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2025.06.24

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2025年度「グローバル・シミュレーション・ゲーミング」本番を6月21日に実施しました。
GSGは、受講生が「国家」「国際機関」「NGO」「メディア」などの国際社会に実在する主体に扮し、実際の国際問題を解決するために擬似的に国際交渉を体験する科目です。2025年度のテーマは「安全保障」であり、受講生はこのテーマに基づいて交渉を行いました。
当日は、354名の2回生が58のアクターに分かれ、GSGをスタートしました。日本語基準の国際関係学専攻(IR専攻)と英語基準のグローバル・スタディーズ専攻(GS専攻)の学生が合同で英語で実施し、専攻を超えた学びや学生間の繋がりが深まりました。
受講生は、4月から6月にかけてクラスごとの授業と受講生全体での授業を組み合わせる形で事前学習を行いました。1つのアクターは5~8人で構成され、アクター内で役職(大統領、外務大臣など)を決めるなど役割分担を行い、他アクターとの国際交渉に備えました。
本番では、1セッションを現実社会の1年とみなし、1日で2セッションを行いました。学生たちは国連総会をはじめとする多様な国際会議を開催し、課題解決に向けて積極的な国際交渉を進めました。また、メディアアクターがニュースで報道するなど、各アクターがそれぞれの特長を活かした活動を行いました。
GSGを通じて、学生たちはTVやニュース等で見ているだけでは学ぶことができない「国際交渉」の難しさやリアルを実体験することができました。この経験は、現実世界で起きている国際関係の事象が何故起きているのかを複眼的な視点から考える力を身につけると共に、3回生以降の自身の学びやキャリアの方向性を考えるきっかけとなりました。
2025.06.13



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ゲスト講義実施報告(国連広報センター所長 根本かおる様)
「国際連合入門」(担当教員:石川 幸子)の授業にて、国連広報センター所長の根本かおるさんを講師としてお招きし、国連の理念から持続可能な開発目標(SDGs)に至るまで、国連の大局から幅広い分野をカバーするご講演をいただいた。
ゲスト講師としてお招きする講師の大半は、各国際機関の業務内容を中心に講演を行う中、国連の存在意義について学生に考えさせる講義は、創設から80年となる現在の国連の状況に鑑みて大変タイムリーかつ貴重なものであった。
まず、講演の冒頭で、根本さんは学生たちに「国連と聞いて何を思うか」と問い、国連憲章の前文を取り上げたビデオを見せた。国連は、平和と安全保障、人権と人道支援、並びに持続可能な開発という3つの大きなテーマを抱えており、「国連が機能していないと言うときは、国連のどの部分が機能していないのかを考えるべき」と学生たちを諭した。
次に、ご自身が大学卒業後にどのような経緯でUNHCRに就職することになったかについて、ジョークを交えながら語り、「当たって砕けろ、失うものはない。」との根本鉄則なるものを学生たちに伝授し、鼓舞した。国連で勤務するために重要なコミュニケーションについては、「3つのW」(What, Why Care, and What now)の重要性を説いた。
SDGsについては、MDGsの後継として、MDGsで達成されなかった部分(特に途上国がG20 の国々の発展の陰で影響を受けて来た気候変動など)に焦点を当てるのみならず、2030までにどのような世界を作り出したいのかを考えるバックキャスティング方式で意欲的な17のゴールを創設した。SDGsの特徴は、普遍性(途上国のみならず先進国も努力すべし)、統合性(経済、環境、社会)、並びに包摂性(誰一人取り残さない)という3点にある。女子教育の重要性については、国連総会で行われた「マララ演説」の動画を見せながら、若者たちが将来を見据えて行動を起こすことの重要性を説いた。
また、SDGsの促進には、「脱タコつぼ化」が重要であり、多様な社会の担い手を意識して繋いでいくことに腐心してきたとのご自身の経験についても触れられた。現在、トランプ政権下で国際協力予算が大幅に削られていく中、国連は、ゲームチェンジャーになりうるものに特化して資金を投下することを推奨している。人類の未来は、今後10年の私たちの行動で決まるとの言葉で講演を締めくくった。
学生たちからは、安保理改革、ジェンダー平等などについて質問が出され、2024年の未来サミット以降、積極的に国連改革を進める機運が高まっているとのお話があった。
2025.06.11

