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2019.10.16

国際「イスラーム経済」ワークショップを、ダラム大学、京都大学と共催

 2019年9月23-24日に、京都大学・総合研究2号館の会場で、本研究所、京都大学イスラーム地域研究センター、ダラム大学イスラーム経済・金融研究センターが共催する International Workshop on Islamic Economics and Finance: New Horizons in Islamic Economics が開催されました。  これは英国ダラム市と京都で毎年交互に開催されているワークショップで、今回が13回目。本研究所は、今回から共催に加わりました。参加者の出身国はイギリス、日本のほかに、インドネシア、シリア、トルコ、バハレーン、マレーシアと多岐にわたり、研究報告も理論・事例ともに非常に先端的なものが多く、2日間にわたって熱心な報告と質疑が交わされました。

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国際ワークショップの1コマ


 イスラーム経済は、西アジア、東南アジア、南アジアなどのイスラーム諸国で1980年代以降に盛んになってきました。ダラム大学のイスラーム経済・金融研究センターはこの分野で、世界に先端的な役割を担っています。イスラーム人口のおよそ7割がアジアの人びとですので、本研究所でもイスラーム圏にも着目した共同研究をおこなっていきたいと思います。

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(中央)ダラム大学のメフメット・アスティ教授・センター長、(その右に)小杉所長、ハシャン専門研究員、(左側に)長岡慎介・京大教授、佐藤麻理絵・京大助教、足立真理・京大機関研究員


 今回は、小杉所長が“Hadith Studies Renewal Through Informatics and Resurgent Islamic Jurisprudence: How Can They Contribute to Contemporary Islamic Economic Thought?”と題して基調講演をおこないました。昨今のIT革命が古典的なハディース研究に革新をおこし、法学にも影響を与えているという実態の報告と、それがイスラーム経済論にどのように活用されうるかという論点は、フロアから大きな関心を呼びました。Dr. Ammar Khashan(本研究所・専門研究員)は“Methodological Enquiries into the Utilization of Fiqh Resources for Historical and Contemporary Waqf Studies: With Special Reference to the Hanafi Legal School”と題して、ワクフ(寄進財産)を用いた経済活動に関して、前近代の史料と現代の研究を結びつける試論をもとに研究報告をおこないました。インドネシア、マレーシアのワクフを研究している参加者などから多くの質問を受けて、今後の展開に期待の持てる発表となりました。