アジア・マップ Vol.02

巻頭言(Vol.2)

《AJI Webマガジン》『アジア・マップ』の第2巻を、お届けいたします。

アジア・マップでは、アジアの地図上のどの国でもそこをクリックすると、その国について学術的な観点から書かれた、わかりやすく、親しみやすい分析、解説、情報にアクセスすることができます。この方式は、この1年余りの間に、私たち(立命館大学アジア・日本研究所)のWebサイトをご覧いただいている皆さまにずいぶんと親しんでいただけるようになりました。

第2巻をお届けできることは、編集部として、とても嬉しいことです。また、執筆者の皆さまからもこの新しい試みが高く評価されていることが、最近ではとても実感され、非常に励まされています。世の中には、さまざまな情報を提供するサイトやサービスがたくさんありますが、そこで発信することが学術的な成果になる仕組みは、あまり見かけません。その意味で、この「Webマガジン」は、フィールドワークに基づく現場性と学術性とを兼ね備えた新しい発信の場となっています。最近のアクセス数の急上昇は、制作サイドの私たちにとっても望外の喜びでした。厚く御礼申し上げる次第です。

本「Webマガジン」を創刊した背景には、コロナ禍で国際連携や現地調査が困難になる中で、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を活用した学術情報の発信をしようという狙いがありました。この新しい手法の有効性は、ポスト・コロナの1年余りの間に、いっそう明確になってきたと思います。本誌上のデジタル情報発信を、それぞれの研究者の成果発信として書誌情報を明示する方式は、特に若い書き手の皆さまから高く評価されていると感じられます。

第1巻で、それぞれの国の総説を「~という国」という形で概観していただきました。いったん、各国の総論を展開したら、次の巻ではどうするのかという危惧の念をお寄せいただいたこともあります。ご覧の通り、ご心配には及びません。自然景観、民族や言語の状況、社会や文化のさまざまな側面など、切り口はたくさんあります。文学や映画なども、どんどん取り上げていきたいと思います。文理融合・学際的研究の観点から、自然科学系の研究でアジアに接している方々にも、積極的に執筆をお願いしていきます。

第2年目に入った今、第1巻からの継続的な企画に加えて、新しい企画も加えながら、これからの5年10年を前望しながら、企画・編集にあたっていきたいと編集部は初心を新たにしています。読者の皆さまには『アジア・マップ』を通じて、さまざまな相貌を持つアジアとその諸国について知見を深め、躍動する現実や親しみ深い人びとの暮らしなどを感じとっていただきたいと思います。

本誌のさらなる発展と、アジア・日本研究所の本年度の活動展開に、ご期待ください。第2巻へのご声援をよろしくお願い申し上げます。

編集部を代表して
アジア・日本研究所長
小杉 泰
(2024/4/1記)