アジア・マップ Vol.01 | ウズベキスタン
ウズベキスタン21世紀年表 1999~2022年
帯谷 知可(京都大学東南アジア地域研究研究所・教授)
1999年「女性の年」 | |
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2月 | 首都タシュケントでI.カリモフ大統領らを狙った同時多発爆弾テロ発生、政権側はウズベキスタン・イスラーム運動(IMU)および反対派知識人M.サリフの犯行と断定 |
8月 | IMUのJ.ナマンガニーらによる隣国クルグズスタン領での日本人鉱山技師誘拐事件(10月解放) |
2000年「壮健な世代の年」 | |
1月 | 大統領選挙にてカリモフ再選 |
8月 | 複数地域にIMUの武装グループが出現、スルハンダリヤ州やタシュケント近郊では当局との間で銃撃戦に 国連に干ばつの影響の緩和に対する支援とアラル海周辺地域の環境悪化を訴える |
12月 | 「シャフリサブズ歴史地区」がユネスコ世界遺産に登録 |
2001年「母と子の年」 | |
6月 | 上海協力機構(SCO)の設立と同時に加盟国に |
10月 | 9.11事件後の「不朽の自由」作戦のためカルシ・ハナバード空軍基地(K2)の米軍への提供を決定 |
11月 | 米軍によるアフガニスタン空爆でIMUの指導者ナマンガニー戦死 |
12月 | 「サマルカンド-文化交差路」が世界遺産に登録 「ボイスン地区文化空間」が無形文化遺産に(登録は2008年) |
2002年「お年寄りの利益保護の年」 | |
1月 | 大統領任期を5年から7年とする憲法改正実施に関する国民投票(2003年4月憲法改正) |
2月 | 米国との戦略的パートナーシップと協力枠組みに関する共同声明(宣言) |
5月 | 国際フォークロア・フェスティバル「ボイスン・バホリ(ボイスンの春)」の開始 加藤久祚氏に「友好」勲章およびテルメズ名誉市民の称号授与 |
7月 | カリモフ大統領の訪日、戦略的パートナーシップと協力に関する共同声明 |
2003年「マハッラの年」 | |
4月 | 米国務省がウズベキスタン国内の米国人に対するIMUによるテロの可能性を警告(10月にも再度警告) |
8月 | SCO枠内で中国と対テロ作戦合同演習 |
12月 | O. スルタノフ首相解任、後任はS.ミルズィヨエフ 「シャシュマカーム」が無形文化遺産に(登録は2008年) |
2004年「善良と思いやりの年」 | |
1月 | タシュケントにSCO地域対テロ機構執行委員会本部設置 |
3月 | ブハラおよびタシュケントで複数の爆弾テロ事件 |
6月 |
議会(オリー・マジュリス)に二院制(上院:セナート、下院:立法議会)導入決定 タシュケントにてSCOサミット アンディジャンにて23人の企業家がイスラーム組織「アクラミーヤ」への関与の容疑で逮捕 |
7月 | タシュケントで米大使館・イスラエル大使館・検事総局に対する爆弾テロ |
10月 | ロシアと戦略的パートナーシップ条約を締結 |
12月 | ラジオ・リバティのタシュケント事務所の閉鎖 下院選挙 |
2005年「健康の年」 | |
1月 | 下院選挙第2ラウンド、大統領を支持する新党「自由民主党」が人民民主党に代わり第一党に |
4月 | GUUAMから脱退 |
5月 | アンディジャン事件(血の金曜日)、カリモフ大統領はEUやOSCEなどからの国際的調査要請を拒絶 |
7月 | 米軍のK2からの撤収を要請(11月撤収完了) |
9月 | アンディジャン事件に関する裁判開始 |
10月 | ユーラシア経済共同体に加盟 EUがアンディジャン事件に関連して対ウズベキスタン制裁を発表 BBC World Serviceのタシュケント事務所の閉鎖 |
2006年「慈善と医療従事者の年」 | |
4月 | UNHCRのタシュケント事務所が政府の要請により閉鎖 |
6月 | 日本・ウズベキスタン技術協力協定発効 独立国家共同体(CIS)の集団安全保障条約(CSTO)に再加盟 |
