NEWS

2023.03.23

【レポート】AJI国際ワークショップ “From the Frontier of Asian Diaspora Studies: Perspectives on Migrants, Refugees, and Returnee Diasporas”を開催しました!

 2023年2月15日(水)11:00~17:00、“From the Frontier of Asian Diaspora Studies: Perspectives on Migrants, Refugees, and Returnee Diasporas” と題して、立命館大学アジア・日本研究所(AJI)主催で国際ワークショップをハイブリッドで開催しました。

 本ワークショップにはフランス・韓国・マレージア・日本からの報告者と討論者が参加し、全体の司会進行は、Dr.李眞惠(立命館大学OIC総合研究機構・専門研究員)が、各セッションの司会進行はそれぞれDr.望月葵(AJI 専門研究員)、Dr. Nur Izzati Binti Mohamad Norzilan(Universiti Teknologi Malaysia・Senior Lecture)、Dr.李定恩 (AJI 客員研究員)が務めました。

 21世紀には移民と難民問題は世界的な関心を集めてきました。移動に関する研究が重要になるにつれて、多人種主義、多文化主義、多民族共存、潜在的ショービニズムへの学問的関心が高まっています。また、ロシア・ウクライナ戦争後、現在難民の移動と定着をめぐる社会的イシューは、より世界的な脈絡でこのような研究に対する関心をさらに高めています。移住者、難民、ディアスポラの移住と定着過程で現れる文化的適応(他の文化への同化)と多文化共存の多様な過程に対する既存の研究理論は西欧社会の移民国家を中心に発展してきました。近年、方法論的見直しを含め、アジア的文脈で研究理論が精巧化され、発展しています。

 そこで、本ワークショップでは各地域の専門家をお招きし、奥村キャサリン准教授(神戸女学院大学)による日本の技能実習生の労働移住、Dr.望月葵(アジア日本研究所 専門研究員)による難民の受け入れ、Dr.グスターボ・メイレレス(神田外語大学 講師)による日系人の帰還移住と彼らの定着における多文化共生への談論、キム・キョンハク教授(全南大学校)による旧ソ連地域のコリアン・ディアスポラ(高麗人)の韓国への帰還移住と定着、そしてDr.李眞惠(アジア日本研究所 専門研究員)による韓国の移住および難民政策、またDr. Ya-Han Chuang(パリ政治学院 研究員)による中国系移住民を事例としたヨーロッパのアジア系ディアスポラを巡る社会的イシューと課題を考察し、グローバル脈絡で共生の道を模索しようとしました。多様な地域の移住民難民ディアスポラの問題を扱っただけに、各地域の多文化共生政策と理論と共に多様な実証的事例が提示されました。

報告を行うDr.望月葵
報告を行うDr.望月葵

報告を行うDr.グスターボ・メイレレス
報告を行うDr.グスターボ・メイレレス

報告を行うキム・キョンハク教授(画面内、オンライン参加)
報告を行うキム・キョンハク教授(画面内、オンライン参加)

報告を行うDr.李眞惠(左)と討論者の一人Dr. Izzati
報告を行うDr.李眞惠(左)と討論者の一人Dr. Izzati

報告を行うDr. Ya-Han Chuang
報告を行うDr. Ya-Han Chuang

 また、アジアにおける代表的な多民族国家の一国であるマレーシアのイスラム経済学の専門家3名(Dr. Mohammad Naqib Bin Hamdan, Dr. Mohd Khairy Kamarudin, Dr. Nur Izzati Binti Mohamad Norzilan; いずれもUniversiti Teknologi Malaysia講師)を招いて総合討論を行いました。ディアスポラスターディスのより一般的な観点と論評への拡大のために、他分野の専門家の研究スペクトラムに対する彼らのアプローチと洞察を通じて、私たちの研究をさらに深め、理解の底辺を広げるインスピレーションを得ることができました。特に社会におけるマイノリティへの教育制度や社会福祉のためのマレーシアの事例が紹介され、各地域の現況に対する質疑応答が続き、大変有意義な会議となりました。
討論の様子(左からDr. Izzati, Dr. Khairy, Dr. Naqib)
討論の様子(左からDr. Izzati, Dr. Khairy, Dr. Naqib)

 さらに、今回のワークショップは、アジアとヨーロッパにおける移住民、難民、帰国ディアスポラにおける社会的な諸問題と多文化共生への課題を議論するために開催されました。居住国の多文化政策による移住者との共生への多様な過程について関連研究者と意見を交わし、研究に対する多様な学術的洞察力を研究者だけでなく本ワークショップに参加していただいた方々と共有することができたと思います。また、世界各国の移住民、難民、ディアスポラの研究者との交流を通じて、関連分野の研究者と良い人脈を構築し、今後も様々な方法で協力できる機会につながることを期待します。
参加者の記念撮影の様子
参加者の記念撮影の様子