。オリジナルの教材デバイスには多種多様なインターフェイスを搭載しており、センシングからコントロールまで幅広く学べます。学ぶだけに留まらず現場実装を想定して製作しているので、機能性は抜群です。自らIoTシステムを構築できるようになる方々を1人でも多く増やし、当該事業を通じて社会課題解決に貢献してまいります。教育に強い大学とIoTや流通に強い民間企業が、共同で事業を行えば実現できると考えています。

立命館大学 清水正男教授 コメント

 SIP第2期の研究成果の社会実装をめざして、東邦インタナショナル(以下TII)さんと協業をはじめて1年が経過しました。この度、研究成果から生まれた製品がTIIから発売されました。
 製造コスト計算、定価設定、消費者研究、商品PR、販路の開拓、等々、研究者にとって不慣れな部分を安心してお任せできた所に今回の協業の意義を改めて感じています。私自身、前職の企業時代には、研究開発した成果を世の中に出すまでの苦労を何度も経験しました。この度、R-CPS(Reconstructable basic system for CPS[Cyber Physical System])に準拠する商品を世に出すことができました。
 今後もR-CPSを広めるために技術的なサポートを継続的に行うとともに、中小企業のIoT化の更なる加速と、IoT分野での技術者養成のためのリスキリングに大いに役立てていこうと計画しています。
 引き続き、皆様のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

立命館大学 川村貞夫教授 コメント

 我が国の中小企業にとって、DXは喫緊の課題と認識されつつも、予算や人材の問題で達成出来ない場合が多くあります。IoTによるフィジカル空間のデータ取得はサイバー空間にとって有用となりますが、現場の多様性から画一的な技術では対応が困難です。そこで、立命館大学では、SIP第2期フィジカル空間デジタルデータ処理基盤事業を受託し、IoTプラットフォーム「R-CPS(Reconstructable basic system for Cyber Physical System)」を開発しました。ここでは、現場の多様な状況に応じてシステムの再構築が現場ユーザによって容易に達成できることを目的としました。したがって、安価で容易に変更可能なIoTのハードとソフトを提供することと、それらを使いこなせる現場ユーザの人材育成が重要となります。この度、これらの準備が整い、人材育成活動も大規模に実施できると期待されています。

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