8月 | 小泉総理大臣のウズベキスタン訪問 |
11月 | 米国務省がウズベキスタンを「特に懸念のある国」(CPC)に指定 |
12月 | 「パロウの文化と伝統」がユネスコ無形文化遺産に登録 |
2007年「社会的保護の年」 | |
4月 | 中国と中央アジア・中国ガスパイプラインのウズベキスタン区画建設に関する協定締結 |
8月 | SCOの合同軍事演習「平和の使命2007」に将校団を派遣 |
10月 | EUが対ウズベキスタン制裁を緩和 |
12月 | 大統領選挙にてカリモフが三選 |
2008年「若者の年」 | |
3月 | 米軍に対しテルメズ空軍基地の限定的使用を認める |
10月 | ユーラシア経済共同体に対し加盟資格の停止を通告 |
2009年「農村の発展と整備の年」 | |
8月 | IMUの指導者T.ユルダシェフがパキスタン領内で戦死、U.アディールが最高指導者に |
9月 | 日本・ウズベキスタン投資協定発効 |
10月 | 米国に対しウズベキスタン経由でのアフガニスタンへの物資輸送を認める EUがアンディジャン事件後の対ウズベキスタン武器禁輸を解除 |
12月 | 中央アジア・中国ガスパイプライン(Aライン)完成 「カッタ・アシュラ」が無形文化遺産に登録 |
2010年「調和的成長世代の年」 | |
6月 | タシュケントにてSCOサミット 隣接するクルグズスタン領オシュでウズベク人とクルグズ人の衝突 |
8月 | タシュケントにて「中央アジア+日本」対話第3回外相会合 |
10月 |
中央アジア・中国ガスパイプライン(Bライン)完成 国内の人権活動家らが児童労働反対の観点からウズベキスタン産綿花の不買運動を呼び掛け(結果的に世界の331ブランドが賛同、2022年3月に不買運動は停止) |
2011年「小規模ビジネスと私企業活動の年」 | |
2月 | カリモフ大統領の訪日 |
3月 | ヒューマン・ライツ・ウォッチのタシュケント事務所に閉鎖命令 |
4月 | 中国との間で中央アジア・中国ガスパイプラインの3本目敷設につき合意 憲法改正により議会第一党による首相指名と、緊急時の上院議長による大統領職務代行が可能に |
12月 | 憲法改正により大統領の任期を5年に短縮 |
2012年「家族の年」 | |
6月 | CSTOに対し加盟資格の停止を通告 プーチン露大統領のウズベキスタン訪問、戦略的パートナーシップの強化宣言、ウズベキスタンのCIS自由貿易圏に関する協定(CIS FTA)加盟に向けての覚書に調印 |
2013年「安寧と繁栄の年」 | |
1月 | クルグズスタン領に囲まれた飛地ソフでウズベク人とクルグズ人の衝突 |
5月 | CISの自由貿易圏に参入開始 |
6月 | 祖国賞賛の要素を含まないポップ・ミュージックの禁止、ミュージシャンの資格停止相次ぐ カザフスタンのナザルバエフ大統領のウズベキスタン訪問、戦略的パートナーシップ協定に署名 |
9月 | 習近平中国国家主席のウズベキスタン訪問 |
12月 | CIS FTA批准 |
2014年「健康な子どもの年」 | |
2月 | 大統領の長女グルナラが汚職等への関与の容疑で自宅軟禁状態に |
5月 | 中央アジア・中国ガスパイプライン(Cライン)完成 |
9月 | IMUの最高指導者U.ガーズィーがISILへの支持を表明 |
10月 | タシュケント新市街に大統領決定により建設されたミノル・モスク開設 |
12月 | 下院選挙 |
2015年「お年寄りへの目配りと配慮の年」 | |
3月 | カリスマ的ウラマーM.ムハンマド=ユスフ死去 大統領選挙にてカリモフが四選。 |
4月以降 | 各地でイスラーム的外見(ヒジャーブ、あご鬚)に対する摘発強化。 |
8月 | 大統領の長女グルナラが恐喝・資金洗浄等の容疑で逮捕(後に禁錮13年に)。 |
10月 | 安倍総理大臣のウズベキスタン訪問、「戦略的パートナーシップの深化及び拡大に関する共同声明」に署名。 |
12月 | IMUのガーズィーがタリバーンにより殺害、最高指導者はJ.ユルダシュに |
