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2023.01.17

第11回AJIブックローンチを開催しました!小田なら先生が自著『〈伝統医学〉が創られるとき:ベトナム医療政策史』について報告

 2022年12月7日(水)17:00~18:00、オンラインにて、小田なら先生(東京外国語大学世界言語社会教育センター講師、立命館大学アジア・日本研究所客員研究員)が3月に出版された単著『〈伝統医学〉が創られるとき:ベトナム医療政策史』のブックローンチを開催しました。

 本書は、ベトナムの伝統医学について論じるもので、具体的にベトナムの「伝統医学」という概念が西洋医学の導入によって明確になったフランス植民地期まで遡り、医療政策のなかで伝統医療がどのように位置づけられ、今日に至るのかを解明したものです。また、本書では、歴史資料とインタビューに基づき、フランス植民地時代、1945年以降の独立期、南北分断の時代、統一後の現代を通じて、伝統医学がベトナムの医療システムにどのように、なぜ位置付けられていったのかについて論じています。さらに、ベトナムの近代国家が、国民国家の独立、分裂、統一の中で、どのようにして医療知識を<正統なもの>にしていったのか、治療師の人々はどのような経緯をしたのかについて詳細な議論が展開されています。本書を通して、伝統医学という概念をめぐる意味を問い直しながら、「伝統的」であるものの複雑な様相が明らかにされました。

 質疑応答では、特にベトナムにおける伝統医学教育の使用言語と現状、現代に至るまでに医療制度が整備されていくなかでの女性たちの知識及びその位置づけがどうであったのか、などについてコメントや質問があり、熱心な議論が交わされました。大変有意義なブックローンチとなりました。ご参加いただいた皆さまに、深謝申し上げます。

単著について報告する小田なら先生
単著について報告する小田なら先生

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