NEWS
2026.01.16
【レポート】第25回AJIブックローンチ開催!Dr.足立真理『イスラームの慈善の論理と社会福祉:現代インドネシアにおけるザカートの革新と地域の主体』(明石書店、2025年)
2025年11月12日(水)に、第25回AJIブックローンチが開催されました。本イベントでは、Dr.足立真理(日本学術振興会特別研究員/立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員)が自身初の単著『イスラームの慈善の論理と社会福祉:現代インドネシアにおけるザカートの革新と地域の主体』(明石書店、2025年)について報告しました。
発表を行うのDr.足立真理
本書は、地域の実態に根ざした知見を提供しつつ、イスラーム的慈善を通じた社会福祉の再編を理論的に考察するものです。インドネシアの歴史的背景を踏まえながら、イスラームの義務的喜捨(ザカート)が伝統的な個人間の実践から制度化され、国家および民間団体を通じた徴収・分配の仕組みへと変容した過程を明らかにしました。分析手法としては、ファトワー(法学見解)分析や、イスラーム知識人のディスコースの検討、1年2か月間のフィールドワークによるマラン市におけるザカート管理団体の具体的な展開に焦点を当てて考察を行いました。
発表を行うDr.足立真理(写真右)と司会のDr.川本佳苗(同左)
ブックローンチでは、本書の核となる3つの問いとともに、ザカートに関する重要なファトワー(2・3章に詳述)が紹介されました。2003年の「収入のザカート」では伝統的には資産にかかるはずのザカートが給与所得にもかかるように解釈が拡大され、2021年の「企業資産のザカート」では営利企業も2.5%支払い義務が生じるなど、徴収や分配の機能がインドネシアという地域の現代的状況に柔軟に対応して拡張している変遷を明らかにしました。
また、質疑応答時には、司会を務めたDr.川本佳苗(慶応義塾大学訪問研究員)から上座部仏教の功徳との比較に関する質問や今後の共同研究の可能性などが指摘されました。フロアからも、本書序章で問いかけたザカートという外国語を「喜捨」という仏教由来の翻訳にすることの限界に関して示唆に富むコメントがあり、本書の今後の発展につながる重要な質問が寄せられ、闊達な意見交換が行われました。
当日のブックローンチへの参加者
過去のブックローンチはこちらこちら