アジア・マップ Vol.01 | カンボジア
カンボジアの21世紀表
小林 知(京都大学東南アジア地域研究研究所・教授)
1999 | |
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第3回カンボジア支援国会議(Consultative Group for Cambodia)が東京で開催 | |
主要幹部の投降に続いて最後の幹部タ・モクが逮捕され、政治勢力としてのクメール・ルージュが消滅 | |
ASEANへのカンボジアの加盟が承認 | |
2000 | |
小渕恵三総理大臣がカンボジア訪問。日本総理の訪問は43年ぶり | |
40年に1度といわれる大洪水が発生 | |
2001 | |
クメールルージュ特別法廷設置法案が国民議会で承認されて発効 | |
コンポンチャームのメコン川に架けられた「きずな橋」が日本の支援で完成 | |
2002 | |
第1回コミューン評議会議員選挙が実施。人民党が圧勝 | |
ASEAN首脳会議、ASEAN+3、ASEAN+1の会議がカンボジアで開催 | |
ASEAN+3サミットのため、小泉純一郎総理大臣が訪問 | |
2003 | |
駐カンボジア・タイ大使館への襲撃事件が発生。タイとの関係が一時的に悪化 | |
第3回国民議会選挙が実施。選挙結果をめぐる与野党の対立で内閣不在の状態が長期化 | |
WTOへ加盟 | |
2004 | |
第3回国民議会選挙後の政府が発足 | |
シハヌーク国王が退位し、息子のシハモニが即位 | |
クメールルージュ特別法廷の予算について政府と国連が合意。日本は最大の支援国 | |
2005 | |
野党指導者のサム・ランシー議員の議員不逮捕特権剥奪を国会が承認。サム・ランシーは国外へ | |
2006 | |
初めての上院議会選挙が実施(間接選挙)。人民党が圧勝 | |
人民党とフンシンペック党が1993年以来敷いてきたクオータ制が撤廃され、政府機関・省庁のポストの多くを人民党が取得 | |
中国の温家宝首相が訪問し、中国が参加しないカンボジア支援国会議での公約に匹敵する規模の融資を単独で約束(6億ドル) | |
2007 | |
第2回コミューン評議会議員選挙が実施。人民党が圧勝 | |
2008 | |
第4回国民議会選挙が実施。人民党が躍進。野党ではサム・ランシー党が拡大し、フンシンペック党は衰退。大臣ポストは人民党が独占 | |
プレア・ヴィヒア寺院遺跡の世界遺産登録が承認された後、その帰属をめぐってタイ国内の反タクシン派が運動を展開。両国軍の間で戦闘が生じ、紛争状態に | |
第2回カンボジア開発協力フォーラムにおいて、中国が最大の支援を公約 | |
2009 | |
首都・州評議会および市郡・区評議会議員の選挙が実施(間接選挙)。人民党が圧勝 | |
2010 | |
ミネベア社(小型モーター)など、経済特区への日本企業の投資が増え始める | |
クメールルージュ特別法廷にて、トゥールスレン政治犯収容所の所長であったカン・ケック・イウに禁固35年の第一審判決。被告、検察、民事当事者すべてが控訴 | |
2011 | |
2001年以来の大洪水が発生 | |
タイ国内での選挙結果をうけて、プレア・ヴィヒア寺院遺跡の帰属をめぐる混乱が収拾に向かう | |
タイとの国際関係が改善 | |
国内初の証券取引所が開所 | |
2012 | |
第2回上院議会選挙が実施(間接選挙)。人民党が圧勝 | |
第3回コミューン評議会議員選挙が実施。人民党が圧勝 | |
ASEAN議長国としてASEAN外相会議を主催するが、南シナ海の領有問題で中国の意見を代弁する立場を変えずに、共同宣言不成立を招く | |
ASEAN首脳会議に合わせて、オバマ大統領が、アメリカの大統領として初めて訪問 | |
サム・ランシー党と人権党が合流して、カンボジア救国党を結成 | |
シハヌーク元国王が逝去 | |
クメールルージュ特別法廷は、上級審理判決としてカン・ケック・イウに終身刑を宣言 | |
2013 | |
最低賃金をめぐる労働ストライキが活発化 | |
第5回国民議会選挙が実施。人民党の議席数が減少し、救国党が躍進。しかし、選挙不正があったとして救国党が選挙結果が拒否し、新政府が発足できず | |
国際司法裁判所が、プレア・ヴィヒア寺院のカンボジアへの帰属をみとめる判決 | |
日本の総理としては13年振りに、安倍晋三総理大臣がプノンペンを訪問 | |
2014 | |
