NEWS

2023.09.21

【刊行情報】Dr.靳春雨(AJI専門研究員)が訳書(中国語)『雅詞的受容』を刊行しました!

靳春先生訳本
靳春雨先生訳本

Dr.靳春雨(JIN, Chunyu)(アジア・日本研究機構 専門研究員)による訳書『雅詞的受容:中日文人對宋詞的期望』(雅詞の受容:日中の文人は宋詞に何を求めたか)(台湾:万巻楼)が2023年8月に刊行されました。本書は、松尾肇子先生(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所客員協力研究員、立命館大学文学部授業担当講師)による詞学に関するご研究をDr.靳が中国語訳したものです。

本書は第一部「宋代詞人の人生と詞」、付論「詞籍の周辺」、第二部「日本における詞の受容の一側面」から構成されています。本書を通じて、宋代の代表的な詞人の伝記や彼らの詞学観だけでなく、詞籍の調査と刊行の経緯や清朝末期から中華民国時代の詞壇の一面を知ることができます。さらに、宋代の詩論や詩詞が日本でどのように受容されたか、また、それが日本人の美意識の形成にどのように影響を与えたのかという興味深い問いについて、江戸時代尾張藩の儒者の実作を検討することを通じて論じられています。以上のように、本書は中国の宋代の詞を理解するのに非常に示唆に富むだけでなく、文化伝播と文化受容の視座から日本人が詞という文学ジャンルにいかなる認識を持っていたのかを理解する助けになります。

詞学分野の専門書が少ないなかで、Dr.靳によって日本における詞学研究が中国語で紹介されたことは非常に意義のあることです。本書の刊行は、日本と中国や台湾との間で詞学研究がますます発展するきっかけとなるでしょう。