講義ではSAAがアフリカのマリ、ナイジェリア、エチオピア、ウガンダの4か国で実施している農民支援の内容について、映像を用いながら紹介。現地の実情に即した技術移転や営農支援によって農作物の収穫量を向上させ、農家が手にする収益を増やすさまざまな取り組みについて詳しく解説いただきました。

こうしたお話は、学生たちが卒業後のキャリアについて考える際に極めて有益な参考情報であり、授業では多くの学生が質問を発していました。
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ゲスト講義実施報告(ササカワアフリカ財団 総務課長 徳末 明子様)
「アフリカ研究A」(担当教員:白戸 圭一先生)の授業にて、アフリカの農業開発を支援する国際NGO「ササカワアフリカ財団(SAA)」総務課長の徳末明子氏に登壇いただき、SAAの活動内容の報告やアフリカ農業、自身に国際NGO職員になるまでの自身のキャリア形成についても講演していただきました。
また、徳末氏は、2010年から2013年にかけてエチオピアに駐在し、農業協同組合の活動を支援することを通して農村の女性たちをエンパワーメント下体験について、写真付きの資料を使いながら説明しました。
男性中心の社会構造の中で、女性が自らの活動に自信を深めながら貧困を克服していったプロセスについて、徳末氏は「3年間の活動が終わる最後には、ある女性が『私はもはや貧しさを恐れない。なぜなら貧困と戦う技術と知識を身に着けたからだ』と自信をもって発言していた。プロジェクトをやったことの意味を感じた時だった」と述べていました。
授業では、高校時代から現在までの自身の歩みについての言及もありました。徳末氏は、大学時代に参加したNPO活動やアメリカへの留学の機会に様々な人との出会いがあり、そのことが一つの契機となって、非営利活動の世界に関心を抱いたといいます。
大学卒業後は民間企業に就職したものの、1年で退職して国連平和大学の修士課程に進学し、コスタリカとフィリピンで開発について学んだ。そしてその後、開発コンサルティング企業を経てSAAに就職し、エチオピア駐在を得て、現在に至ります。
2025.06.06


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ゲスト講義実施報告(元青年海外協力隊、わかやまeかんぱにい理事:中嶋 悦子様)
「プロフェッショナル・ワークショップ」(担当教員:石川 幸子先生)の第1回目の授業では、国際的に活躍するためには「るつぼ体験」(自分の価値観・人生観を再構築する経験)が必要であるとの認識を学生たちと共有することにしているが、それを前提として毎年、「るつぼ体験」の一例である青年海外協力隊(JOCV)の経験者をお招きして講義を行って頂いている。
今年も、国際関係学部を卒業されてJOCVとしてネパールで活動された中嶋悦子さんをお招きした。
中嶋さんは、まず、どのような経緯でJOCVに応募するに至ったかについて説明。学部生の時に行ったオープンゼミナールの運営委員長、及びJICAのインターンで刺激を受け、将来はJOCVとして途上国で仕事をしたいという夢をあきらめることなく、27歳の時にJOCVに応募した。
彼女の職種は「コミュニティ開発」。これは特に専門分野を持たない人がJOCVに応募できる分野であるが、派遣された先で“誰と何をするのかを決めるところから仕事を始めなければならない”というハードルがある。派遣先はネパールのシャンジャ郡という田舎。派遣前の2か月間の特訓で学んだネパール語を駆使して、何とか現地の人々とコミュニケーションを図りながら何を自分の仕事とするかを悩みながら決めていく過程の話は、正に「るつぼ体験」の好例であった。
学生たちに考えさせる授業を目指すという目的で、授業では、「2年間という限られた時間の中で、どのように活動計画を作ったら良いか」というトピックでグループディスカッションを行った。
中嶋さんご自身がJICAから課せられたミッションは2年間で達成するには大きすぎるものだったと考えている。1年目は現地を知って人間関係の構築に尽力し、1年目の終わりになってやっと活動方針が決定したとのこと。続く12か月で活動を展開していったとご自身の経験を述べられた。
授業の最後に、中嶋さんは「学び続ける姿勢、明日やろうは馬鹿野郎、人間力を磨こう」というメッセージを後輩たちに贈って事業を締めくくった。
2025.06.06
ゲスト講義実施報告(筑摩書房 取締役編集局長 伊藤大五郎様)
「プロフェッショナル・ワークショップ(メディア)」(担当教員:白戸 圭一先生)の授業にて筑摩書房 取締役編集局長の伊藤大五郎様をお招きし、講義をしていただきました。

