アジア・マップ Vol.01 | バングラデシュ
21世紀年表
山形 辰史(立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学部・教授)
1999年 |
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治安の悪化のため、ロフィクル・イスラム内務相が引責辞任。(3月11日) |
インドの中央部から東北部にバングラデシュ領内を通過して貨物輸送便宜供与するための協議をインド政府と始めることを閣議決定。(7月28日)これに対して野党連合がゼネスト(ハルタル)を実施。(8月2日~3日) |
バングラデシュが2000/01年度の国連安全保障理事会非常任理事国に選出される。(10月14日) |
2000年 |
アメリカのクリントン大統領が、米大統領としては初めてバングラデシュを訪問。(3月20日)シェイク・ハシナ首相も訪米。(10月16日~20日) |
「バングラデシュ開発フォーラム(援助国・機関会議)がパリで開催され、バングラデシュのガバナンス改善が求められた。(4月13日~14日) |
森喜朗首相がバングラデシュを訪問。(8月19日) |
2001年 |
外国人道路建設技師3人がチタゴン丘陵地帯で誘拐。(2月16日:3月17日に解放) |
ラティフル・ラフマン前最高裁長官を首班とする選挙管理内閣が発足。(7月15日) |
第8回国民議会選挙(第一党:バングラデシュ民族主義党 [BNP])(10月1日) |
2002年 |
環境保護とジュート製品使用促進を目的として、ビニール袋使用禁止(1月1日) |
ボドルドッザ・チョードリ大統領が辞任し(6月21日)、イアジュッディン・アーメド元ダカ大学教授が大統領に就任。(9月) |
不穏分子と武器の一斉摘発“Operation Clean Heart”の実施。(10月16日) |
2003年 |
2002年末に中国等で発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)蔓延の影響で、中国への注文がバングラデシュに向けられたことにより縫製品輸出活況。 |
末端の地方自治体であるユニオンの議会選挙(1月25日~3月16日)が実施されるとともに、ユニオンの下に地方開発機関としてグラム・ショルカル(村政府の意)が設置される。(2月26日) |
治安改善を目的として迅速行動隊 (Rapid Action Battalion: RAB)を設置。(7月9日) |
2004年 |
爆弾テロが頻発。(シレットの聖廟で1月11日および5月21日。アワミ連盟シェイク・ハシナ党首を狙った爆弾テロが8月21日) |
1998年以降最大規模の洪水が発生。(7月)約2000万人が被災。 |
汚職対策委員会(Anti-Corruption Commission)を設立。(11月21日) |
2005年 |
WTO多繊維取り決め(Multifibre Arrangement: MFA)撤廃で繊維・衣類貿易の数量制限廃止(1月1日) |
貧困削減を究極目的にした国家開発計画として「貧困削減戦略ペーパー(PRSP)」を作成し(1月3日)、「貧困削減戦略フォーラム」(11月15日)において検討した。 |
全国459か所において同時多発爆弾テロ。死者2人、負傷者約100人。バングラデシュ・ムスリム戦士団(Jama'atul Mujahideen Bangladesh: JMB)が犯行声明。(8月17日) |
カレダ・ジア首相が中国を訪問。(8月17日~19日) |
2006年 |
南アジア自由貿易協定(SAFTA)が発効。(1月1日) |
同時多発爆弾テロ事件の容疑者として、JMBの最高指導者アブドゥル・ラフマンを逮捕。(3月1日) |
グラミン銀行とモハマッド・ユヌス総裁がノーベル平和賞受賞。(12月10日) |
2007年 |
イアジュッディン大統領が、前年10月からの総選挙に関わる混乱を収拾するために非常事態を宣言し、総選挙は延期される。(1月11日) |
ファクルッディン・アーメド元中央銀行総裁を首班とする非政党選挙管理内閣成立。(1月12日) |
シェイク・ハシナ(アワミ連盟総裁)収賄の疑いで逮捕。(7月16日)カレダ・ジアBNP 総裁も不正容疑で逮捕。(9月3日)その後、BNP内部分裂。(11月) |
サイクロン「シドル」上陸。3000人を超える人々が犠牲になった。(11月15日) |
2008年 |
シェイク・ハシナ(アワミ連盟総裁)が病気治療のため仮釈放(6月)。カレダ・ジアBNP総裁も釈放(9月)。 |
UNIQLOブランドを展開するファーストリテイリング社がダカに事務所を開設。(9月) |
第9回国民議会選挙。(12月29日)(第一党:アワミ連盟) |
2009年 |
シェイク・ハシナを首相とするアワミ連盟政権が発足。(1月6日) |
