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2024.04.02

【刊行情報】Dr.角田燎が『陸軍将校たちの戦後史』(2024年、新曜社)を刊行しました!

 Dr.角田燎(立命館アジア・日本研究機構 専門研究員)が『陸軍将校たちの戦後史:「陸軍の反省」から「歴史修正主義」への変容』(2024年、新曜社)を刊行しました。本書は、博士論文とその後の研究成果をまとめたものです。

 本書では、日本の陸軍将校たちが、アジア・太平洋戦争後に自身たちの戦争責任や戦争についていかに考えていたのかについて詳細に分析されています。Dr.角田は、偕行社という元陸軍将校たちの戦友会の資料を丹念に読み込み、当初は「陸軍の反省」に関する議論が行われていたのにも関わらず、1990年代以降、徐々に「歴史修正主義」に接近していった事を明らかにしています。

 先行研究では十分検討されてこなかったエリート軍人たちの戦後の思想を検討し、彼らのエリート意識や責任、世代が戦争観の形成にどのように作用したのかを論じる点が本書の特色です。また、偕行社は、戦争体験者が高齢化する中で、元自衛官を会に迎え入れ、会の活動を継続します。このことを詳細に検討することで、元陸軍将校と元自衛官の関係性ではなく、軍事組織出身者による「戦争記憶」の継承という現代的展開を捉えている点も本書の特徴です。

 同書の出版は、立命館大学大学院の博士論文出版助成制度の助成を受けてます。

 現在、Dr.角田は、科研費・研究活動スタートアップ支援で次の研究課題として、「現代日本における元自衛官の自己呈示と社会活動:戦友会参加をめぐる歴史社会学的考察」の研究を行なっています。

Dr.角田燎(左)と新刊本(右)
Dr.角田燎(左)と新刊本(右)