伊藤氏は講義冒頭で、出版業界の現状について説明しました。出版物の売上高のピークは1990年代半ばであり、紙の雑誌の販売数が近年激減している一方、コミックを中心とする電子書籍の売り上げが急増しているために、2010年代に入って以降の出版物の総売り上げ額はほぼ横ばい状態であるといいます。

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今回の授業は公開授業としたため、プロフェッショナルワークショップ(メディア)の受講生のみならず、出版業界に関心のある受講生外の学生らも聴講しました。
伊藤氏の講演に先立ち、本授業担当者の白戸から受講生に対し、ゲストの伊藤氏がこれまでに白戸が執筆した書籍の編集を3度にわたって担当した優れたベテランの書籍編集者であることを紹介しました。
伊藤氏は講義冒頭で、出版業界の現状について説明しました。出版物の売上高のピークは1990年代半ばであり、紙の雑誌の販売数が近年激減している一方、コミックを中心とする電子書籍の売り上げが急増しているために、2010年代に入って以降の出版物の総売り上げ額はほぼ横ばい状態であるといいます。
続いて伊藤氏は編集者の仕事について、自らが編集したいくつかの書籍を例に挙げながら、丹念に説明いただきました。とりわけ、どのような書籍を作りたいかのテーマ設定と、筆者の発掘が重要であるとの説明は興味深く、学生らは熱心にノートを取っていました。
実際の編集作業で使用した書籍の初校ゲラを示しながら、編集者が筆者とのやり取りを通して本を作り上げていく過程を紹介し、学生たちに編集や校正の仕事の面白さを伝えました。
講義の最後に伊藤氏は、出版社はテレビ局や新聞社に比べて規模が小さく、新卒者の採用が少ないことから、就職産業や大学のキャリアセンターを利用した一般的な就職活動では入社が難しく、個人的人脈の開拓や中途入社を前提とすることが大切であると述べました。
「編集者に必要なことは、よく本を読んでいることだけ。本を作りたいという思いがあれば、新卒で出版社に入るのではなく、むしろ様々な社会人としての経験があった方がプラスになることが多い」という伊藤氏の話は、学生たちに強い印象を残したと思われます。
2025.06.05
ゲスト講義実施報告(国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所 二瓶 直樹様)
「Introduction to the United Nations 」(担当教員:石川 幸子先生)の授業にて、国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所で戦略パートナーシップ・アドバイザーとして現在ウクライナ支援を担当している二瓶 直樹さんを講師にお招きして、以下のように3部構成の授業を行って頂いた。

1. UNDPの役割と機能
2.ウクライナ支援
3. 国際機関で働くには
二瓶氏自らのキャリアパスを説明しながら、国際機関で働くための準備と心構えについて学生に話をしていただいた。

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通常UN機関の長を事務局長(Director General)と呼ぶのに対し、UNDPのヘッドだけは、Administratorと呼ばれるのは何故かという問いは興味深かった。これは、第2次世界大戦後のマーシャルプランのAdministratorがそのままUNDPの初代のヘッドとなった際に、そのままAdministratorという称号を使用することを決めたからという経緯であった。UNDPは、貧困削減と不平等の解消、ガバナンス、レジリエンス、環境、エネルギー、ジェンダー平等の6分野に焦点を絞って活動している。
現在、同一国で活動する複数の国際機関の調整役を務めるResident Coordinator Officeを運営している。学生からは、国際機関間の活動は重複しているのではないか、また、これに伴って国際機関の統合が進むのではないかとの質問が出た。
2.ウクライナ支援
ウクライナとロシアの戦争は、①現在進行中で死傷者が増え続けており、②地雷とUXOによる土地の汚染が問題となっており、③人々の強制移動が膠着状態にあるという特徴がある。各国の支援の中でも2024年末にバイデン政権は多額の援助資金を出しているが、これは、トランプ政権になった後には何が起こるか分からないという前提に基づいている。
UNDPは、被害状況の評価と、復旧復興を担当している。ウクライナは、農業とテクノロジーの分野で大きなポテンシャルを持っており、それらを復興に役立てることが重要となると説明があった。
3. 国際機関で働くには
二瓶氏自らのキャリアパスを説明しながら、国際機関で働くための準備と心構えについて学生に話をしていただいた。