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2019.12.25
イスラーム経済国際ワークショップ、開催:「マレーシアのワクフ制度の再活性化」
ワークショップ参加者
「ワクフ制度」とは、「寄進制度」と簡単に説明されることもありますが、イスラーム世界独特の制度です。「ワクフ」の字義的な意味は「停止」で、何かの所有者がその財を寄付すると、所有権の移転がその後恒久的に停止されるという仕組みです。その財の用益からあがる利益は、たとえば礼拝堂、市場、水場といった公共財の維持に使われてきました。この制度が、近年、イスラーム的な福祉制度として、東南アジアなどで再活性化されています。このワークショップは、そこに着目して開催されました。
ゲスト・スピーカーのDr. Muhammad Hakimi Mohd
Shafiai(マレーシア国民大学経済経営学部・上級講師)は、“Revitalization of Waqf for Social and
Finance Development in
Malaysia”と題して、再活性化されたワクフ制度を研究する上で、これまでどのような成果があり、今後どのような研究戦略を展開すべきかという大きなテーマで、問題提起しました。このワークショップは質疑応答の時間に制限をもうけず、徹底して討論する方式をとりましたので、スピーカーと参加者の間で、1時間半も熱心な討議が繰り広げられました。
「ゲスト・スピーカーのDr. ハキミ」
Dr.
Ammar Khashanは、“Traditional Approaches of Waqf Research in Islamic Law:
Contemporary Methods of Waqf Revitalization and Development in
Malaysia”と題して、長いイスラーム法学の歴史の中で展開されてきた古典的なワクフ論とその概要を紹介した上で、それを現代のマレーシアなどで再活性化されているワクフ制度の研究とどのように接続していくべきか、歴史と現代、法学的な理論と現場での実態などをいかに結び合わせていくかについて、問題提起しました。ここでも、1時間以上にわたって熱心な討議が繰り広げられました。
「Dr. アンマール」
2日目には、今後の研究戦略をめぐる打合せ会が開催されました。