2016年「健康な母と健康な子どもの年」 | |
6月 | タシュケントにてSCOサミット IMUがタリバーンおよびアル・カーイダ派とISIL派への分裂を明らかに |
8月 | 安倍総理大臣夫人のウズベキスタン訪問 |
9月 | カリモフ大統領死去、ミルズィヨエフ首相が大統領代行に就任 |
12月 | 大統領選挙にてミルズィヨエフが大統領に選出 |
2017年「人民との対話と人間の利益の年」 | |
1月 | 大統領決定にて故カリモフ初代大統領の「記憶の永久化」プロジェクト公表 |
2月 | ウズベキスタンの発展戦略「行動戦略2017-2021」の公表 |
9月 | 政府による為替レート管理を撤廃、複数あった為替レートが統一される |
10月 | 首都の国際ビジネス地区「タシュケント・シティ」の建設開始 |
11月 | アザーン(モスクからの礼拝の呼びかけ)の禁止の解除 |
2018年「活発な企業活動、革新的理念、テクノロジー支援の年」 | |
2月 | 日本など7か国に対し滞在30日間までのヴィザなし渡航を認める |
5月 | ミルズィヨエフ大統領訪米 |
8月 | タリバーン代表団のウズベキスタン訪問、外相と会談 全国統一制服の導入決定と学校向けドレス・コードの策定(学校での宗教的要素を含む服装の禁止を明文化) |
9月 | ケンタッキー・フライド・チキン第1号店がタシュケントに開店 |
11月 | 国外亡命中の反体制派知識人サリフがインターポールの国際指名手配リストから除外 |
2019年「活発な投資と社会発展の年」 | |
1月 | 上海協力機構第6代事務総長担当国に(V.ノロフ、2021年末まで) |
2月 | 初めて外債を発行 |
6月 | 初の女性上院議長の就任(T. ナルヴァエヴァ) |
7月 | タシュケントに初のITパーク開設 |
12月 | ミルズィヨエフ大統領訪日、首脳会談、日本・ウズベキスタン税関相互支援協定発効下院選挙 |
2020年「科学、教育、デジタル経済発展の年」 | |
2月 | ポンペオ米国務長官のウズベキスタン訪問 |
3月 | ユーラシア経済同盟へのオブザーバー参加を決定 デジタル経済発展戦略「デジタル・ウズベキスタン2030」の公表 最初のCOVID-19感染者確認、感染防止対策の開始 |
6月 | 「国家的人権戦略」の採択 |
10月 | 日本・ウズベキスタン租税条約発効 |
12月 | フランスのカルフール第1号店がタシュケントに開店 |
2021年「若者支援と公衆衛生の保護の年」 | |
4月 | ドーハにて外相がタリバーンの代表と会談 |
5月 | 「2030年ジェンダー平等達成戦略」の採択 |
7月 | 「信教の自由と宗教組織に関する法」改正、公共空間でのヒジャーブ着用の解禁 |
9月 | 学校での女子生徒のスカーフ着用を条件付きで容認 |
10月 | テルメズにてタリバーン代表団との協議 大統領選挙にてミルズィヨエフが再選 |
2022年「人間の利益の確保とマハッラの発展の年」 | |
1月 | 「新ウズベキスタンの発展戦略2022-2026」の公表 |
3月 | ロシアのウクライナ侵攻を非難する国連総会決議に不参加 |
7月 |
憲法改正をにらみ議会が大統領任期を5年から7年に延長することを提案 憲法改正案に関連して国内のカラカルパクスタン共和国にて大規模な抗議行動 タシュケントにてアフガニスタン情勢に関する約30カ国の高官級国際会議 |
9月 | サマルカンドにてSCOサミット、「サマルカンド宣言」採択 |
10月 | ロシアのウクライナ4州併合を無効とする国連総会決議に棄権票 |
書誌情報
帯谷知可「ウズベキスタン21世紀年表 1999〜2022年」『アジア・マップ:アジア・日本研究Webマガジン』Vol.1, UZ.3.02(2023年1月10日掲載)
リンク: https://www.ritsumei.ac.jp/research/aji/asia_map_vol01/uzbekistan/timeline/