アジア・マップ Vol.03

巻頭言(Vol.3)

『アジア・マップ:AJI Webマガジン』の第3巻を、お届けいたします。

「アジア・マップ」は、アジア・日本研究所で、研究成果の発信の新方式として発案されました。アジアのクリッカブル・マップを入口として、どこの国でもマップの上でクリックすると、その国についての学術的な報告やエッセイにたどりつけるという仕組みです。

最初は非常に物珍しい印象だったようですが、幸いにも、研究者や学生の皆さま、一般の訪問者の皆さまから、好評を得ることができ、趣旨についても広くご理解いただけるようになりました。クリッカブル・マップという仕組みの面白さもあるにしても、やはり、コンテンツの魅力が一番だと思います。読者の皆さまに親しみやすい文体で、現地を長年研究している方だからこそお書きになれる分析や解説、情報をご提供いただいている執筆者の皆さまに、厚く御礼申し上げます。

毎月、編集部の企画会議を開催する中で、編集を担当している私たちからも「こんなテーマで、面白い話を聞きたい」という希望がたくさん出て、言語、映画、自然景観、人物評伝といった、新しいジャンルを加えてきました。

また、執筆をお願いする時は、学術性の高い総説でお書きいただくのか、もっとパーソナルタッチが出しやすく、現地との交流の楽しさや現地ならではの情報を語っていただくことができるエッセイがいいのか、執筆者ご本人とも相談しながら決めています。多角的なアプローチをしながらも、フィールドワークに基づく現場性と学術性とを兼ね備えた「発信の場」でありつづけたいと思っている次第です。

また、執筆者の皆さまにとっておきの写真をお願いして、著作権の問題をクリアしながら、現地のビビッドな雰囲気をビジュアルに伝えていただくようにしているのも、大変好評で、編集部としても、本当に嬉しく存じます。厚く御礼申し上げます。

本誌上のデジタル情報発信を、それぞれの研究者の成果発信として書誌情報を明示する方式が執筆者の皆さまから高く評価されていることは、執筆者の皆さまがご自分の業績リストに「アジア・マップ」での掲載も収録くださっているのを見るたびに、強く感じます。このような方式が、学術界でも、もっと広がってほしいと思います。

第3巻に入った今、第1巻からの継続的な企画や、第2巻で始めた企画も加えながら、さらに新ジャンルを企画して、執筆者、読者の皆さまといっしょに、「アジア・マップ」を育てていきたいと思います。

本誌のさらなる発展と、アジア・日本研究所の本年度の活動展開に、ご期待ください。第3巻へのご声援をよろしくお願い申し上げます。

編集部を代表して
アジア・日本研究所長
小杉 泰
(2025/5/1記)