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2023.10.12

【レポート】第2回AJI国際ワークショップを開催しました! “Sustainable Agriculture and Rural Development in the Era of Climate Change: Asian Perspectives”

2023年8月16日(水)、第2回AJI国際ワークショップ “Sustainable Agriculture and Rural Development in the Era of Climate Change: Asian Perspectives”(気候変動時代の持続可能な農業と農村開発:アジアの視点から)をノンラム大学(ベトナム・ホーチミン市)と共催のうえ、オンラインで開催しました。

第2回目の開催となる本ワークショップは、立命館大学アジア・日本研究所 (AJI)とノンラム大学経済学部との国際共同研究プログラム(International Collaborative Research Program)に基づいており、気候変動による異常気象や食料不安に見舞われている東南アジアを中心とする研究者の間で、持続可能な農業と農村開発に強い関心を共有しながら、国際協力と科学的成果の共有のためのプラットフォームを形成することを目的とする大変意義深いイベントです。また、本イベントには、科学者に加えて、農家、農業関係者、学生など、この重要なテーマに関心を持つすべての人を含むかたちで一般に公開されました。イベントポスターへのリンクはこちら:(https://www.ritsumei.ac.jp/file.jsp?id=580962).

開会に先立ち、ベトナム・ノンラム大学副学長であるグエン・タット・トアン(Nguyen Tat Toan)准教授に開会挨拶をしていただき、ベトナム、日本、タイ、インドネシア、カンボジアから参加した15名の若手研究者と聴講者に向けて挨拶が述べられました。くわえて、立命館大学とノンラム大学の国際協力を強化し、ベトナムや東南アジアの他の大学や機関との共同研究をさらに発展させることの重要性を強調しました。また、本ワークショップには、ノンラム大学の国際関係事務局所長であるDr.グエン・ノック・トゥイ、同気候変動研究センター長であるグエン・キム・ロイ教授、同科学研究管理事務局副室長であるドゥ・ティエン・ヅウィ准教授、経済学部学部長であるDr.レ・コン・ツーなどにもご参加いただきました。


開会挨拶を行うグエン・タット・トアン准教授(写真右奥)



ワークショップの会場での集合写真(ノンラム大学にて)

本ワークショップの第一部「気候変動緩和のための農村戦略(Rural Strategies for Mitigating Climate Change)」では、ベトナム、タイ、インドネシアの4人の研究者から、研究成果を発表していただきました。まず、ベトナムのノンラム大学のDr.ホアン・ハ・アインが、立命館大学ノンラム大学との共同研究プロジェクトの概要について説明したうえで、「ベトナムのメコンデルタにおける持続可能な稲作に対する農民の意識:計画行動理論の応用」に関する研究の成果の一部について報告がなされました。


報告を行うDr.ホアン・ハ・アイン講師

次に、Dr.オラワン・スリソンプン(タイ・マハーサーラカーム大学助教授)は、 「タイ北東部の農家における貧困と脆弱性の検討:干ばつとCOVID-1パンデミックの相互関係の分析」と題する研究発表を行いました。


発表を行うDr.スリソンプン

次に発表を行ったDr.マイ・ディン・クイ(ノンラム大学講師)からは、「ベトナムにおける良好な畜産の実践を採用することへの養豚農家の選好:選択実験」と題して発表を行った。


発表を行うDr.ディン・クイ

第1部の最後では、モハマド・ロンディ准教授(インドネシア・ジェンベル大学)が、「気候変動に対する農民の認識と適応戦略:インドネシアのエシャロット農家の事例研究」と題する発表を行いました。


ロンディ准教授の発表

第2部「持続可能な稲作:社会的・経済的アプローチ」では、3名の若手研究者より、ベトナムとカンボジアにおける持続可能な稲作農業とその社会的・経済的展望について研究発表が行われました。
まず、Dr.ホ・チョン・フック(ベトナム・フエ大学講師)より「メコン・デルタにおける稲作におけるコスト効率とその決定要因の測定」と題して、刺激的な議論が示されました。


発表を行うDr.ホ・チョン・フック

次に、Dr.ハイ・チャントール(カンボジア・バッタンバン国立大学講師)から、「カンボジアにおける農業と貧困削減:コメ収量の役割」と題して、研究成果が発表されました。


発表を行うDr.ハイ・チャントール

次の発表では、Dr.ホ・タン・タム(アジア・日本研究所専門研究員)を中心に、立命館大学の学部生3名が登壇し、立命館大学とノンラム大学の共同研究プロジェクトの成果発信として、「持続可能な稲作の利点と稲作農家の選択に影響を及ぼす諸要因:ベトナム・ロンアン州における事例研究」と題する発表を行いました。


発表を行うDr.ホ・タン・タム(写真左端)と3名の学部生

第3部 「持続可能な農業のための技術革新と土壌管理」 では、3名の科学者から持続可能な農業の推進について技術的・環境的側面からの議論が行われました。
最初に、Dr.タン・ティ・フォン・セン(ベトナム・フエ大学農林学部講師)が「生理食塩水条件下でのオオムギアクアポリンHvPIP2;8のCa2+感受性および非選択的Na+/K+活性」と題する発表が行われました。


発表を行うDr.タン・ティ・フォン・セン

次に、Dr.タン・ロック・トゥイ(クーロンデルタ稲作研究所・農業部副部長)より「ベトナムのイネ品種に及ぼす高温の影響と高温に対処するためのイネ栽培戦略」と題する発表が行われました。 に関する研究を発表した。


発表を行うDr.タン・ロック・トゥイ

最後に、Dr.タン・コック・ティン(立命館大学生命科学部助教)と、大学院生である立命館大学の大西智也氏より「日本における土壌肥沃度評価のためのSOFIX分析の利用」と題する研究発表が行われました。


Dr. Tran Quoc Thinh making his presentation

次に行われた総合討論では、すべての登壇者が議論を交わし、持続可能な農業と将来の協力について様々な洞察を得ることができました。また、本国際共同研究プロジェクトのコーディネーターであり、本ワークショップの総合司会であるDr.ホ・タン・タムが持続可能な稲作に関するアジアの事例についても言及するとともに、カンボジア、インドネシア、タイの若手研究者との共同研究のさらなる拡大の必要性についても意見が述べられました。

本ワークショップの最後には、本国際共同研究プロジェクトを主催する島田幸司教授(立命館大学経済学部)が今後の連携の展望と課題について話しました。また、島田教授は、本ワークショップの参加者に感謝の意を示しました。それと同時に、今後も、ベトナム、タイ、インドネシア、カンボジアなどを中心とする諸大学との緊密なネットワークを構築し、国際連携を一層推進していくことの重要性を確認しました。


閉会の挨拶を行う島田幸司教授



登壇者とともに記念撮影