タイでクーデタが生じた後に、不法就労者の取締が強化されるという噂が立ち、カンボジア人不法就労者の大規模な帰国が発生 | |
人民党と救国党のあいだで、救国党の国民議会復帰に向けた合意が成立し、新政府が発足 | |
高校卒業試験の厳格化により、合格率が25%のみという事態が生じる | |
日本の投資案件として最大規模のイオンモール・プノンペンが開業。式典にはフン・セン首相と岸田外相が参加 | |
2015 | |
日本カンボジア友好条約署名から60周年。日本が支援したメコン川の橋「ネアックルン橋」が開通 | |
タイで就労するカンボジア人不法労働者の労働・滞在許可の問題が拡大 | |
人民党が、「結社およびNGO に関する法(NGO法)」を国民議会で強行採決 | |
水不足による干ばつ被害が広がる | |
2016 | |
救国党の副党首のクム・ソカーが女性スキャンダルによる逮捕を逃れるため、党本部に立てこもる | |
世界銀行がカンボジアを低位中所得国に格上げ | |
政府に批判的だった政治評論家のカエム・ライが白昼のガソリンスタンドで銃撃され死亡。民衆の力による政権交代を支持する「色の革命」運動が広がるも政府に抑圧される | |
東京成田とプノンペンをむすぶ直行便をANAが就航 | |
習近平中国国家主席が、就任後初めてカンボジアを訪問 | |
2017 | |
第3回コミューン評議会議員選挙が実施。人民党が圧勝 | |
タイが外国人就労管理を厳密化し、帰国するカンボジア人が増加 | |
救国党の党首クム・ソカーがアメリカの支援で国家転覆を謀った疑いで逮捕され、最高裁は救国党の解党を命令。救国党の議席は人民党が独占。救国党関係者は5年間の政治活動禁止 | |
1993年創刊の英字紙Cambodia Dairyが政府より多額の税金を課されて閉鎖。ほかRFAやVOAなど短波ラジオ局のプノンペン支社も閉鎖 | |
中国資本による首都プノンペンや海港シハヌークヴィルでの建築業への投資が活発化 | |
2018 | |
第6回国民議会議員選挙が実施。人民党が全125議席を独占 | |
最高諮問韓国評議会(Supreme Council for Consultation and Recommendation)により、選挙に参加した小政党の代表者に法の執行に関するコメントやアドバイスを得る機会を政府が設置 | |
人権状況の悪化を理由に、EUが特恵関税Everything but Armsの取りやめの検討を宣言 | |
イオンモール2号店が開業 | |
2019 | |
特定技能の枠組みでのカンボジア人実習生の日本への派遣が始まる。日本への技能実習生は先んじて2000年代半ばより増加 | |
45年ぶりに、タイと鉄道がつながり、運用が開始 | |
プレアシハヌーク州で建設中だった7階建てホテルが倒壊し28人が死亡。同州で拡大していた中国人によるオンラインカジノの取締などが強化 | |
2020 | |
中国と連携して新型コロナウィルス感染拡大への対処を強化。11月には市中感染が発生 | |
10月中旬から大規模な洪水被害が広がる | |
新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、実質国内総生産(GDP)の成長率が1998年以来初めてマイナスに転じる | |
2021 | |
新型コロナウイルス感染症拡大が継続。2月から中国製ワクチンの接種開始。しかし4月には首都などがロックダウン。9月末から徐々に社会活動再開。11月から全国の公立・私立学校が授業再開 | |
フン・セン首相が将来の後継者として、国軍副総司令官・陸軍司令官である長男のフン・マナエトを指名すると表明。人民党内では支持が集まる | |
2022 | |
ASEAN議長国を務める | |
第4回コミューン評議会議員選挙が実施。人民党が圧勝 | |
クメールルージュ特別法廷の最高審が、ポル・ポト政権の元幹部キュー・サムファンに対して一審の終身刑判決を支持する判決。以上ですべての裁判が終了 | |
カンボジア初の高速道路が完成し運用開始。首都プノンペンと海港プレアシハヌーク州をつなぐ |
書誌情報
小林知「カンボジア21世紀年表」『アジア・マップ:アジア・日本研究Webマガジン』Vol.1, KH.3.02(2023年4月5日掲載)
リンク: https://www.ritsumei.ac.jp/research/aji/asia_map_vol01/cambodia/timeline/