ダカの国境警備隊(BDR)司令本部で下級兵士が反乱,BDR 長官をはじめ軍人55人を殺害。地方のBDR 司令部37カ所でも反乱。(2月25日~26日) |
アメリカのリーマン・ショックに端を発する国際的経済不況により輸出や海外出稼ぎが打撃を受ける。 |
2010年 |
シェイク・ハシナ首相中国訪問。(3月17日~21日) |
独立戦争時のパキスタン協力者を裁くための「国際裁判法廷」設置(3月25日) |
警察がイスラム協会(政党:Jamaat-e-Islam)の総裁、副総裁、幹事長に逮捕状を発出。(6月29日) |
2011年 |
グラミン銀行モハマッド・ユヌス総裁の解任(3月2日) |
第15次憲法改正によって非政党選挙管理内閣制度を廃止(6月30日) |
ポッダ橋不正疑惑発生(入札過程における不正に対する対応をバングラデシュ政府が取らない限り,世界銀行がの資金供与停止する旨を伝達)。(9月21日) |
2012年 |
陸軍が,軍内部でのクーデタ計画が摘発されたと発表。(1月19日) |
ポッダ橋不正疑惑に関連し、世界銀行が融資契約を取り消す。(6月29日) |
タズリーン・ファッションズ縫製工場の火災により112人が死亡。(11月24日) |
2013年 |
独立戦争戦犯裁判の判決が出始める。(1月) |
シャハバーグ運動(パキスタン協力者糾弾)始まる。(2月) |
縫製工場5社が入居するラナ・プラザが崩落し約1130人が死亡。(4月24日) |
アメリカがバングラデシュへの一般特恵関税制度適用を停止(6月27日) |
2014年 |
第10回国民議会選挙(第一党:アワミ連盟)。(1月5日) |
シェイク・ハシナ首相訪日(5月)、訪中(6月)。安倍首相がバングラデシュ訪問(9月)。 |
政府の権限を強化する「国家放送政策」(8月)、「外国寄付行為規制法」(12月)が相次いで成立。 |
2015年 |
野党連合によるゼネスト(ハルタル)。(1月6日) |
インドのモディ首相来訪(6月6日~7日)により、インドとの国境線画定協定が交わされ、飛び地が交換され、領土問題解決。(7月31日) |
日本人(10月3日)イタリア人2名(9月28日、11月18日)殺害についてISが犯行声明。 |
2016年 |
ダカ襲撃テロ事件で日本人7人を含む20人が殺害。(ホーリー・アルチザン・ベーカリーにて。7月1日) |
パイラ港限定操業開始。(8月) |
中国の習近平国家主席来訪。(10月14日) |
2017年 |
サイクロン「モラ」により330万人が被災。(5月29日) |
ミャンマー国軍の掃討作戦により約70万人のロヒンギャがバングラデシュに流入。(8月以降) |
憲法改正による司法の独立性低下に関連する国民議会と司法の混乱の結果としてシュレンドロ・クマール・シンハ最高裁長官が辞任。(11月11日) |
2018年 |
公務員採用特別枠や道路の安全に関する学生抗議デモが発生。(それぞれ3月と7月) |
インターネット犯罪に対処するためのデジタルセキュリティ法が国民議会で可決。(9月19日) |
ダカ襲撃テロ事件(2016年)の裁判開始。(12月3日) |
第11回国民議会選挙(第一党:アワミ連盟)。(12月30日) |
2019年 |
第4期シェイク・ハシナ政権発足。(1月7日) |
地方自治体(郡:ウポジラ)選挙が初めて政党選挙として実施。 |
シェイク・ハシナ首相、日本(5月28日~31日)、中国(7月1日~5日)、インド(10月3日~6日)を訪問。 |
2020年 |
COVID-19陽性者が初めて確認される。(3月8日) |
COVID-19蔓延に対応したロック・ダウン(都市封鎖)。(3月26日~5月末日) |
インドのSerum Institute of India製造の新型コロナワクチン導入で合意。(11月5日) |
2021年 |
バングラデシュ独立50周年。(3月26日) |
新型コロナと自然災害被害を受けた低所得層に政府が給付金を支給。(4月) |
日本の外務省がダカ襲撃テロ事件以来引き上げていたダカ管区の危険情報レベルを引き下げ。(11月10日) |
2022年 |
バングラデシュ・日本外交関係樹立50周年。(2月10日) |
ダカと南部を結ぶポッダ橋開通。(6月26日) |
日系工業団地「バングラデシュ経済特区」開設へ。 |
注:年表作成に当たっては、日本貿易振興機構アジア経済研究所『アジア動向年報』同研究所、各年版を参考にした。(https://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Books/Doko.html)
書誌情報
山形辰史「バングラデシュ21世紀年表」『アジア・マップ:アジア・日本研究Webマガジン』Vol.1, BD.3.02(2023年1月10日掲載)
リンク: https://www.ritsumei.ac.jp/research/aji/asia_map_vol01/bangladesh/timeline/