研究プロジェクト紹介
共創領域
アジアの持続的発展および循環型社会形成のための環境・エネルギー分野の研究開発と人材育成
プロジェクトリーダー
理工学部
近本 智行 教授
アジア各国・地域の特性に応じた循環型社会の形成に寄与する
アジア諸国には、エネルギーや水を安定的に供給するためのインフラが十分整備されていない地域がいまだ多くあります。本プロジェクトは、そうしたアジアの地域にエネルギーや水、さらには資源の循環システムを提案し、循環型社会の形成に貢献することを目標としています。アジアといっても国や地域によって気候やインフラの整備状況はさまざまです。そのため中国の同済大学、ベトナムの日越大学、インドのインド工科大学ハイデラバード校(IITH)などと連携し、アジア各国・地域に適した開発目標を据えるとともに、社会実装を担う人材の育成にも取り組みます。
プロジェクトでは、エネルギー、水、資源の循環それぞれの視点から技術開発を行います。まず「エネルギー循環」に関しては、立命館大学びわこ・くさつキャンパス(BKC)内に実験住宅を建設。太陽光発電、燃料電池といった創エネ・蓄電技術を用いて各種実験を行い、エネルギーインフラ系統から独立したVirtual Power Plant(VPP)を実現するシナリオを検討しています。「水循環」については、膜や紫外線を活用した水処理技術を開発するとともに、水再生の実験設備を備えたBKC研究棟で雑排水の処理実験を重ねています。さらに「資源循環」についても廃棄物のリサイクルや食資源の循環利用システムについてマテリアルフロー分析やライフサイクルアセスメントを行っています。今後は海外に実験設備を建設し、各地域で実証実験を行うことも視野に入れています。
また同済大学と合同ゼミを開催したり、IITHとともにJICA主催のワークショップに参加したり、日越大学と立命館大学の学生が共に学ぶプログラムを作成するなど、学生・若手研究者の交流も活発化させています。
災害などでインフラが寸断される事態は日本でも無縁ではなく、オフグリッドな住宅や地域のモデルは欠かせません。本プロジェクトの成果は、アジア地域の持続的な発展に貢献するだけでなく、日本においても極めて重要なものとなるはずです。